コラム
公開 2021.07.06 更新 2021.10.27

不倫相手に慰謝料を請求するには?請求の手続きと流れ

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不倫相手に慰謝料を請求するにはどうしたら良いのでしょうか?慰謝料を請求する際の具体的な方法は、交渉による請求または裁判所による請求があります。
今回は、不倫相手に慰謝料を請求する方法や、不倫相手に慰謝料を請求できるケース、できないケースなど、注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。

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不倫相手に慰謝料を請求できるケース

不倫とは、法律の用語では「不貞行為」といいます。
基本的には、配偶者ではない異性と自由な意思で性行為や肉体関係を持つことを意味します。
(ただし、近時の裁判例では同性間での性行為を「不貞行為」を認める判断も出ています。)

性行為や肉体関係を持たなくても、性的に密接な関係(性交類似行為)を持つことが不貞行為に含まれるとする裁判例もあります。
さらに、性行為や肉体関係、性交類似行為がなくても、婚姻関係を破綻に至らせるような異性との交流は、不貞行為にあたると判断されたケースがあります。
日中のデートや食事、手をつなぐという行為だけでは、基本的に不貞行為とはなりませんが、たとえばキスをしたり、抱き着いたりという行為であっても上記のとおり不貞行為と判断されることもあります。
不倫相手に慰謝料を請求する場合には、不貞行為の存在はもちろん、不倫相手が結婚していると知っている(「故意」といいます。)か、知らなかったとしても注意すれば知ることができたし、知るべきであった(「過失」といいます。)という事情が必要です。
不倫相手が既婚者であることについて故意または過失が認められれば、不倫相手に慰謝料請求ができます。

不倫相手に慰謝料を請求できないケース

不倫相手が既婚者であることを知らなかったか、注意をしても知ることができなかった場合には、慰謝料を請求できません。
また、不貞行為があった時点において、夫婦の婚姻関係が既に破綻していたような場合には、不倫相手に慰謝料を請求できません。
なぜなら、既に婚姻関係が破綻していたような場合は、不貞行為を原因として婚姻共同生活の維持という法的保護に値する権利が侵害されたとは評価できないからです。

ただ、婚姻関係が破綻していたと判断されるのは、原則として夫婦間が離婚に向け別居していることが必要であるといえ、そのほかにも別居をしている期間中に夫婦が関係を修復するための話し合いを一切していないことなどの事情が必要と考えられています。短期間の別居では婚姻関係の破綻とはいえないと判断した裁判例もあります。

そのため、実際には婚姻関係が破綻していたと認められて慰謝料請求が認められないとされるケースは多くありません。
慰謝料請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求として認められる権利です。
そのため、法律上、一定期間が経過すると請求する権利が消滅すると規定されています。
具体的には、不貞行為と不貞相手を知ったときから3年、もしくは不貞行為があったときから20年を経過してしまうと、不倫相手に慰謝料を請求することができなくなります。

不倫相手に慰謝料を請求する方法

不倫相手に慰謝料を請求する方法

ここまでは、不倫相手に慰謝料を請求できる場合・できない場合を解説しました。
続いて、慰謝料を請求する場合にどういった方法があるのかについてお伝えしていきます。

交渉による請求

まず、交渉による請求をすることが考えられます。
不貞行為と不貞相手を特定した場合、その不倫相手に対して口頭ないし書面によって慰謝料を請求します。

口頭による請求のメリットは、不倫相手に直接タイムリーに主張を伝えることができるため、早期解決が期待できることと、不倫相手に責任逃れの時間を与えないということです。
デメリットとしては、水掛け論になりやすいということと、不倫相手の言い分に対して、反論を適切に表現しなければならないことです。
口頭での請求をする場合は、その場の録音をしたりして、話し合いの内容の記録を残しておくことも重要です。

書面による請求のメリットは、主張を明確化することができるとともに、組み立てを正確に行うことができることです。
また、不倫相手に本気度を示すこともできますし、書面でのやり取りを行うことで記録(証拠)を残すこともできます。
デメリットとしては、書面でのやり取りになりますので時間がかかることや、不倫相手の住所を知らなければならないことです。

いずれの方法にしても、不倫相手と直接やり取りをしなければならないというデメリットがあります。

裁判所による請求

次に、裁判所による請求をすることが考えられます。
不倫相手に対して訴訟を提起する方法です。

メリットとしては、第三者である裁判所が間に入って判断するため、相場と大きく離れた慰謝料金額とならないことや、和解で終了した場合には任意での支払いを期待できることがあります。
また、和解や判決いずれにしても強制力が伴いますので、もし不倫相手が決まった慰謝料を支払わない場合には、財産を差し押さえる手続きを執ることができます。

一方で、訴訟は短くとも半年以上は時間を要するため、慰謝料の支払いがされるまでに時間がかかってしまうことが最大のデメリットといえるでしょう。
また、直接不倫相手と交渉する場合は、双方間の合意によって慰謝料の金額が決まりますが、裁判では相場に近い金額での慰謝料額にしかならないことは、請求する側にとってはデメリットともいえます。

交渉による請求の手続きと流れ

不倫相手と慰謝料の金額を直接交渉して請求する方法です。
一般的には、書面でまずは不倫相手に慰謝料を請求します。
内容証明郵便などによって不貞行為の事実や期間を記載し、支払期日を決めて慰謝料の支払いを請求します。

請求した慰謝料が不倫相手から支払われれば問題はありませんが、不貞の事実自体が争われたり、慰謝料の金額や支払い方法の希望などさまざまな交渉を求められたりすることも多くあります。
交渉の結果として、最終的に慰謝料の金額や支払い方法が決定され、示談書(合意書)を作成して解決することになります。

交渉の方法はさまざまで、書面によるやり取りを繰り返したり、電話や直接会ってやり取りしたりなど、特に決まりはありません。
慰謝料の金額についても、当事者双方で合意に至ればその金額となりますので、相場に縛られる必要もありません。

裁判所による請求の手続きと流れ

裁判所による請求の手続きと流れ

交渉で和解・示談ができなかった場合は、訴訟を提起して慰謝料の請求をすることになります。
この場合、裁判所に訴状を提出します。

訴状には、慰謝料の金額、慰謝料を請求する根拠となる不貞行為の詳細を記載する必要があります。
また、不倫相手が不貞行為の事実を認めないといった場合には、不貞行為があったことを第三者である裁判所が理解できるように不貞行為の事実を証明するための証拠を提出しなければなりません。

訴訟を提起すると、その後の手続きは、不倫相手による反論、それに対する再反論という流れで進行していきます。
事案によっては、裁判所に当事者双方が呼ばれて話を聞くということもあります。
そのときには、基本的に不倫相手と顔を合わせなければなりません。

慰謝料請求の相場がある程度決まっているという現状もあるため、裁判所からは和解(裁判内での話し合いによる解決)をすすめられるケースが少なくありません。
裁判所から提示される和解内容が双方の間で合意できれば、和解で終了することが多いです。

和解によって終了できなかった場合は、裁判所が慰謝料の金額を判断し判決が出されることになります。
慰謝料の相場はある程度は決まっているため、その相場の金額に落ち着くことが圧倒的に多くなります。

不倫相手に慰謝料を請求する際の注意点

最後に、不倫相手に慰謝料を請求する場合に気を付けたいポイントをお伝えします。

不貞行為の証拠を集める必要がある

まずは、不貞行為の証拠を集めなければなりません。
不貞行為の証拠としては、配偶者と不倫相手の連絡の履歴や探偵の調査報告書などが考えられます。

しかし、不貞行為の証拠が必要だからといって、違法な行為によって収拾してはいけません。
例えば、写真や文書をねつ造したり、配偶者の携帯電話を覗きみる不正なアプリを利用したり、盗聴や盗撮、住居侵入など刑事上問題となるような行為をしたりしないように注意してください。
違法行為によって集めた証拠は、裁判では証拠として取り扱ってくれないこともあります。

不倫相手ともめることがある

不倫相手とは冷静に話し合いをしましょう。
不倫相手がどのような人間なのかはわかりませんし、逆恨みされることもあるからです。
話し合いの際には、第三者を同席させるなどの方法も検討してください。

証拠となる書面を残しておく

不倫相手と慰謝料の金額や支払い時期、支払い方法について取り決めをした場合には、示談書などの書面にしましょう。
可能であれば、強制執行が可能となる公正証書を作成するべきです(ただし、公正証書の作成には不倫相手の協力が必要になりますので、実際には難しいケースも多くあります。)。

せっかく取り決めをしたのに、双方の認識に誤差が出てしまい、後々言い逃れされてしまうことさえあるため、書面は必ず作成し、言い逃れできないよう、証拠として残しておくべきです。

まとめ

不倫された場合には、精神的に傷つくことはもちろん、不倫相手を許せないと考えるのは当然です。
「お金ではない」と考える方も多くいらっしゃいます。

しかし、慰謝料を請求することで、「不倫は絶対に許さない」ということを不倫相手に伝え、不倫関係の継続を牽制することができます。
不倫されたことで精神的な苦痛を受けたことを伝えることによって、反省を促すことができます。

また、配偶者にも今後は不倫をしないように伝えることができます。
そのため、「お金ではない」としても、今後の生活のためにもきっちり慰謝料を請求するようにしましょう。

とはいえ、不倫相手と直接やり取りしたり、交渉したりすることは強いストレスを感じることもまた事実です。
また、訴訟を提起しなければならなくなった場合には専門的な知識や経験が必要となります。
弁護士に依頼すれば、事情を詳しく伺い、お気持ちを真摯に受け止め、専門的な知識や経験に基づいて相手方と交渉することができます。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・不倫相手への請求、交渉の窓口、裁判になった場合の手続きなどを弁護士にお任せいただくことが可能です。相手方と直接話をせずに慰謝料を請求をすることができます。

・不倫相手からの反論(既婚者だと知らなかった、婚姻関係が破綻していたから慰謝料を支払う必要はないなど)に対しても、実際の裁判例に基づいて判断し、不倫相手の反論が合理的でないと判断した場合は、法的な視点から不倫相手の不合理な部分を具体的に指摘することができます。

・不倫相手に対して慰謝料を請求する場合は、基本的には現住所や氏名を特定することが必要ですが、不倫相手の電話番号のみしか知らないなどの断片的な情報からでも、弁護士による調査を経ることで現住所や氏名を特定することができる場合があります(全ての場合で特定が可能であるわけではありません。)。

記事を監修した弁護士
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