離婚調停とは、裁判所で行う離婚に関する話し合いです。
あくまでも話し合いの場であるものの、調停委員が当事者双方に意見を聞き意見を調整しながら話し合いが進行するため、冷静かつ建設的な話し合いがしやすくなります。
離婚調停は弁護士に依頼をすることも可能であり、その場合は弁護士が調停の場に同席します。
では、離婚調停を弁護士に依頼する場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか?
この記事では、離婚調停を依頼する場合にかかる弁護士費用や、弁護士に依頼するメリットなどについて詳しく解説します。
目次
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離婚調停とは?離婚に関する交渉の流れ
離婚調停は、離婚までの流れのうちどこに位置づけられるものでしょうか?
はじめに、離婚の進め方について解説します。
当事者間で話し合う
離婚をしたい場合、まずは当事者間で話し合います。
夫婦がともに離婚に合意をする場合、それぞれが離婚届に所定事項を記入してその離婚届を市区町村役場に提出することで、離婚が成立します。
ただし、特に未成年の子どもがいる状態で離婚をする場合、離婚にまつわる諸条件について、離婚前に取り決めておくべきです。
特に取り決めておくべき事項としては、子どもの親権や養育費の額、面会交流の頻度、財産分与の額などがあります。
これらの事項についても合意できた場合は、取り決めた内容を書面化しておくことをおすすめします。
「離婚協議書」などとして書面を残しておくことで、後から「言った・言わない」のトラブルとなることを防ぎやすくなるためです。
また、養育費など継続的な給付を受ける場合は、離婚協議書は任意の書面ではなく公正証書としておくべきでしょう。
なぜなら、将来相手が約束どおりに養育費を支払わなくなった場合において、公正証書があると相手の財産の差押えがスムーズとなるためです。
公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書です。
一方、離婚協議書が公正証書でない場合は、養育費などが滞納された際にその支払いを求める調停や裁判を提起したうえで強制執行を行う流れとなり、時間や費用のコストが増えてしまいます。
離婚契約書を公正証書とする際は、最寄りの公証役場へ直接依頼をするか、弁護士などの専門家へ手続きを依頼します。
弁護士が代理で交渉する
当時者間で離婚に関する話し合いがまとまらなかったり、相手が離婚へ向けた話し合いに応じなかったり、相手と直接話し合いをすることに危険を感じたりする場合は、弁護士へご相談ください。
弁護士に依頼する場合は、弁護士が相手方に文書を送るなどして交渉を代理することが一般的です。
当事者間で離婚に関する交渉をまとめることが難しい場合でも、弁護士が交渉を代理することで協議がまとまることは少なくありません。
なぜなら、相手としても裁判まではしたくないと考えていることが多いためです。
特に仕事などが忙しい相手の場合は、調停や裁判のために平日の日中に何度も時間を取ることを避けたい場合も少なくありません。
また、弁護士へ依頼すること自体が、離婚への意思が固いことのメッセージともなります。
弁護士の代理によって離婚へ向けた交渉がまとまったら、離婚届に記入をして市区町村役場に提出します。
これで離婚が成立します。
また、離婚にまつわる諸条件は公正証書とすることが一般的です。
離婚調停を申し立てる
弁護士が交渉を代理しても離婚に関する交渉がまとまらない場合は、離婚調停による解決を図ります。
離婚調停とは、家庭裁判所で行う話し合いの手続きです。
話し合いとはいっても、当時者が直接意見をぶつけ合うのではなく、裁判所の調停委員が当事者双方から順に意見を聞き、話し合いを調整する形で進行します。
調停委員は裁判官などではなく、強制的に離婚条件などを決める権限はありません。
調停で離婚を成立させるには、あくまでも当事者双方による合意が必要です。
ただし、調停委員が調停の流れを握っていることは事実であり、調停を有利に進めるには調停委員に主張内容がもっともであると感じてもらうことが重要です。
調停が成立すると調停調書が作成されるため、この謄本や抄本を添付して市区町村役場に離婚届を提出します。
なお、離婚条件なども調停調書に記されるため、調停で離婚をした場合は原則として別途公正証書を作成する必要はありません。
離婚訴訟を提起する
離婚をするかどうかや離婚に関する諸条件に関する合意が調停でも成立しない場合は、離婚訴訟を提起する必要があります。
離婚訴訟とは、離婚するかどうかや離婚にまつわる諸条件などを裁判所に決めてもらう手続きです。
判決の言い渡しがあり、そこから控訴可能期間である2週間が経過すると判決が確定します。
判決が確定すると判決書が作成されるため、この書類を添付して市区町村役場に離婚届を提出します。
不服がある場合は、控訴可能期間(判決書が送達された日から2週間以内)に控訴することができます。
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離婚調停にかかる費用
離婚調停を申し立てた場合、どの程度の費用が掛かるのでしょうか?
離婚調停に要する費用と、弁護士に依頼する場合に掛かる費用は次のとおりです。
離婚調停を弁護士に依頼しなかった場合
離婚調停を弁護士に依頼せず自分で進める場合、次の費用が掛かります。※1
- 収入印紙代:1,200円
- 予納郵便切手代:1,022円(東京家庭裁判所の場合)
- 戸籍謄本など必要書類の取得費用:1,000円~2,000円程度
- 調停調書の交付手数料:1,000円程度
自分で調停を申し立てる際は、費用負担はさほど大きくありません。
ただし、申し立て手続きをすべて自分で行う必要があるほか、主張内容や交渉の手札などについてもすべて自分で検討しなければなりません。
離婚調停を弁護士に依頼する場合
離婚調停を弁護士に依頼する場合は、自分で手続きをする場合に掛かる費用のほかに、弁護士への報酬が発生します。
弁護士報酬は自由化されているため、離婚調停のサポートを依頼した場合の弁護士報酬は事務所によって異なります。
一般的には、着手金と成功報酬の合計で40万円から100万円程度となることが多いでしょう。
また、出廷や出張については別途1日あたり3万円から5万円程度の日当が発生することもあります。
着手金とは、弁護士に業務を依頼する場合に発生する報酬で、結果を問わず支払う必要があるものです。
こちらは、定額制としている法律事務所が多いようです。
一方、所定の効果が得られた場合に追加で発生する報酬を成功報酬といいます。
成功報酬は、得られた経済的利益の額に一定割合(10%〜20%程度)を乗じて算定するのが一般的です。
また、固定額と割合のハイブリッドとなっている場合もあります。
弁護士報酬は依頼先の事務所によって異なるため、掛かる費用の金額や計算方法などについて依頼前に十分に確認しましょう。
弁護士への初回相談料は無料のこともある
弁護士への相談料は、1時間あたり1万円程度に設定されていることが多いでしょう。
しかし、中にはAuthense法律事務所のように、初回相談を無料としている法律事務所もあります。
離婚調停の依頼では弁護士にプライベートなことを多く話す必要があるうえ、弁護士によって離婚に関する考え方が異なります。
そのため、無料相談を活用して弁護士との相性や、掛かる費用を確認したうえで依頼することをおすすめします。
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離婚調停に関する弁護士費用の概要
離婚調停に関する弁護士費用は、誰がいつ支払うものなのでしょうか?
ここでは、基本的な考え方について解説します。
誰が払う?
離婚調停に要する弁護士費用は、原則としてその弁護士に依頼をした人が負担します。
たとえば、夫の不貞行為が原因で離婚の話が浮上し、妻が弁護士に依頼をして離婚調停を申し立てた場合、弁護士の報酬は妻が支払います。
一方、離婚調停を申し立てられた夫も弁護士に依頼することがありますが、夫が依頼をした弁護士への報酬は夫が負担します。
ただし、調停はあくまでも話し合いの場であるため、当事者同士が合意できるのであれば、離婚にまつわる諸条件などはどのような内容としても構いません。
たとえば、妻が負担した弁護士費用を夫が事実上負担する内容で合意することもできます。
ただし、調停にまで至っている時点で、夫がこのような内容に合意する可能性は高くないでしょう。
なお、離婚訴訟で、相手方に慰謝料請求をする場合(離婚原因が相手の不倫やDVによる場合など)は、慰謝料として認められた金額の10%程度が弁護士費用として上乗せすることがあります。
いつ払う?
離婚調停を依頼した際の弁護士費用は「着手金」と「成功報酬」の2段階になっていることが一般的です。
このうち、着手金は弁護士へ正式に依頼をした時点で支払う報酬です。
一方、成功報酬は事件の終了時に支払います。
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離婚調停の基本的な流れ
離婚調停はどのような流れで進行するのでしょうか?
一般的な流れは次のとおりです。
離婚調停を申し立てる
はじめに、当事者のいずれかが離婚調停を申し立てます。
一般的には、離婚をしたいと考える側が申し立てることが多いでしょう。
離婚調停の申し立て先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
ただし、申し立て先とする家庭裁判所について相手方との合意がある場合は、その合意に従います。
離婚調停の申し立てには、次の書類などが必要です。
- 申立書
- 連絡先等の届出書
- 進行に関する照会回答書
- 事情説明書
- 子についての事情説明書(未成年の子どもがいる場合)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明)※3か月以内に発行されたもの
- 「年金分割のための情報通知書」原本
これら以外の書類が必要となることもあるため、詳しくは裁判所の指示に従ってください。
呼出状が届く
夫婦の一方が離婚調停を申し立てると期日が決まり、当事者双方に弁護士から呼出状(期日の案内)が送付されます。
ここには、第1回期日の日時や裁判所の場所、裁判所の連絡先などが記載されています。
第1回期日が開かれる
呼出状に記載された日時において、第1回目の期日が開かれます。
当日は、調停委員が当事者双方から交互に意見を聞く形で調停が進行します。
一般的に、所要時間は2時間程度です。
ここで離婚や諸条件について合意ができれば調停成立となるものの、一度の期日で調停が成立することはほとんどありません。
数回の期日が開かれる
調停が成立するか不成立が決まるまで、数回の期日が繰り返されます。
期日は1か月に1回程度の頻度で開かれることが一般的であり、2回から4回程度の期日が開かれることが多いでしょう。
調停の成立する・不成立が決まる
調停が成立すると、合意した内容をもとに調停調書が作成されます。
調停調書は調停成立の数日後に裁判所から送付されるため、調停成立から10日以内に市区町村役場へ持っていき離婚届を提出しましょう。
一方、不成立となった場合は、離婚訴訟の提起を検討する必要があります。
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費用を支払ってでも離婚調停を弁護士に依頼するメリット
先ほど解説したように、離婚調停を弁護士に依頼すると費用がかかります。
では、費用を支払ってでも弁護士に離婚調停の依頼することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
主なメリットは次のとおりです。
調停を有利に進めやすい
調停の場では、調停委員に自身の主張がもっともであると納得し共感してもらうことが重要です。
自分で調停に臨む場合、緊張がゆえに主張すべきことを主張できない、感情的になって矛盾する発言をしてしまうといった言動で、調停委員の心証を悪くしてしまう可能性があります。
そのため、結果的に調停で不利となるリスクがあります。
一方、弁護士へ離婚調停のサポートを依頼する場合、交渉のプロフェッショナルである弁護士からあらかじめ主張する内容や提示する証拠などに関するアドバイスを受けることができます。
法令や判例などを踏まえつつ、的確かつ効果的に主張をすることが可能となります。
さらに、弁護士を依頼していることから、離婚へ向けた本気度が調停委員へ伝わりやすくなるでしょう。
このような理由から、離婚調停を弁護士に依頼することで、調停を有利に進めやすくなります。
自分で法律や手続きを調べる必要がなくなる
自分で離婚調停を行うには、法律や手続きなどを自分で一つひとつ調べる必要があります。
これには手間や時間を要するほか、手続きを誤ったり法律を知らなかったりすると調停で不利となるリスクもあります。
一方、弁護士に離婚調停のサポートを依頼する場合は、自分で手続きや法令を調べる必要はありません。
心理的な安心感が得やすい
離婚調停は長期に及ぶことも多く、心理的な負担を感じる場合も少なくありません。
特に、調停当日にひとりで家庭裁判所まで出向くことに大きなストレスや不安を感じる人も多いでしょう。
当事者双方の控室は分かれていることが一般的であるものの、エントランスや最寄り駅などで相手と鉢合わせする可能性はゼロではありません。
弁護士に依頼する場合は、弁護士のアドバイスを受けて方針を決めることができるほか、調停当日にも立ち会ってもらえるため、心理的な安心感を得られやすくなります。
また、離婚調停中であっても、相手から裁判外で直接連絡が入る可能性もあるでしょう。
そのような場合でも、弁護士に依頼をしていると弁護士を連絡窓口とすることができ、相手からの連絡をシャットアウトしやすくなります。
訴訟になっても落ち着いて対応できる
離婚調停が不成立となった場合は、裁判所に離婚の可否や離婚条件を決めてもらう訴訟となる場合があります。
訴訟に心理的な抵抗を感じる人は少なくなく、「自分さえ条件を飲めば調停までで解決できる」との思いから相手の主張を飲んでしまう場合もあります。
一方、弁護士に依頼する場合は、訴訟を過度に恐れる必要はありません。
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離婚調停を弁護士に依頼するデメリット
離婚調停を弁護士に依頼することには、デメリットもあります。
主なデメリットは次の2点です。
弁護士費用が掛かる
離婚調停を弁護士に依頼する場合は費用が掛かります。
弁護士費用は高額となることも多く、二の足を踏む場合もあるでしょう。
しかし、長期的な視点で考えると、弁護士に依頼して養育費や財産分与などをきちんと請求することができれば、かかった弁護士費用以上にリターンが大きくなり得ます。
また、弁護士を依頼することによる心理的な安心感は、お金に変えられるものではないでしょう。
眼の前の金額だけを見て「高い・安い」と判断するのではなく、受けられるサポート内容を総合的に踏まえて自分にとって価値があるかどうか検討してみてください。
互いに後に引けなくなる可能性がある
離婚調停にまで発展したものの、調停委員の仲裁を受けて冷静な話し合いをすることで、離婚しないとの結論に至る可能性もゼロではありません。
しかし、弁護士を立てて離婚調停をした場合には対立構造が明確となり、お互いに後に引けない状態となる可能性があります。
そのため、離婚調停を弁護士へ依頼する際は、離婚についての自分の意思をあらためて冷静に確認することをおすすめします。
まとめ
離婚調停を弁護士に依頼する場合、弁護士報酬分の費用がかかります。
しかし、離婚調停を弁護士に依頼することにはメリットが少なくありません。
最大のメリットは、交渉のプロフェッショナルである弁護士から交渉の進め方について具体的なアドバイスが受けられるうえ、調停の場に同席してもらえることでしょう。
また、孤独な戦いとなりやすい離婚交渉において絶対的な味方である弁護士のサポートを受けられることで、心理的な負担の軽減につながります。
そのため、離婚調停をする際は、離婚問題の解決に強い弁護士へご依頼ください。
Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多く在籍しており、これまでも数多くの離婚調停をサポートしてきました。
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