コラム

公開 2023.12.06 更新 2024.04.05

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相手の非によって離婚に至り、精神的苦痛を受けた場合は相手に対して慰謝料請求をすることができます。
また、離婚時にはほかに財産分与や養育費などの請求も発生します。

では、相手の年収が1,000万円である場合、離婚慰謝料や養育費の相場はどの程度となるのでしょうか?
また、離婚慰謝料はどのような要素で決まるのでしょうか?

今回は、相手が年収1,000万円であることを前提とした離婚慰謝料や養育費の相場や考え方などについて、弁護士が詳しく解説します。

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離婚慰謝料とは

離婚慰謝料とは、離婚によって生じた精神的苦痛を慰謝するため、離婚の相手方に対して請求する金銭です。
不貞行為など共同で不法行為が行われた場合、不倫相手に対して慰謝料請求をすることができます。

ただし、離婚慰謝料はすべての離婚で発生するわけではありません。
どちらか一方に大きな非があるわけではないものの、性格の不一致などから離婚をする場合などは、離婚慰謝料は発生しないことがほとんどでしょう。
また、離婚慰謝料を受け取るには相手に対して請求する必要があり、請求もしていないのに自動的に受け取れるものではありません。

離婚慰謝料はあくまでも離婚に関して非のある側が離婚をする相手方に対して支払うものです。
ここに、男女の違いや年収による違いはありません。

たとえば、年収300万円の夫が不貞行為をして離婚に至った場合、妻の年収が1,000万円である場合も妻から夫への慰謝料請求が可能です。
また、男性から女性に対して離婚慰謝料を請求する場合もあります。

離婚慰謝料の相場はどのくらい?

離婚慰謝料を決めるもっとも大きな要素は、離婚に至った原因です。
離婚原因ごとの慰謝料の一般的な金額は次のとおりです。

ただし、こちらはあくまでも参考であり、離婚慰謝料の額が必ずしもこの範囲に収まるわけではありません。
実際に請求できる離婚慰謝料の額は、具体的な状況に応じて異なります。
そのため、実際のケースにおいて離婚慰謝料の額を知りたい場合は、まず離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。

不貞行為

不貞行為とは、いわゆる不倫のことです。
ただし、法律上の不貞行為とは、単に好意を寄せている場合やキスをした程度では該当せず、性行為を伴う関係が該当します。

不貞行為によって離婚をする場合の慰謝料の一般的な金額は、100万円から300万円程度です。
なお、相手が不貞行為を働いたものの離婚しない場合、慰謝料請求をする余地はあるものの、その場合は離婚をする場合と比較して金額が少なくなる傾向にあります。

悪意の遺棄

夫婦はお互いに同居義務や協力義務、扶養義務を負っています。
悪意の遺棄とは、正当な理由がないにもかかわらずこれらの義務を一方的に放棄することです。

たとえば、夫婦のうち主に収入を得ていた夫がある日突然行方をくらまし生活費を入れなくなった場合などは、悪意の遺棄に該当する可能性が高いでしょう。

悪意の遺棄の場合の慰謝料の一般的な金額は、50万円から300万円程度です。

DV(暴力)

DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略称のことです。
殴る・蹴るなどの身体的な暴力はもちろん、心無い言動等によって相手の心を傷つける行為や、嫌がっているのに性的行為を強要する行為などもDVに該当する可能性があります。※1

DVが原因で離婚に至った場合の慰謝料の一般的な金額は、おおむね50万円から300万円程度です。

離婚慰謝料は相手の年収ごとに相場が決まる?

離婚慰謝料は、相手の年収によって一般的な金額が決まるものなのでしょうか?
この回答は次のとおりです。

年収1,000万円だからといって離婚慰謝料の相場が上がるわけではない

実は、離婚慰謝料の一般的な金額は、相手の年収や自分の年収によって決まるわけではありません。
次で解説しますが、離婚慰謝料は離婚原因などによって決まります。

たとえば、相手の年収が1,000万円であるからといって離婚慰謝料が一般的な金額より高くなるわけでもなければ、自分の年収が1,000万円であるからといって離婚慰謝料が一般的な金額より減額されるわけでもないということです。

ただし、離婚慰謝料の決め方によっては、相手の年収が高いと一般的な金額よりも高額な慰謝料を受け取れるかもしれません。
離婚慰謝料の決め方は次のとおりです。

  1. 当事者間で話し合って決める
  2. 離婚調停で決める
  3. 離婚審判や離婚裁判で裁判所に決めてもらう

「3」にまでもつれ込んだ場合は裁判所が離婚慰謝料の額を決めることになりますが、この段階では原則として年収は加味されません。

一方、「1」や「2」は話し合いによる方法であり、当事者間の合意さえまとまれば離婚慰謝料をいくらにしても構いません。
そのため、たとえば相手の年収が1,000万円である場合、一般的な金額より高い離婚慰謝料の請求に応じてもらえる可能性はあるでしょう。
なぜなら、年収が1,000万円程度の人は多忙であることが多く、離婚慰謝料の金額でもめて裁判にもつれ込み、平日の日中に何度も裁判所に出向く方が自分にとってのデメリットが大きいと考える可能性があるためです。

しかし、この点は交渉によるものであり、相手の性格などによって異なる場合が多いでしょう。
離婚慰謝料に関する交渉を有利に進めるためには、離婚問題に詳しい弁護士へご相談ください。

離婚慰謝料の額を左右する主な要素

離婚慰謝料は年収ではなく、次の要素などによって決まります。
離婚慰謝料の額を左右する主な要素は次のとおりです。

離婚原因

離婚慰謝料の算定でもっとも重要なのが、離婚に至った原因です。
先ほども解説したように、たとえば離婚原因が不貞行為であるのか暴力であるのかなどによって、目安となる慰謝料の額は異なるためです。

子どもの有無

一般的には、未成年の子どもがいる状態である方が、離婚慰謝料は高くなります。
未成年の子どもがいると、離婚に伴う精神的苦痛や生活への影響などがより大きいと考えられるためです。

婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、離婚慰謝料の額が大きくなる傾向にあります。
なぜなら、婚姻期間が長いほど離婚に伴う生活の変化への影響が大きく、積み上げてきた生活を壊された精神的苦痛も大きくなりやすいためです。

請求者側の落ち度

たとえ相手に非があったとしても、請求者側にも落ち度がある場合は離婚慰謝料の額が低くなったり、請求できなくなったりする可能性があります。
たとえば、相手の不貞行為が離婚原因であるものの、請求者側も不貞行為を働いていた場合などは、慰謝料請求のハードルは高くなるでしょう。

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離婚で発生する慰謝料以外の請求

離婚の際には、離婚慰謝料のほかに次の金銭のやり取りが発生する場合があります。
それぞれの概要について解説します。

なお、それぞれ請求の性質や支払い義務者が異なるため、整理して押さえておく必要があるでしょう。
たとえば、妻の不貞行為が原因で離婚に至り、その後未成年の子どもの親権を妻が持った場合など、状況によっては「離婚慰謝料は妻から夫に支払い義務があり、養育費は夫から妻に支払い義務がある」など支払い義務者が逆転する事態も十分にあり得ます。

財産分与

財産分与とは、離婚に伴って婚姻期間中に夫婦の協力で築いた財産を清算することです。

たとえば、夫の年収が1,000万円で妻が専業主婦である場合、家の財産(自宅の土地建物や預貯金など)のほとんどが夫名義になっていることが少なくないでしょう。
しかし、名義こそ夫であるものの、潜在的には夫と妻との共有財産であると考えられます。
なぜなら、夫が収入を得て財産を築くことができたのは、妻による内助の功によるものであるためです。
そのため、離婚に際しては(潜在的なものも含めて)夫婦の共有財産を清算するため、財産分与を行う必要が生じます。

財産分与の割合は、原則として2分の1ずつです。
ただし、一方の特異な能力や才能によって形成された財産は2分の1にはなりません。
また、夫婦が同居していなかった場合も2分の1ルールの例外となる可能性が高いでしょう。

なお、財産分与の対象となるのは、あくまでも夫婦が共同で築いたとされる財産のみです。
そのため、親からの相続や贈与などで受け取った財産は、原則として財産分与の対象とはなりません。

養育費

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用です。
一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する衣食住に必要な経費や教育費、医療費などが該当します。

夫婦間に未成年の子どもがいる場合、養育費はその子どもの親権を持たなかった側の親から親権を持った側の親に対し、定期的に振り込む形で負担することが一般的です。

夫婦が離婚をして一方が親権を持ったとしても、もう一方が親でなくなるわけではありません。
親権を持たなくとも親であることには変わりなく、引き続き養育費を負担する義務があります。
支払先こそ離婚をした相手となることが多いものの、養育費は子どもの「お小遣い」などではなく子どものための請求であることを理解しておきましょう。

なお、養育費は離婚をして初めて発生すると考えている方もいますが、養育費は婚姻期間中も潜在的に発生しています。
ただ、婚姻期間中の場合、子どもの衣食住に必要な経費や教育費、医療費などは家計費からまとめて支出していることが多いため、「養育費」との括りで意識していないだけです。

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年収1,000万円の相手と離婚した場合の養育費相場は?

離婚慰謝料が年収に比例しない一方で、養育費の額は義務者(養育費を支払う人)と権利者(養育費を受け取る人)との年収によって異なります。
では、相手の年収が1,000万円である場合、養育費の一般的な金額はどの程度になるのでしょうか?
ここでは、裁判所が公表している養育費算定表をベースとして、3つのケースでの養育費を紹介します。※2

算定の前提は次のとおりです。

  • 義務者の年収が1,000万円である
  • 義務者も権利者も、自営業者ではなく給与所得者である

0~14歳の子が1人いる場合

0~14歳の子が1人いる場合、権利者の年収が200万円の場合と500万円の場合の養育費の目安は次のとおりです。

  • 権利者の年収が200万円の場合:10~12万円
  • 権利者の年収が500万円の場合:8~10万円

0~14歳の子が2人いる場合

0~14歳の子が2人いる場合、権利者の年収が200万円の場合と500万円の場合の養育費の目安は次のとおりです。

  • 権利者の年収が200万円の場合:14~16万円
  • 権利者の年収が500万円の場合:12~14万円

0~14歳の子が1人と15歳以上の子が1人いる場合

0~14歳の子が1人と15歳以上の子が1人いる場合、権利者の年収が200万円の場合と500万円の場合の養育費の目安は次のとおりです。

  • 権利者の年収が200万円の場合:16~18万円
  • 権利者の年収が500万円の場合:12~14万円

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離婚の慰謝料・養育費請求でお困りの場合はAuthense法律事務所へご相談ください

離婚慰謝料は年収に比例するものではなく、「相手の年収が1,000万円であれば一般的な金額は〇円」などと断言できるものではありません。
ただし、当事者間の話し合いで離婚慰謝料の額を決める場合は、年収が高い相手の場合は一般的な金額より多少高い離婚慰謝料であっても支払いに応じる可能性があります。

しかし、あくまでも交渉によるものであるため、交渉が成功するかどうかは相手の性格や状況次第です。
そのため、より有利な条件で離婚慰謝料の交渉をまとめたい場合は、離婚問題に詳しい弁護士へご相談ください。
また、離婚する場合には、慰謝料のほか財産分与や養育費が請求できる場合もあるため、忘れずに請求するとよいでしょう。

Authense法律事務所には、離婚慰謝料や養育費請求に強い弁護士が多数在籍しています。
離婚慰謝料などの請求をしたい場合や離婚慰謝料を請求されてお困りの際などは、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
離婚に関するご相談は初回60分間無料です。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。
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感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
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