厚生労働省が発表した2018年人口動態統計の年間推計では、離婚件数は20万7,000組と報告されています。[注1]
夫婦が離婚をする理由はさまざまですが、その理由の最たるものとして、不貞行為が挙げられます。
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不貞行為とは配偶者以外の異性と性的関係をもつこと
不貞行為とは、配偶者のいる男女が、配偶者以外の異性と性的関係をもつことを指します。不貞行為は結婚している男女に適用されるものですが、内縁関係にある場合も対象です。
つまり、婚姻していなくとも、事実上夫婦と同じような間柄であれば、別の異性と性的関係をもつと不貞行為とみなされます。
不貞行為と不倫・浮気の違いは性的関係の有無
不貞行為と似たような意味の言葉として、不倫と浮気があります。一般的に、不貞行為と同様に不倫はすでに結婚している男女が、配偶者以外の異性と男女の関係ともつことを意味します。また、浮気は、結婚、もしくは交際中の男女が別の異性と近づくことを指し、どこからが浮気なのかはひとによって異なります。
このように不貞行為と不倫、浮気はほぼ同じような言葉に捉えられがちです。しかし、民法で離婚理由として定められているのは不貞行為のみです。不倫や浮気とは異なり、どのようなものが不貞行為であるのかの基準が存在します。
法的には、不貞行為は異性と性的関係をもつことが条件です。つまり、配偶者以外の異性と仲良くしていても性的関係を持たなければ、それは不貞行為とは呼べません。
裁判で不貞行為とみなされる2つの事例
裁判においてどのような行為が不貞行為とみなされるかは、具体的な判例をとおして確認しましょう。
1.ラブホテルで一夜を過ごす
ラブホテルで配偶者以外の異性と一夜をともにした場合、不貞行為を行ったとみなされます。なぜなら、男女がラブホテルで一緒に過ごすということは、2人が性行為を行ったという証拠になるからです。
もちろん、当時の様子を見られるわけではないので、実際に性行為に及んだかどうかは当事者にしか分かりません。しかし、ラブホテルは性行為を行うことを目的とした場所であるため、不貞行為があったとみなされてしまいます。
2.オーラスルセックスを行う
性行為までには及ばずオーラルセックスで終った場合でも不貞行為として認められます。この理由は、オーラルセックスは性交と類似した行為であると考えられているからです。
一方で、キスやハグなどの行為は不貞行為と認められる可能性は低いと考えられていますが、どの程度の行為であれば不貞行為に該当するのかは個別事案によるため、必ずしも性交渉がないからといって不貞行為に当たらないとは言えない点に注意が必要です。
【事例で解説】裁判で離婚理由になるか、不貞行為と認められるかどうか
1.配偶者以外の異性とデートに行く
配偶者以外の異性と一緒にデートに行くこと自体は不貞行為にはなりません。
なぜなら、不貞行為はあくまで性行為に及んだかどうかが重要だからです。
心情的には離婚理由にもなりうる重大なことであり、不倫や浮気として捉えるひともいます。しかし、これだけでは性行為に及んだと結論づけることは出来ません。
もちろん、デート中に性行為を行えば、それは不貞行為として認められます。
2.不貞行為が1度のみ
1度だけ魔がさして配偶者以外の異性と性行為を行った場合は、不貞行為となりますが、離婚理由としては認められないケースもあります。
1度の不貞行為によって、夫婦関係が破綻したとまでは認められない場合があるためです。
実際に、過去の裁判で1度の不貞行為のみで離婚が認められなかった例もあります。
ただし、民法では、結婚生活を継続するのが難しいと認められれば離婚理由として取り扱うと定めています。
そのため、1回の不貞行為で結婚生活が破綻したと認められれば、離婚理由として扱われます。
3.酔った状態で一線を超えてしまう
泥酔状態で一線を超えた場合は、離婚理由として認められない場合もあります。
もちろん、性行為を行えば、それは不貞行為と認められます。
しかし、泥酔していた時の状況などにもよりますが、夫婦関係が破綻したとまでは言えないと判断された場合、離婚が認められない可能性があります。
4.風俗店を1度だけ利用する
風俗店の種類などにもよりますが、1度利用しただけでは、離婚が認められないこともあります。
これも不貞行為を1度だけ行った場合などと同様、それだけで夫婦関係が破綻してしまうとは言えないと判断された結果です。
もちろん、風俗店であろうと性行為を行うのであれば不貞行為として認められますし、何度注意しても風俗店に足を運ぶなど、そのことを理由として夫婦関係の破綻が認められる場合は、離婚事由として取り扱ってくれる場合もあります。
5.風俗店に勤務する
仮に妻が風俗店に勤務しているというケースでは、たとえ仕事であっても性行為をしているのであれば不貞行為として認められますし、そのことが発覚したことにより婚姻関係が破綻したと認められれば離婚が認められることもあります。
6.配偶者以外とキスをする
上述のとおり、配偶者以外の異性とキスをすることは基本的に不貞行為にはなりません。なぜなら、不貞行為とは配偶者以外の異性と性交(または性交類似行為)を行うことと定義されているからです。
女性の中にはパートナーが別の異性と性行為するよりも、キスの方が嫌悪感を抱くというひともいます。しかし、不貞行為は肉体関係の有無が重要であり、キスだけでは不貞行為に該当するとして離婚理由になるということは原則として認められません。
7.同性の相手と性的関係をもつ
配偶者が同性の相手と性的関係を持ったとしても不貞行為とはなりません。なぜなら、同性同士では性交に類似した行為しか行えず、性行為にまで発展することは不可能であるからです。
不貞行為とは、配偶者以外と性行為を行うことを指しますが、オーラルセックスなどの性行為と類似した行為でも不貞行為となります。性交類似行為から性行為へと発展すると考えられるため、このような行為も不貞行為として取り扱っています。
しかし、同性同士で性交類似行為を行う場合、その先に発展することはありません。不貞行為はあくまで性的関係を基本としており、性行為に発展しえない同性同士でいくら類似した行為を行っても不貞行為の定義に当てはまらないのです。
よって、同性同士で性的関係を持っても不貞行為にはなりえません。
ただし、同性との性的関係を持ったことが、婚姻を継続しがたい重大な事由にあたるとして離婚理由になる可能性はあります。
8. 別居中に不貞行為を行う
夫婦が別居した状態でも配偶者以外と性的関係を持ては不貞行為にあたりますが、それを離婚理由として裁判を行い、慰謝料を請求するのは、状況にもよりますが、難しい場合もあります。
なぜなら、夫婦関係が破綻した理由が不貞行為にあるとは考えにくいからです。
そもそも、夫婦が別居しているということは、その時点で、通常、夫婦関係は破綻した状態と考えられます。その状態で不貞行為を行ったところで、それが離婚の直接的な原因だとは誰も思わないでしょう。
不貞行為で離婚するために必要な5つの証拠
不貞行為は離婚の理由として十分なものになります。不貞行為の実体を示すには、メールやライン、画像などが証拠として扱われます。
1.SNSやメールのやり取り
SNSやメールの履歴から配偶者の浮気を客観的に示すことができます。そのため、裁判の証拠とはなり得ますが、それだけで不貞行為があったかを証明するのは難しいでしょう。
不貞行為があったと証明するためには、そのような行為があったことが確認できる、もしくはあったと容易に推測できる資料が必要です。しかし、メールやSNSで定期的に会っていることが分かっても不貞行為があったのかまでは分かり得ません。
ただし、裁判で配偶者以外の異性と定期的に連絡していた事を示す証拠としてメールやSNSの履歴は有効なので、取っておくべきでしょう。
2.不貞行為を示す写真や動画
メールやラインなどのテキストメッセージよりも写真や動画の方が不貞行為を示す証拠として強力です。不倫相手との性行為の様子や、裸で不倫相手が寝ている写真・動画が収集できれば、裁判で不貞行為があったことを示せるでしょう。
また、不倫相手と宿泊施設で泊まる様子や、2人でラブホテルに入る場面などを写真などに収めるのも有効です。ただし、これらの証拠の場合、上記の証拠に比べ不貞行為があった証拠としてはやや弱くなります。
3.不倫があったことを示す音声を録音する
不倫を示す音声も不貞行為の証拠として有効です。たとえば、夫婦同士の会話中に夫(妻)が不倫相手と肉体関係があったこと話すかもしれません。その瞬間をボイスレコーダーに記録しておけば、不貞行為を示す証拠として使えます。
なお、実際の裁判では、音声データは同データとともに、テキスト(反訳文)にして、証拠として提出するのが通常です。
4.探偵などがまとめた調査資料
音声や写真、動画などの証拠は、基本的に自分で入手するのは困難です。なぜなら、不倫をする際は警戒心が高くなるため、素人では証拠集めの最中に相手に見つかってしまうことも多いためです。
このような場合に効果的なのが、探偵や調査会社による資料です。これらの機関では、依頼者に代わってターゲットの人物の身辺調査を行ってくれます。彼らは経験豊富なプロ集団なので、ターゲットに悟られることなく不貞行為があった証拠を集めることが可能です。
これらの証拠はもちろん不貞行為があったことを示す証拠となります。危険を冒して自分で不貞行為の証拠を集めるよりはプロに任せた方が得策でしょう。
ただし、費用については事前にしっかりと確認することが必要です。
5.知り合いの証言
友人や知り合いの証言も不貞行為を示す証拠として有効です。また、1人で悩むよりも友人に相談することで、少し気分が楽になるはずです。また、友人が間に入ることで、1対1だと切り出しにくいことも話せるようになるでしょう。
離婚はあくまで最終手段です。第三者を交えて、話し合いで解決する方法を模索するのもよいでしょう。
不貞行為で慰謝料を請求する際の3つの注意点
パートナーの不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、いくつか注意点があります。
1.不貞行為に対する慰謝料請求には3年という期限がある
不貞行為に対する慰謝料請求には期限があります。法律では、不貞行為を知った時から3年間と規定されているので、もし慰謝料請求を考えているのであれば、すぐに行うべきです。
2.慰謝料請求後も婚姻関係は継続可能
慰謝料を請求するのは離婚をするときだと思いがちですが、実際にはそうではありません。配偶者が不貞行為を行い、それに対して損害賠償を行ったとしても、離婚をする必要はありません。
ただし、離婚する場合と比べ、慰謝料は低くなります。
3.不倫相手にのみ請求することもできる
不貞行為に対する慰謝料は不倫相手にのみに請求することが可能です。そもそも、不貞行為に対する慰謝料の支払い義務は、不倫をしたパートナーと不倫相手の双方にありますが、請求先は訴える側が選択できます。
そのため、慰謝料を半分ずつ請求することや、片方に慰謝料の全額を請求することが可能です。なお、どのように請求しようとも慰謝料の総額は変わりません。
ただし、婚姻関係を継続することを前提とした状態で、不倫相手への慰謝料請求をする場合、離婚する場合と比べて慰謝料の金額が低くなる傾向にあるので、注意が必要です。
まとめ
不貞行為が離婚の理由として認められるためには、パートナーと不倫相手の間に肉体関係があったことを客観的に示す必要があります。しかし、不倫現場を写真や動画に収めることは簡単なことではありません。そのため、必要に応じて調査会社などに依頼することも必要になってくるでしょう。
また、慰謝料請求には不貞行為を知ってから3年以内という期限があります。
離婚をすぐに決断するのは難しいですが、タイムリミットがあることを意識して行動しましょう。
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