収入のある配偶者が生活費を渡してくれない場合「悪意の遺棄」として離婚原因になる可能性があります。
慰謝料の相場は、幅はありますが、数十万円程度です。
説得しても生活費を支払ってくれないなら、婚姻費用調停を申し立てるとよいでしょう。同時に離婚調停を申し立てて、離婚に向けて進めることも考えられます。
同居したままでも調停申し立ては可能です。
目次
ささいなお悩みもお気軽に
お問合せください初回相談45分無料※一部例外がございます。 詳しくはこちら
オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。
- 24時間受付、通話無料
- 24時間受付、簡単入力
生活費の支払いは夫婦の義務
「夫が生活費をくれないので困っています」というご相談を受けるケースがよくあります。
こちらに収入がないまたは低収入である一方、配偶者が主な家計の担い手であれば、あなたには相手に生活費を請求できる法的な権利が認められる可能性が高いです。
夫婦には生活費(婚姻費用)の分担義務があるからです(民法760条)。
つまり夫婦は経済的な意味においても、お互いに助け合わなければならないので、収入格差がある場合、収入の低い方は高い方へ生活費を請求できます。
請求できる生活費には以下のような費用が含まれます。
- 衣食住にかかる費用
- 医療費
- 子どもの養育費
- 教育費
- 交通費
生活費支払い義務のレベルは高い
法律上、生活費を支払うべき義務を「婚姻費用分担義務」といいますが、婚姻費用分担義務のレベルは決して低くはありません。
「生活保持義務」といって、自分と同等の生活をさせなければなりません。
たとえば自分だけ贅沢をし、配偶者に生活費を渡さないのは、生活保持義務違反となりますし、「借金があるから生活費を払えない」というのも不払いの理由にならないと考えられます。
生活費支払い義務はいつまで?
夫婦の婚姻費用分担義務は、離婚時まで続きます。
たとえ夫婦が不仲でも、別居中でも、基本的には生活費を払わねばなりません。
どうしても支払ってもらえない場合には、裁判所の支援を得て、生活費を受け取りましょう。
生活費を渡してくれない場合、離婚原因になる
生活費の分担は法的な義務であり、支払わないのは違法です。
相手が生活費をくれない場合「悪意の遺棄」として法律上の離婚原因になる可能性があります。
悪意の遺棄とは、「婚姻生活が破綻してもかまわない」という意図をもって配偶者を見捨てる(夫婦間の義務を果たさない)ことです。
生活費をくれない場合「経済的DV」や「モラハラ」とも評価されます。
このように生活費不払いは離婚原因となる場合があるため、相手が離婚を拒否しても、裁判で生活費不払いを立証できれば離婚を認めてもらえる可能性があります。
生活費を渡してくれない場合、慰謝料を請求できる
相手が生活費をくれないという理由で夫婦関係が破綻してしまった場合、慰謝料も請求できる可能性があります。
悪意の遺棄は不法行為(民法709条)に当たると考えられるためです。
慰謝料の金額は具体的なケースによって異なりますが、相場は数十万円程度となるでしょう。
以下のような事情があると、慰謝料が高額になりやすいでしょう。
- 婚姻期間が長い
- 生活費不払いの期間が長い
- 未成年の子どもがいる
- 相手が合理的理由なく家出したなど悪質
- 生活費を支払われなかった配偶者が困窮して生活苦に陥った(借金した、体調を崩したなど)
具体的にどの程度の慰謝料が認められるか知りたいときには個別に弁護士までご相談ください。
相手に生活費を支払ってもらう方法
相手が生活費を渡してくれない場合、以下の方法で請求しましょう。
STEP1 法律上の義務があると伝える
まずは相手に対し「生活費の支払いは法律上の義務」であると伝えましょう。
「支払わないと離婚原因になること」「慰謝料が発生する可能性もあること」など伝えれば、相手も納得して支払う可能性があります。
STEP2 交渉して金額を決める
相手が生活費の支払いに応じたら、月々の金額などを取り決めましょう。
口約束であいまいにしているとまた支払ってくれなくなる可能性もあるので、できれば書面で約束をしておくと安心です。
STEP3 婚姻費用分担調停を申し立てる
説得してもどうしても相手が生活費を渡してくれない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てましょう。
調停は同居したままでも起こせますし、離婚しないで生活費の分担のみ求めることも可能です。
同居状態で婚姻費用分担調停を申し立てると、家庭裁判所から同じ住所宛に呼出状が届きます。
呼び出された日に裁判所へ行くと、相手とは別の待合室で待機して、調停委員から交互に呼び出されて話を進めるのが一般的です。
調停委員も相手に生活費を支払うよう説得してくれるので、合意できるケースが比較的多いです。
STEP4 婚姻費用審判について
調停でも合意できなければ、手続きは「審判」に移行します。
審判では裁判官が婚姻費用の金額を決定し、相手に支払い命令を下します。
このように、相手が生活費を渡してくれなくても、支払いを請求できる方法があります。あきらめずに対応を進めましょう。
弁護士に請求を依頼する
自分で相手と生活費についての話をするのが難しい場合、弁護士に依頼することも検討しましょう。
弁護士が請求して婚姻費用の法的な支払い義務について説明すれば、相手も納得して支払いに応じるケースも珍しくありません。
自分で交渉するストレスもかかりません。
離婚の話し合いと婚姻費用の請求を同時に弁護士に依頼することもできるので、困ったときには相談してみてください。
生活費を渡してくれない相手との離婚の進め方
生活費を渡してくれない相手との結婚生活に将来が見えないなら、離婚も検討すべきです。
離婚は次の手順で進めましょう。
STEP1 話し合って協議離婚を目指す
まずは相手と直接話し合って協議離婚を目指す方法が一般的です。
慰謝料や財産分与、子どもの親権や養育費などの離婚条件を取り決めましょう。
合意ができたら「離婚協議書」を作成し、公証役場へ持ち込んで離婚公正証書にしてもらうことをおすすめします。
STEP2 離婚調停を申し立てる
話し合っても相手が離婚に応じない場合や離婚条件について合意できない場合、離婚調停を申し立てましょう。
同居したままでも、別居後でも調停の申立は可能です。
離婚調停と婚姻費用分担調停は同時進行してもらえるので、生活費を渡してもらえていない場合には、両方同時に申し立てるとよいでしょう。
先に婚姻費用が決まったら、離婚が成立するまで毎月一定額を支払ってもらえるようになり、生活が安定します。
STEP3 離婚訴訟を起こす
調停で話し合っても離婚条件について合意できない場合、離婚調停は不成立になって終了してしまいます。
離婚を進めるには「離婚訴訟」を提起しましょう。
生活費不払いは離婚原因になる場合があり、相手が拒否しても判決で離婚を認めてもらえますし、慰謝料の支払い命令も出してもらえる可能性があります。
ただし訴訟で離婚や慰謝料を認めてもらうには、訴訟で相手の生活費不払いを立証しなければなりません。
財産分与や養育費などの条件も有利な内容に定めてもらうには、弁護士による法的なサポートが大きな力になります。
訴訟手続きは非常に複雑なため、一人で進めることは困難です。離婚訴訟を提起するなら弁護士へご相談ください。
まとめ
相手が生活費を渡してくれない場合、法律上の離婚原因になりますし、慰謝料も請求できる可能性があります。
まずは相手に対し、法的な生活費支払い義務があることを伝えて任意に支払うよう説得してみましょう。
どうしても支払いに応じてくれない場合、婚姻費用分担調停を申し立てれば生活費を請求できます。
離婚するときには弁護士によるアドバイスを受けておくと安心ですので、離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士へ相談してみてください。
Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること
安定した生活のためにも、婚姻費用は早めに取り決めることが望ましく、当事者で話し合いがまとまらない場合は速やかに弁護士に相談し、交渉や調停手続を進めることがお勧めです。
弁護士に依頼した場合、面倒な相手方や裁判所とのやり取りは弁護士が代わりに行い、また、婚姻費用の金額について適正な内容で取り決めることができます。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
ささいなお悩みもお気軽に
お問合せください初回相談45分無料※一部例外がございます。 詳しくはこちら
オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。
- 24時間受付、通話無料
- 24時間受付、簡単入力