コラム
公開 2022.03.08 更新 2023.12.01

一方的に離婚することはできる?夫(妻)から一方的に離婚を切り出された際の対処方法

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一方的に離婚を切り出されたとしても、応じたくない場合もあるでしょう。

配偶者から一方的に離婚を切り出された場合、応じなければならないのでしょうか?
また、離婚を拒否しても強制的に離婚されてしまう可能性はあるのでしょうか?

今回は、一方的に離婚を切り出された場合に離婚が成立するかどうかの考え方や対処法、弁護士へ相談するメリットなどについて詳しく解説します。

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一方的に離婚することは可能?

夫や妻から一方的に離婚を切り出されたとしても、離婚したくない場合もあると思います。
配偶者から一方的に離婚を切り出されてしまった場合、これに応じなければならないのでしょうか?

原則として一方的には離婚できない

一方がいくら離婚をしたいと考えていても、自分が離婚をしたくない場合は、原則として離婚は成立しません。
婚姻が一方の意志のみでは成立し得ないのと同様に、離婚も一方の意志のみでは成立しないことが原則であるためです。

ただし、たとえ法的には夫婦の一方のみの意志では離婚が成立しないこととされていても、離婚届は形式上の不備がなければ原則として受理されてしまいます。
そして、いったん受理されてしまった離婚届について偽造であることを証明し効力を覆すことは、容易なことではありません。

そのため、夫や妻から離婚を切り出されたら自分の署名が偽造されて離婚届が出され、これが受理されてしまうことがないように、あらかじめ「離婚届不受理届出」をしておくことをおすすめします。
離婚届不受理届出については、後ほど改めて解説します。

一定の原因がある場合は、裁判上で一方的に離婚される可能性がある

一方の意志のみでは離婚が成立しないことが原則である一方で、一定の事情がある場合は例外的に一方の意志のみによる離婚が可能となります。
これについて、離婚について定めている民法770条には次のように規定されています。

    夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

そして、裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続が相当ではないと判断した場合は、たとえ妻が離婚に抵抗したとしても、夫のみの意志で離婚が成立します。
たとえば、妻が不貞行為をした場合、妻が離婚を拒否したとしても、夫が離婚をしたい旨の裁判を申し立て、裁判所の判断で離婚が成立する可能性があるということです。
裁判によって離婚が成立し得る5つのケースの具体的な内容については、後ほど改めて解説します。

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一方的に離婚を請求されたときの5つの対処方法

相手から一方的に離婚を要求され、こちらが離婚したくない場合は、次のような対処をしてください。

離婚したくないなら拒否する

離婚したくないなら、拒否することが基本です。
自分が拒否している限り、強制的に離婚をすることはできません。
相手が暴力を振るってくるなどの危険がある場合は別居しましょう。

離婚したい理由を確認する

相手がなぜ離婚したいのか、理由を確認すべきです。
今まで仲が良かったのに突然離婚を求めてきた場合、相手が不貞しているケースも少なくありません。
相手の所持品やスマホ、PCなどを確認して、不貞している痕跡がないかチェックしてみてください。

夫婦関係を修復できないか話し合う

相手の一時的な気の迷いであれば、話し合いによって夫婦関係を修復できる可能性があります。
自分が離婚したくない気持ちを伝え、冷静に話し合いましょう。

離婚届不受理申出をする

自分が離婚を拒否していると、相手が勝手に離婚届を作成して提出してしまう可能性があります。
離婚届が受理されないよう、先に役所へ行き「離婚届不受理申出」を行いましょう。
離婚届不受理申出をしたら、申出人の意志確認ができない限り離婚届が受理されなくなり、相手による勝手な提出を防げます。

生活費を止められたら婚姻費用を請求する

相手が自分より収入がある一家の大黒柱で離婚を一方的に要求している場合、自分が離婚を拒否すると生活費を払わなくなるケースがあります。
よくあるのが、夫が不貞行為をして家出するパターンです。
そんなときは、相手に婚姻費用を請求しましょう。

相手が任意に払わない場合でも、家庭裁判所で婚姻費用分担調停を申し立てれば、生活費を支払わせることが可能です。
家庭裁判所は適正な金額も定めてくれ、相手に支払い命令を下します。
「離婚に応じないと生活できない」わけではありませんので、生活費を止められてもあきらめずに弁護士へご相談ください。

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一方的な離婚請求が認められる場合とは?

相手が一方的に離婚を要求しても、自分が応じなければ基本的に離婚は成立しません。
ただし、次のような場合、訴訟になったら一方的な離婚も認められます。

自分が不貞をした

自分が配偶者以外の人と肉体関係を持って不倫している場合、相手が訴訟を起こせば離婚が認められます。

自分が悪意の遺棄をした

自分が一家の大黒柱であるにもかかわらず生活費を払っていない場合や、正当な理由なく家出したり同居を拒否したりした場合は裁判で離婚が認められる可能性があります。

3年以上生死不明である

相手と連絡を絶って3年以上生死不明の状態におくと、裁判で離婚される可能性があります。

回復しがたい精神病にかかっている

自分が重度の精神病になって回復しがたい状態になっていると、裁判を起こされて離婚される可能性があります。

暴力を振るった、モラハラをした

相手に対して暴力を振るっている場合、モラハラ行為をした場合などには離婚される可能性があります。

長期間別居している

長期間別居が継続していると、婚姻関係が破綻しているとみなされ、相手による離婚請求が認められる可能性があります。

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離婚に応じるなら有利な条件を設定しよう

離婚に応じるなら有利な条件を設定する

相手から一方的に離婚を突きつけられた場合、離婚に応じる選択もできます。
その場合、できるだけ有利な離婚条件を設定しましょう。

定めるべき項目は、次の6つです。

財産分与

望まない離婚に応じる条件として、できるだけ多くの財産をもらう交渉をしましょう。
場合によっては全額こちらがもらうという交渉をしてもよいかもしれません。

慰謝料

相手が不倫したりこれまで暴力を振るわれたりしていたら、慰謝料を請求できます。
望まない離婚を受け入れるなら、高額な金額提示も可能です。

年金分割

相手が厚生年金に加入している場合、0.5の割合による年金分割を要求すべきです。

親権

子どもにとってどちらの親が親権者となるのが適切か、しっかり考えてよく話し合って決めましょう。
親権については親同士の諍いは脇において、子どもの視点で考えることが重要です。

養育費

離婚後に子どもが困らないように、成人するか大学を卒業するかなど終期を決めてきちんと養育費の取り決めをしましょう。

面会交流

子どもが小さい場合、離婚によって親子関係が分断されないよう面会交流も取り決めておくべきです。
離婚条件は「公正証書」にまとめておくと、離婚後の約束が守られやすくなります。
相手が取り決めた養育費を支払わなくなった場合でも、公正証書に強制執行認諾文言を入れておけば、相手の預貯金や給与を差し押さえて、未払いの婚姻費用を回収することができます。
望まない離婚を受け入れるため、相手に公正証書作成費用を負担するよう求めるとよいでしょう。

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離婚交渉は弁護士へご相談ください

夫や妻から一方的に離婚を切り出されてお困りの際は、弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談する主なメリットは次のとおりです。

一方的に離婚できそうかどうか確認できる

先ほど解説したとおり、原則として離婚は夫婦の一方のみの意志では成立しません。
しかし、不貞行為があったなど一定の事由に該当する場合は、裁判を申し立てることにより一方的に離婚が成立する可能性が高まります。

ただし、裁判によって一方的に離婚し得るケースには「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とのあいまいな条項が定められており、自身のケースがこれに該当するかどうか判断に迷うことも少なくないでしょう。
一方的に離婚が成立するかどうかは、離婚原因となった事由によってケースバイケースであるということです。

弁護士へ相談することで、自身のケースで仮に裁判を申し立てられた場合における、強制的に離婚が成立する可能性を確認できます。
強制的に離婚をし得るケースであるかどうかを把握することで、その後の話し合いへ向けた戦略が練りやすくなるでしょう。

慰謝料などの相場を知ったうえで交渉できる

自身の不貞行為が配偶者にバレており証拠も押さえられている場合には、離婚の回避は難しいかもしれません。
この場合は、裁判にまで移行して離婚に抵抗するよりも、離婚へ向けた条件交渉に移行することが1つの方法となります。
この場合は離婚に至ることが避けられないばかりか、相手に対して慰謝料の支払いが必要となることが一般的です。

しかし、たとえ自分に非があるとはいえ、必ずしも相手の言い値で慰謝料を支払う必要まではありません。
慰謝料には一定の目安があり、裁判に移行して慰謝料の金額を争う場合は、原則としてこの目安となる金額付近で決着がつくこととなります。

慰謝料として相手が要求する金額を支払う旨の合意をしてしまうと、後に「相場を知らなかった」などと主張をしてもその合意を覆すことは困難です。
そのため、相手と慰謝料の交渉を行う前に弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談し、そのケースにおける慰謝料の目安額を知っておくことで、相場と比較して高すぎる額の支払いに合意してしまうリスクを避けることが可能となります。

交渉を有利に進めやすくなる

弁護士は交渉のプロフェッショナルです。
中でも離婚案件を専門的に扱う弁護士は、離婚交渉の進め方を熟知しています。
そのため、離婚問題に強い弁護士に相談して交渉の代理やサポートを依頼することで、離婚へ向けた交渉を有利に進めやすくなります。
なお、これとは反対に、相手が弁護士を付けたにもかかわらず、自分が弁護士に依頼せずに交渉を続ける場合は不利となりやすいため、早期に弁護士へご依頼ください。

調停や裁判に移行しても慌てずに済む

離婚するかどうかの話し合いや離婚へ向けた条件交渉がまとまらない場合は、離婚調停や離婚裁判に移行することになります。

離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員が夫婦の双方から意見を聞き、話し合いを調整する手続きです。
あくまでも話し合いの手続きであることから、成立には双方の合意が必要となります。
一方、離婚裁判とは、裁判所が諸般の事情を踏まえて、離婚するかどうかや離婚の諸条件についての判断を下す手続きです。

いずれも家事事件であり、「罪を犯して裁かれる」という類の裁判ではありません。
しかし、裁判所など行き慣れていないことがほとんどであり、緊張してしまう人も少なくないでしょう。
また、緊張をして思うように主張をすることができないと、不利となってしまうおそれがあります。

弁護士へ相談し依頼する場合は、調停や裁判についてあらかじめシミュレーションができるほか、当日に同席してもらったり代理で対応してもらうこともできます。
そのため、落ち着いて対応できるようになります。

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まとめ

夫や妻から突然離婚を切り出されると、慌ててしまうかと思います。
しかし、原則として離婚は夫婦の一方のみの意志で実現するものではありません。
この点を理解し、離婚届不受理届出を行うなど、落ち着いて対応しましょう。

ただし、自身が不貞行為をしていた場合や「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」などは、相手が裁判所に申し立てることで離婚が成立する可能性があります。
そのため、配偶者から離婚を切り出された場合は、早期に弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、自身のケースが一方的に離婚できるケースに該当するかどうかを確認することができるほか、たとえ離婚することとなっても交渉を有利に進めやすくなるためです。

Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多数在籍しており、これまでも数多くの離婚トラブルを解決してきました。
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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。離婚、相続といった家事事件を中心に数多くの案件を取り扱う。依頼者の希望する解決に向けて、しっかりと依頼者の話を聞いて事実関係を整理し、証拠収集することを得意としており、先の見通しも踏まえた交渉力は依頼者からも高く評価されている。
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