コラム
公開 2021.12.14 更新 2023.04.05

離婚後に慰謝料請求できる?条件と手順、請求期限を解説

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離婚後も慰謝料請求できるケースはあります。

不倫が発覚した、暴力を受けていた、生活費を払ってもらえなかった場合などです。

ただし基本的に離婚後3年以内に請求しなければなりません。

また離婚時に「慰謝料を請求しない」取り決めをしていると、請求できない可能性があります。

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離婚後に慰謝料請求できるケースとは

離婚後であっても、慰謝料請求できるケースはあります。
離婚慰謝料は、相手の不法行為によって離婚に至ったことについての精神的苦痛に対する賠償金です。慰謝料が発生するような事情があったにもかかわらず離婚するときに慰謝料を支払ってもらっていないなら、いわば清算が済んでいない状態とも言えます。
慰謝料の請求権が消滅しない限り、離婚後であっても請求可能です。

例えば以下のようなケースで離婚慰謝料が発生する可能性があります。

  • 相手が婚姻中に不貞をしていた
  • 婚姻中、暴力を受けていた
  • 婚姻中、モラハラ被害を受けていた
  • 婚姻中、生活費を払ってもらえなかった

なお相手の不貞行為があった場合、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償金である「不貞慰謝料」を請求できる可能性もあります。
これは、離婚に至ったことについての精神的苦痛に伴う「離婚慰謝料」とは、内容・性質が異なるものです。

証拠が必要

不貞や暴力などの事情があっても、相手が認めないケースも多々あります。
相手が否定した場合、請求する側が証拠によって立証しなければなりません。
相手が認めないときのために、慰謝料の発生原因となる事実の証拠も入手しておく必要があります。

離婚後に慰謝料請求できる条件

離婚後に慰謝料請求できる条件離婚後に慰謝料請求できる条件

離婚後に慰謝料請求するには、以下の2つの条件を満たさなければなりません。

時効が成立していない

慰謝料請求権には「時効」があります。
離婚慰謝料の場合「離婚後3年間」で時効が完成するので、基本的には離婚後3年以内に慰謝料請求をする必要があります。

ただし以下のような場合、時効の完成が猶予・更新されるので、離婚後3年を経過しても慰謝料を請求できる可能性があります。

内容証明郵便などで相手に慰謝料を請求した

内容証明郵便やその他の方法で慰謝料請求すると、請求時から6ヶ月間、時効の完成が猶予されます。

相手が慰謝料支払い義務を認めた

相手が慰謝料の支払い義務があることを認めた時点で時効が更新され、期間が3年間延長されます。

訴訟を起こした

訴訟を起こした時点で時効の完成が猶予され、その後判決が確定すると時効期間が10年間延長されます。
離婚後3年近くなり、3年以内に訴訟の提起が間に合わない場合、3年経過する前にまずは内容証明郵便を送って6か月の猶予を得た上で、猶予期間内に訴訟を起こしましょう。

離婚時に「慰謝料を請求しない」という約束をしていない

離婚時、「慰謝料を請求しない」という取り決めをしていると、離婚後の慰謝料請求は困難になります。
ただし相手に脅された場合やだまされた場合などには、慰謝料請求できる可能性があります。

離婚後に不貞慰謝料を請求できる相手と相場

離婚後に「慰謝料請求したい」と考えるパターンで特に多いのは、元配偶者の不貞が発覚したケースです。

不貞の慰謝料を請求できる相手方

不貞行為があった場合、慰謝料を請求できる相手方は元配偶者と不貞相手の2名です。
元配偶者に対しては離婚慰謝料または不貞慰謝料を請求できますが、不貞相手に請求できるのは基本的には不貞慰謝料のみとなります。

不貞慰謝料は「不貞の事実と不貞相手を知ってから3年間」で時効が完成するので、離婚前から不貞を知っていた場合には不貞慰謝料の時効が離婚慰謝料より先に完成してしまう可能性があります。

不貞の慰謝料相場

不貞による慰謝料の相場は100~300万円程度です。
金額を決める際には、婚姻期間、不貞期間、不貞の態様、不貞行為時の夫婦関係などが考慮されます。

離婚後に慰謝料請求する手順

離婚後に慰謝料請求する手順

離婚後に慰謝料請求するときには、以下の手順で進めましょう。

STEP1 証拠を集める

相手が不貞や暴力、モラハラ行為などを否定する可能性があるため、事前に証拠を集めましょう。
不貞の証拠を集めるときには、基本的に「婚姻時に肉体関係があったことを立証できるもの」が必要です。
現在交際している証拠があっても、「婚姻時に不貞していた」とは言えない可能性が高いです。
過去の相手方らのメールや撮影した動画や写真、スケジュール帳やクレジットカード明細書などの証拠を探しましょう。

STEP2 相手に直接請求する

証拠が揃ったら、相手に慰謝料請求します。
元配偶者と不貞相手の両方へ同時に請求してもかまいません。
請求した証拠を残すため、内容証明郵便を使って請求書を送るようおすすめします。

STEP3 交渉する

相手に請求書を送ったら、慰謝料の金額や支払い方法について交渉しましょう。
相手が不貞を否定する場合、証拠を示して支払いを促すことが考えられます。
相手から減額や分割払いを求められるケースも多いので、応じるのかどうか、どこまで減額するのかなど、慎重に判断しましょう。

STEP4 訴訟を起こす

話し合っても合意できなければ、訴訟を起こすことになります。
離婚後の慰謝料請求は「地方裁判所」または「簡易裁判所」に申し立てます。
離婚と違い、「家庭裁判所」ではないので間違えないように注意しましょう。

裁判でこちらの主張が認められれば、裁判官が配偶者と不貞相手に対し、慰謝料を支払うよう命じる判決を出してくれます。
相手方らが判決に従わない場合には、給料や預金、不動産などの差し押さえる手続きを行うことも可能です。

離婚後の慰謝料には弁護士に相談を

離婚後の慰謝料請求は、離婚時より困難になりがちです。
証拠を集めることが困難ですし、相手が誠実に対応しないケースも多く、訴訟へ発展してしまうケースも少なくありません。

困ったときには弁護士へ相談しましょう。

弁護士であればどのような証拠を集めればよいかなどをアドバイスできますし、交渉や訴訟の代理も依頼できます。
結果的に有利な条件で解決できる可能性が高くなり、精神的な負担も軽減されるメリットがあります。

まとめ

離婚後でも、不貞や暴力、モラハラ被害などについての慰謝料請求は可能なケースがあります。
ただし時効が完成してしまった場合や、離婚時に「慰謝料を請求しない約束」をしていた場合、請求することは困難です。
離婚後の慰謝料請求は離婚前よりも難しいケースが多いので、早めに男女問題に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

離婚から時間が経過してしまうと、証拠の収集が難しくなり、また、時効により請求できなくなる可能性が高くなってしまいます。
できるだけ早期に弁護士にご相談いただくことにより、時効が完成するのを防いだり、必要な証拠を収集するサポートを行うことが可能です。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。早稲田大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院法学研究科修了。一般民事、特に離婚事件に関する解決実績を数多く有する。離婚カウンセラーの資格を取得しており、法律的な問題を解決するのみならず、常に依頼者の方の心情に配慮し、不安や悩みに寄り添う対応を心掛けている。
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