離婚調停を有利に進めるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
離婚調停で良い結果を導き出すには、さまざまな工夫が必要です。
今回は、離婚調停を有利に進めるためのポイントを弁護士が詳しく解説します。
この記事を参考に、後悔のない離婚調停を目指してください。
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離婚調停とは
離婚調停とは、裁判所で行う離婚へ向けた話し合いのことです。
裁判所の調停委員が、夫婦の双方から交互に意見を聞く形で話し合いが進行します。
あくまでも話し合いの場ではあるものの、話し合いを仲介する調停委員の役割は大きく、調停委員による心証が離婚調停を有利に進められるかどうかの重要なポイントとなります。
なお、離婚調停は「勝ち負け」を決めるものではなく、自身の主張が100%通る事態は想定しづらいものです。
そのため、離婚調停に「勝つ」というよりも、離婚調停を有利に進める方法を探ることとなります。
離婚調停を有利に進めるための7つのポイント
離婚調停を有利に進めるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここでは、調停を有利に進めるためのポイントを7つ紹介します。
自身の希望を明確に主張する
離婚調停では、離婚へ向けた自分の主張を明確に主張しましょう。
人によっては、金銭の要求を口にすることに抵抗を感じるかもしれません。
しかし、離婚調停の場において遠慮をしたり要求内容をあいまいとしてしまったりすると、不利となるおそれがあります。
「離婚を希望する」、「親権は私が獲得したく、養育費は1か月あたり8万円を希望する」など、自分が何を求めているのか調停委員に明確に伝えるようにしてください。
証拠を提示する
離婚調停は、相手の愚痴をいう場面ではありません。
これまでの事情によっては、誰かに自分の不遇や相手がいかにひどい人間であるかを聞いてほしい場合もあるでしょう。
しかし、離婚調停の場で感情的になったり主観的な愚痴を伝えたりすることはおすすめできません。
離婚調停で相手の非や自身の要求の正当性を主張したい場合は、証拠を示して行うことがポイントです。
たとえば、相手によるDVを主張する場合は、主観的に「痛かった」「悲しかった」とだけ伝えるのではなく、その際に撮影した負傷部分の写真や医師の診断書、警察署への相談記録などを提示します。
また、日々の辛い思いを伝えたい場合は、その場で主張するのではなく自身の日記などの記録を証拠として提示することも重要です。
ただし、あまりに多くの証拠を提示すると、調停委員が把握しきれない可能性もあるため、重要な証拠に絞って提示することが望ましいです。
陳述書を作成する
陳述書とは、自身の主張をまとめた書面です。
陳述書は、離婚調停において必須の書類ではありません。
しかし、陳述書を提出しておくことで、調停委員に十分に主張を把握してもらうことが可能となります。
調停の場で緊張してしまって必要な主張ができなくなる不安がある場合は、陳述書の作成が効果的です。
また、陳述書を作成する中で、自身の主張を整理することも可能となります。
陳述書には所定の様式はなく、記載内容についても特に決まりはありません。
しかし、離婚をしたいと考えた理由や経緯、夫婦間での離婚協議の状況のほか、自身の希望する離婚条件などを記載することが考えられます。
ただし、主観的な相手への悪口や批判などを書き連ねると調停委員の心証が悪くなるおそれがあること、また、陳述書は相手も見る可能性があり、陳述書を見た相手が感情的になり話し合いが困難になるおそれがあることから、避けた方がよいでしょう。
相手の主張を想定して整理しておく
調停にまで至っている以上、相手がこちらの主張をそのまま飲むことは想定しづらく、相手からも意見を主張されることでしょう。
そのため、相手からなされる可能性のある主張をあらかじめ想定し、対応する準備をしておくようにしてください。
あらかじめ相手の主張を想定しておくことで、慌てることなく反論がしやすくなるためです。
調停委員を味方につける
離婚調停を有利に進めるには、調停委員を味方につけることがポイントです。
そのため、ここで挙げている他の項目に注意するとともに、当日の身だしなみにも配慮することおすすめします。
調停委員も人である以上、だらしのない服装や華美な服装の人よりも、身だしなみの整った人を誠実であると感じる可能性があるためです。
発言や主張の矛盾に注意する
離婚調停を有利に進めるには、発言や主張の矛盾には十分注意しなければなりません。
コロコロと主張を変えたり矛盾する発言を繰り返したりすると、不誠実な人物であるとの印象を与えてしまう可能性があるためです。
離婚調停での主張はその場の思い付きで行うのではなく、あらかじめ整理し準備をしたうえで行うことをおすすめします。
譲歩できるポイントを検討しておく
離婚調停において自身の主張を一切曲げず譲歩しない姿勢を見せてしまうと、調停の成立は困難であると判断され、調停が不成立となる可能性が高くなります。
そのため、譲歩できるポイントをあらかじめ検討したうえで、必要に応じて譲歩する姿勢を見せるとよいでしょう。
たとえば、親権は絶対に獲得したいと考えている場合はその点については絶対に譲らない姿勢を見せつつも、養育費については多少の減額に応じられる姿勢を見せことなどが挙げられます。
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離婚調停が不成立となったらどうなる?
離婚調停はあくまでも話し合いの場であり、双方が合意に至らないと不成立となります。
では、離婚調停が不成立となった場合、その後はどうなるのでしょうか?
法律上は「再度裁判外で話し合う」ことや「再度離婚調停を行う」ことも可能ではあるものの、これらで解決を図れる可能性は低いでしょう。
現実的には、「離婚審判」か「離婚裁判」のいずれかに移行することとなります。
離婚審判に移行する
1つ目は、離婚審判に移行することです。
離婚審判は自分で申し立てるのではなく、裁判所が行います。
離婚調停は不成立となったものの、不成立となった原因が些細な意見の食い違いのみによる場合もあるでしょう。
この場合は、裁判所が「離婚した方がよい」と判断し、調停に代わる審判を下します。
しかし、離婚審判は審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内に、当事者のいずれかが異議を申し立てるとその効力を失います。
一方、当事者のいずれも異議申立てをすることなくこの期間を経過すると、その審判によって離婚が成立します。
離婚裁判を申し立てる
2つ目は、離婚裁判を申し立てることです。
離婚裁判とは、裁判所が諸般の事情を考慮したうえで、離婚するかどうかや離婚条件などについて決定を下す手続きです。
判決には当事者双方が従わなければならず、不服がある場合は判決書の送達から2週間以内に控訴をすることとなります。
なお、離婚裁判には半年から2年程度の期間を要することが多く、長期戦を覚悟しなければなりません。
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離婚調停について弁護士へ相談するメリット
離婚調停は自分一人で臨むこともできますが、弁護士のサポートを受けるメリットは少なくありません。
最後に、離婚調停について弁護士へ相談するメリットを6つ解説します。
自身の主張が通る可能性をあらかじめ確認できる
離婚調停で自身の希望を主張しようにも、その主張が法的に真っ当なものであるかどうか判断できない場合も少なくないでしょう。
無理な主張をしてしまうと、調停で不利となるおそれがあります。
弁護士へ相談することで、自身の主張が通る可能性についてあらかじめ確認することができるほか、必要に応じてあらかじめ主張を修正することが可能になります。
離婚調停の申し立て手続きを代行してもらえる
離婚調停を申し立てるには、申立書を作成したうえで、添付書類とともに裁判所へ提出することが必要です。
これだけでも、「どこの裁判所に申し立てるとよいのか」「申立書はどのように書けば良いのか」など疑問が湧くことも多いでしょう。
また、申し立てにあたっては、次の点などにも注意しなければなりません。
- 申立書のコピーは相手方に送付され、記載内容が知られること
- 申立書に記載した以上の条件を求めることは難しいこと
- 離婚調停にあたっては、離婚申立書に書いたことや書かなかったこととの矛盾を指摘される可能性があること(例:離婚調停の場ではDVがあったと主張しているものの申立書にはDVについて一言も書かれていない場合に、なぜ申立書に書かなかったのか調停委員に疑問を持たれる)
このように、申立ての手続きにも多くの注意点が潜んでいます。
弁護士へ依頼することで、この申し立て手続きを代行してもらうことができるほか、申立書の記載を誤って不利になる事態を避けることが可能になります。
証拠の収集について相談できる
離婚調停において証拠が重要となることは、先ほど解説したとおりです。
しかし、自分で証拠を集めようにも何を集めてよいかわからないことも少なくないでしょう。
また、離婚へ向けて証拠を集めていることが相手に知られると、相手が警戒をして証拠がとりづらくなる可能性もあります。
弁護士へ依頼することで、どのような証拠が必要となるのかアドバイスを受けられるほか、証拠収集にあたっての注意点を知ることも可能となります。
離婚調停を有利に進めるために有利な書面を作成してくれる
離婚調停を有利に進めるには、申立書や陳述書などの書面も非常に重要となります。
これらを自分で作成すると、主張と矛盾することを書いてしまったり主観を書き連ねてしまったりして、離婚調停において不利となりかねません。
弁護士へ依頼することで、離婚調停を有利に進めるうえで必要な書面を作成してもらうことが可能となります。
調停に落ち着いて対応しやすくなる
裁判所に行き慣れている人は稀であり、離婚調停にあたっては緊張してしまうことも多いと思います。
緊張してしまうと必要な主張ができなくなったり、しどろもどろになって矛盾した内容を述べてしまったりするリスクがあります。
また、よくわからないままに、相手方の要求を飲んでしまうこともあるでしょう。
弁護士へ依頼することで、あらかじめ調停のシミュレーションをすることができ、落ち着いて調停に臨みやすくなります。
また、当日は弁護士に同席してもらうこともできるため安心です。
裁判に移行した際の落としどころを確認したうえで調停に臨むことができる
先ほど解説したように、調停が不成立に終わると、その後は原則として裁判へと進みます。
調停とは異なり、裁判では裁判所が決断を下すため、証拠がより重視されます。
また、法律や過去の判例に則って厳格な判断がされるため、判例から大きく外れた結論が下る可能性は高くありません。
そのため、たとえ調停で法律や判例に照らして無理のある主張を続けたとしても、裁判に移行すればその主張は退けられてしまうでしょう。
裁判に移行した場合、どのような結論となるのかをあらかじめ想定することで、調停での主張や戦い方が検討しやすくなります。
しかし、裁判に移行した際にどうなるのか、自分で調べきることは容易ではありません。
弁護士へ依頼することで、過去の判例や経験の蓄積をもとに、裁判に移行した際の着地点を想定しやすくなります。
まとめ
離婚調停を有利に進めるためのポイントについて解説しました。
特に重要となるのは、調停委員を味方につけることや矛盾した主張をしないこと、可能な限り証拠を提示することなどです。
緊張から焦ってしまい矛盾する主張をしてしまったり感情的になり過ぎてしまったりすれば、不利となってしまいかねません。
そのため、離婚調停は離婚問題に詳しい弁護士のサポートを受けつつ、入念な準備をしたうえで臨むようにしてください。
Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多く在籍しており、これまでも多くのサポートを行ってきました。
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