コラム
公開 2022.06.16 更新 2023.04.05

離婚の慰謝料とは?請求の流れと注意点を弁護士が解説

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離婚の原因によっては相手方に慰謝料を請求することが可能ですが、慰謝料を請求できるケースとできないケースがあります。
慰謝料の相場を紹介すると共に、慰謝料を請求する際の流れや注意点などを離婚問題に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

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離婚の慰謝料とは

離婚の慰謝料とは、離婚に伴う精神的苦痛に対する損害賠償として位置づけられます。
平たくいえば、離婚によって傷つけられた側が、傷つけた相手に対して請求する金銭を指します。

慰謝料の支払いは、離婚したからといって必ずしも生じるわけではありません。
慰謝料が発生するケース、しないケースは次で詳しく解説しますが、たとえば、単なる性格の不一致などによる離婚では、慰謝料の支払いは生じないことが多いでしょう。

一方で、離婚の原因が相手の不貞行為などである場合には、慰謝料の請求が可能となります。

離婚したからといって必ず慰謝料がもらえるわけではない

上でも触れたとおり、離婚をしたからといって必ずしも慰謝料が発生するわけではありません。
慰謝料を請求できるケースと請求できないケースは、主に次のとおりです。

慰謝料を請求できるケース

一般的に、次のような原因で離婚に至った場合には、慰謝料を請求できる場合が多いでしょう。

  • 相手の不貞行為(不倫)による場合
  • DVによる場合

ただし、これらの場合であっても、このような行為があったことの証拠がなければ、慰謝料の請求は困難です。
慰謝料の請求を検討している場合には、あらかじめ証拠を集めておくことをおすすめします。

慰謝料を請求できないケース

次のような原因で離婚に至った場合には、慰謝料は発生しないことが多いです。

  • お互いの性格の不一致による場合
  • 相手の両親など相手方の親族との関係悪化による場合
  • 不貞行為はあったものの、それ以前から婚姻関係が破綻していた場合
  • お互いに不貞行為があった場合

ただし、これらの場合であっても離婚に至った詳細な事情によっては、慰謝料請求が認められる可能性はゼロではありません。
迷った場合には、離婚問題に詳しい弁護士へ相談すると良いでしょう。

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離婚で慰謝料を請求するまでの流れ

離婚で慰謝料を請求するまでの流れ

離婚で慰謝料請求をする場合の流れは、次のとおりです。

離婚の慰謝料相場を知る

相手の不貞行為など離婚原因となる事項の証拠がつかめたら、慰謝料について相手方と具体的な交渉をする前に、慰謝料の相場を調べておきましょう。
相場を知らずに交渉をすれば、相場よりもかなり低い金額で相手に言いくるめられてしまうかもしれないからです。

離婚に伴う慰謝料は、離婚原因によって大まかな相場が存在します。

浮気・不倫 100万円~300万円
DV(暴力) 50万円~300万円
性行為の拒否 ~100万円

そのうえで、次の場合には比較的金額が高くなる傾向です。

  • 一度きりの不貞ではなく継続的な不貞であるなど、より精神的苦痛をもたらすものである場合
  • 婚姻期間が長い場合
  • 未成年の子が複数いる場合

最終的には個別事情に応じて決まることとはなりますが、大まかな相場はあらかじめ知っておくと良いでしょう。
事案に沿った相場をより具体的に知りたい場合には、あらかじめ離婚問題に詳しい弁護士へ相談しておくことをおすすめします。

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請求する相手を検討する

慰謝料の相場を調べると同時に、慰謝料を請求する相手についても検討しましょう。
請求先となる主な候補は、次のとおりです。

配偶者へ請求する

一般的な慰謝料の請求先は、離婚相手である配偶者です。
離婚に至るケースでは、少なくとも配偶者に対しては慰謝料請求をすることとなるでしょう。

一方で、不貞行為などがあったとしても最終的に離婚をしない選択肢を取った場合には、配偶者へは慰謝料請求しないことが多いです。

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配偶者以外へ請求する

配偶者の不貞行為が原因で離婚となる場合、その不貞相手に対して慰謝料請求をすることも可能です。

ただし、次のような場合には、不貞相手への慰謝料請求は困難です。

  • 不貞相手が請求者の配偶者が既婚者であることを知らなかった場合
  • 不貞相手が請求者の配偶者に脅されるなどして、本人の意思によらず肉体関係を持っていた場合
  • 不貞以前から夫婦関係が破綻していた場合

配偶者以外への慰謝料請求には、証拠の確保など、より綿密な準備と対策が必要となります。
また、不用意に相手の職場へ暴露するなどの行為をしてしまえば、むしろ相手方から損害賠償請求をされることにもなりかねません。

不貞相手への慰謝料請求を希望する場合には、あらかじめ弁護士へご相談のうえより慎重に対応するのがよいでしょう。

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相手と直接交渉する

慰謝料の請求をする際には、通常はまずは相手方と直接交渉をします。

夫婦関係の再構築の可能性がある場合などには、まず夫婦のみで話し合いをするのが良いと思いますが、夫婦同士での話し合いが難しい場合、はじめから弁護士に代理で交渉をしてもらうことも可能です。

中でも、DVやモラハラの被害に遭っていた場合には、被害の拡大を防ぐため、直接交渉せずに弁護士を介して交渉した方が良いでしょう。
配偶者の弁が立つ場合など、直接交渉をすれば配偶者の有利な条件で交渉を進められてしまいそうな場合にも、弁護士を代理人として交渉を行うのが良いでしょう。

この段階で離婚することや、慰謝料など離婚に関する諸条件についての合意ができれば、合意できた内容を明確に書面で残しておくことをおすすめします。

特に、慰謝料を分割払いとする場合や、定期的に養育費の給付を受ける場合など、将来に向けての給付が生じる場合には公正証書にしておくと安心です。
公正証書にしておくことで、万が一約束どおりに支払ってくれなくなった場合、スムーズに差し押さえの措置を取ることが可能となります。

調停で話し合う

当人同士での話し合いでは離婚の有無や慰謝料など離婚に関する諸条件について合意ができない場合には、離婚調停を申し立てることとなります。
調停とは、調停委員の立会いのもと、家庭裁判所で行う話し合いのことです。

調停には本人のみで出席することもできますが、弁護士に依頼して弁護士同席のもとで出席することもできます。
また、事情によっては弁護士のみが代理で出席をして、本人が出席しないことも可能です。

調停はあくまでも話し合いの場であり、裁判所が結論を出してくれるわけではありません。
そのため、調停を成立させるにはお互いの合意が必要となります。

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裁判で決めてもらう

調停でも話し合いがまとまらない場合には、離婚訴訟を提起します。

裁判の場では、諸般の事情が考慮され、最終的に裁判所が離婚事由の有無を判断し、また、慰謝料の額など離婚の諸条件を決定することとなります。
途中で双方の意見がまとまれば、和解をすることも可能です。

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離婚による慰謝料請求の注意点

離婚に伴い慰謝料を請求する場合には、主に次の4点に注意しましょう。

慰謝料請求には原則として証拠が必要になる

慰謝料請求は、一方の言い分や単なる憶測のみで認められるものではありません。

たとえば、自分がいくら「夫は十中八九、不貞をしている」「不貞相手は、夫と同じ職場のA子に違いない」などと感じていたとしても、夫やA子が不貞を否定しており不貞の証拠もないのであれば、慰謝料の請求は認められません。

そのため、慰謝料の請求をしたい場合には、事前の証拠収集が非常に重要となります。

しかし、法律に詳しくない人が一人で裁判や交渉上有効な証拠を集めることは容易ではありません。
離婚による慰謝料を請求したい場合には、あらかじめ弁護士へ問い合わせ、証拠集めの段階から相談に乗ってもらうと良いでしょう。

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離婚の慰謝料請求には時効がある

離婚に伴う慰謝料の請求には、時効があります。
時効は3年であり、離婚から3年を経過してしまうと、原則としてもはや慰謝料の請求はできません。

慰謝料の請求は必ずしも離婚と同時に行う必要はなく、離婚後であっても行うことは可能ですが、3年の期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。

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分割払いにすることも可能

離婚に伴う慰謝料を相手が一括で支払えない場合には、分割払いとすることも可能です。
現時点で相手に預貯金などの財産がないからといって諦めるのではなく、分割払いを受けることも検討すると良いでしょう。

なお、その場合には、次で解説をする公正証書の作成が特に重要となります。

話し合いで決めた場合には公正証書を作成しておく

慰謝料の額など離婚の条件がまとまった場合には、合意した内容を書面で必ず残しておきましょう。
中でも、慰謝料や養育費など将来にわたっての給付がある場合には、公正証書としておくことがおすすめです。

なぜなら、公正証書で給付内容を明確に定めておくことで、いざ支払いが滞った場合に相手の財産を差し押さえる手続きがスムーズになるためです。
また、公正証書化することで、いざ約束を反故にすれば差し押さえがなされるとのプレッシャーを相手に与えることができるため、取り決めた給付が滞らないよう抑止力としての効果も期待できます。

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離婚の慰謝料請求や交渉を弁護士に依頼するメリット

離婚の慰謝料請求や交渉を弁護士に依頼するメリット
離婚の慰謝料請求や慰謝料額の交渉は、弁護士へ依頼することができます。
これらを弁護士へ依頼する主なメリットは、次のとおりです。

案件ごとの相場を踏まえて交渉をしてくれる

慰謝料の金額の相場は、インターネットでも確認することができます。
しかし、インターネットなどで見ることができる相場額には非常に金額の幅があり、ご自身のケースではどの程度の金額が妥当であるのか、結局のところよくわからないという場合が少なくないのではないでしょうか。

実際に裁判などで慰謝料額が算定される際には、さまざまな個別事情や個別要因が考慮されます。
離婚問題に詳しい弁護士へ相談することで、個別事情に沿ったより具体的な相場をもとに交渉をしてもらうことが可能です。

相手と直接話をしなくてよい

弁護士へ依頼することで、相手方と直接交渉をしなくて済む点も大きなメリットの一つです。

離婚を決意した相手と慰謝料額の交渉をすること自体が、非常に大きな精神的なストレスとなる場合は少なくないでしょう。
弁護士に代わりに交渉をしてもらうことで、このような負担から解放されます。

また、相手の弁が立つ場合には自分で交渉をしてしまうと、相手のよいように言いくるめられてしまうリスクがあります。
弁護士へ依頼する場合は、弁護士が法律に基づき毅然と対応してくれるため安心です。

さらに、相手からDVやモラハラの被害を受けていた場合には、自分で直接相手と交渉をすることには危険が伴います。
この場合には、弁護士に代理で交渉をしてもらうことで、危険を避けることが可能となります。

離婚協議書を作成してもらえる

たとえ慰謝料など離婚に関する条件の合意ができたとしても、きちんと書面で残しておかなければ、後から約束を反故にされるリスクがあります。

口約束の場合には、万が一「言った・言わない」などのトラブルとなってしまった際に合意の成立を証明することは困難でしょう。

また、合意書などの書面を作成した場合であっても、個人で作成した場合には不備がある場合も少なくありません。、いざ支払いの滞りなどトラブルが生じた際に、差し押さえができない可能性もあります。

弁護士に依頼した場合には、交渉の結果をきちんと離婚協議書などの書面で残してくれますので、このようなリスクを避けることが可能となります。

調停や訴訟になった場合でも対応してもらえる

慰謝料の額など離婚に伴う話し合いが当人同士でまとまらない場合には、先ほど解説したように、調停や裁判へと移行することとなります。
弁護士へ交渉を依頼している場合には、弁護士が調停や訴訟の対応をしてくれるため安心です。

まとめ

離婚に至った原因によっては、離婚に伴い相手方に慰謝料の請求をすることができます。

しかし、証拠が不十分な場合には慰謝料の請求が難しいほか、相手と金額が折り合わない場合には交渉に多大な労力がかかる可能性があります。
証拠を隠滅されたり不利な条件を飲まされてしまったりすることのないよう、離婚に伴って慰謝料の請求を希望する場合には、あらかじめ離婚問題に詳しい弁護士へ相談すると良いでしょう。

Authense法律事務所には、離婚問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
慰謝料請求にあたっての心強い味方になれるかと思いますので、離婚の慰謝料請求でお困りの際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

弁護士に相談することにより、慰謝料が請求できるか、請求できる場合の金額はいくらか、請求するための証拠をどのように確保すればよいか等についてアドバイスを受けられます。相手との交渉を弁護士に依頼することにより、ご本人の負担を減らし、また、慰謝料の支払いがきちんと履行されるよう適切な内容の書面を作成することが出来ます。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。早稲田大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院法学研究科修了。一般民事、特に離婚事件に関する解決実績を数多く有する。離婚カウンセラーの資格を取得しており、法律的な問題を解決するのみならず、常に依頼者の方の心情に配慮し、不安や悩みに寄り添う対応を心掛けている。
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