家族の形が多様化しており、中には別居婚を選択する夫婦もいます。
別居婚の離婚率は、通常の夫婦と比較して高いのでしょうか?
また、別居婚の離婚率が高い場合、その理由はどのような点にあると考えられるでしょうか?
今回は、別居婚の離婚率や別居婚で離婚する場合の注意点などについて弁護士が詳しく解説します。
目次
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別居婚とは
「別居婚」は法律用語ではなく、法令で正確に定義されているわけではありません。
一般的には、夫婦が同居せず別の場所で暮らしたまま法律婚をすること指します。
夫婦が別居する場合は、離婚へ向けて行うこともあるでしょう。
しかし、「別居婚」は少なくとも当面の間は婚姻関係を継続する意思がある点で、単なる別居とは区別されます。
夫婦が同居しないという点では、単身赴任も別居婚に含まれると考えるかもしれません。
しかし、別居婚は転勤などやむを得ない事情によるものではなく、夫婦があえて別居を選んでいるというニュアンスで語られることが多いようです。
そのため、この記事では単身赴任などではなく、夫婦が主体的に別居を選択していることを前提として解説します。
別居婚の離婚率
別居婚の離婚率は、高いのでしょうか?
ここでは、一般の離婚率を別居婚の離婚率と比較して解説します。
全体の離婚率は30%程度
「3組に1組の夫婦は離婚する」といわれるように、全体の離婚率は30%程度です。
離婚に関する統計をとっている厚生労働省が報道関係者に送付したプレスリリースに、次の表現があります。※1
- 令和2年では、「年齢別婚姻率の合計(平均して一生の間に結婚する回数)」に対する「年齢別離婚率の合計(平均して一生の間に離婚する回数)」の割合は、男女とも0.32 となり、およそ結婚した3組に1組が離婚していることになる。
別居婚の離婚率に公的なデータはない
別居婚に関する明確な定義がない以上、別居婚の離婚に関する公的なデータはありません。
別居婚をしている相手との離婚をご検討の際は、Authense法律事務所までご相談ください。
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別居婚の離婚率が高くなりやすい理由
別居婚で離婚率が高くなりやすい理由は、どのような点にあるのでしょうか?
ここでは、考えられる主な理由を4点解説します。
不貞行為に至りやすいから
1つ目は、別居婚では不貞行為が発生しやすいことです。
同居している夫婦であっても不貞行為に至る場合はあるものの、別居婚では一般的に不貞行為へのハードルが下がりやすいと考えられます。
なぜなら、別居婚では相手の生活スタイルを把握しにくく、帰宅が遅くても咎められにくいためです。
不貞行為の相手と会った後で、配偶者が待っている自宅に帰宅する必要もありません。
また、不貞行為の相手方に既婚であることを隠しやすいともいえるでしょう。
コミュニケーション不足となりやすいから
2つ目は、コミュニケーションが不足しやすいことです。
同居している場合、たとえ意見の相違が生じて夫婦げんかに至っても、長期間会わずに生活することは困難であり、結果的に関係修復に至る可能性が高くなります。
一方で、別居婚の場合は顔を合わせないまま長期間を過ごすことが物理的に容易であり、一つ意見が相違したことをもって、しばらく会わないような事態ともなりかねません。
つまり、都合の悪い事実から「逃げやすい」状態であるともいえます。
このようなコミュニケーション不足が積み重なることによって、恋愛感情から家族としての情愛へとうまく移行することができず、離婚に至ってしまうリスクがあります。
子どもを設けづらいから
3つ目は、子供を設けづらいからです。
別居婚を希望する人の中には、子供を設けるつもりがない人も少なくありません。
しかし、ライフステージの変化や年齢の上昇とともに、その気持ちが変化することもあります。
それでも、相手が頑なに子供を設けることを拒否する場合は、離婚が有力な選択肢となるでしょう。
たとえお互いに子供を設けるつもりがなくても、子供ができる可能性をゼロとすることは困難です。
そのため、予期せず懐妊することもあります。
懐妊すると妻の生活は一変し、これまでどおり自由に生活するわけにはいきません。
体調も大きく変化し、妊娠期間や出産直後は収入が激減することもあるでしょう。
このような事態となった際に、夫婦間の価値観の違いが浮き彫りとなることがあります。
たとえば、妻としては妊娠した以上は出産をして夫とも同居したいと考える一方で、夫が自由に固執してこれまでの生活を変えるつもりがない場合などは、離婚に至る可能性が高くなります。
結婚をしている意味がわからなくなりやすいから
4つ目は、別居婚の期間が長くなると、結婚をしている意味がわからなくなりやすいためです。
時間の経過とともに考えが変わり、同居したいと考えることもあるでしょう。
この際に相手も同居に合意すればよいものの、相手が頑なに同居を拒む場合は、これがきっかけで離婚に至る可能性が生じます。
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別居婚の配偶者から離婚を切り出された場合の対処法
別居婚を続ける中で配偶者から離婚を切り出された場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ここでは、主な対処法について解説します。
冷静に話し合う
別居婚の配偶者から離婚を切り出されたら、まずは冷静に話し合いましょう。
話し合いをする中で、相手が離婚したいと考えるに至った原因を探ります。
原因が判明したら、その問題が解消し得るものかどうかなどを踏まえ、離婚に応じるかどうかを検討します。
同居婚を検討する
相手が離婚したいと考えている原因が別居婚であることにある場合は、同居することを検討します。
一方で、たとえ離婚に至ってでも同居はしたくないと考えるのであれば、離婚を検討することとなります。
弁護士に相談する
相手の言い分に納得がいかない場合は、離婚問題に強い弁護士へ相談します。
弁護士へ相談することで、その後の交渉の進め方や離婚に際して相手と決めておくべきこと、離婚に伴って発生し得る金銭(財産分与や養育費など)の目安などが把握できます。
別居婚の配偶者と離婚する場合に取り決めるべきこと
別居婚の配偶者と離婚する場合、どのような取り決めを行う必要があるのでしょうか?
ここでは、離婚に際して主に協議しておくべき事項を紹介します。
慰謝料について
慰謝料とは、精神的苦痛を償うために支払う金銭です。
離婚をしたからといって必ずしも慰謝料が発生するわけではなく、単なる考え方の不一致などによる離婚では慰謝料は発生しないことが一般的です。
一方で、離婚原因が一方の不貞行為やDVなどの不法行為である場合は、慰謝料請求の対象となります。
慰謝料支払い義務の有無や支払うべき慰謝料の額などについて争いがある場合、最終的に裁判所に決めてもらうことになりますが、夫婦間で合意ができるのであれば、原則として慰謝料額はいくらであっても構いません。
財産分与について
財産分与とは、離婚に伴って夫婦の共有財産を清算する手続きです。
たとえば、夫婦の一方(例:夫)が外部からの収入を得ておりもう一方(例:妻)が専業主婦であった場合、婚姻期間中に積み上がった財産の大半が夫名義であることは少なくありません。
しかし、夫が外部からの収入を得られたのは、妻による内助の功にもよるものです。
そのため、たとえ名義は夫であっても、婚姻期間中に得た財産は潜在的に夫婦の共有であると考えられます。
そこで、離婚の際に婚姻期間中に積み上がった財産を原則として2分の1ずつの割合で分けることとなります。
財産分与の有無や割合などについて争いがある場合、最終的に裁判所に決めてもらうことになりますが、夫婦間で合意ができるのであれば、原則として分与額がいくらであっても構いません。
(子どもがいる場合)親権と面会交流について
離婚する夫婦に未成年の子供がいる場合は、離婚に伴って子供の親権者を決めます。
2023年時点において、日本では離婚後の共同親権は認められておらず、夫婦のいずれかが親権者とならなければなりません。
ただし、未成年の子供が2人以上いる場合、子供ごとに親権者を分けること自体は可能です。
また、親権を持たなかった側の親が子供と会うため、面会交流の頻度や方法などについても定めることが一般的です。
(子どもがいる場合)養育費について
離婚する夫婦に未成年の子供がいる場合、養育費についても取り決めます。
養育費とは、子供の教育や監護に要する費用であり、子を養育していない側(通常は親権を持たなかった側)の親から子を養育している側の親(通常は親権を持った側の親)に対して支払うこととすることが一般的です。
たとえ親権を持たなくても、子供が自分の子でなくなるわけではないため、養育費の負担は親としての義務です。
未成年の子供がいる状態で離婚する場合は、養育費について必ず取り決めてください。
また、養育費は一括で支払うのではなく、長期にわたって継続的にやり取りされることが一般的です。
そのため、特に養育費について取り決める場合は、その取り決めを任意の書類で交わすのではなく、強制執行認諾文言を定めた公正証書としておくことをおすすめします。
公正証書としておくことで、万が一支払いが滞った際に給与や財産などの差押え手続きがスムーズとなるためです。
また、差押えを避けたいとの意識が働き、滞納を抑止する効果も期待できます。
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別居婚で離婚する場合の注意点
別居婚で離婚する場合、一般的な離婚と比較してどのような点に注意すればよいのでしょうか?
最後に、別居婚で離婚する場合における主な注意点を3つ解説します。
不貞行為の証拠が掴みづらい
1つ目は、相手の不貞行為が原因で離婚をしたいと考えていても、不貞行為の証拠が掴みづらいことです。
相手の不貞行為が原因で夫婦関係が破綻した場合、相手に対して慰謝料請求をすることができます。
しかし、相手が離婚を否定しており決定的な証拠もない場合は、慰謝料を受け取ることは困難です。
そのため、相手の不貞行為が原因で離婚する場合は、まず証拠を集めなければなりません。
別居婚の場合、不貞行為の証拠を掴むハードルが高くなる傾向にあります。
別居婚である場合は相手の生活スタイルが掴みにくく、不倫相手といつ会っているのかの予想がつきにくいためです。
スマートフォンなどから不貞行為が発覚する場合もあるものの、別居婚の場合は相手のスマートフォンを見る機会も非常に限定されています。
そのため、別居婚の場合において相手の不貞行為を理由として離婚したい場合は、できるだけ早期に弁護士へ相談し、証拠の集め方などについてもご相談ください。
財産分与が受けられない可能性がある
2つ目は、別居婚の場合は財産分与が受けられない可能性があることです。
先ほど解説したように、財産分与が認められる理由は内助の功があると考えられるためです。
しかし、別居婚の場合はそれぞれが独立した生活を送っているため財産形成への貢献が認められづらく、財産分与が受けられなかったり大きく減額されたりする可能性が高くなります。
慰謝料が低くなりやすい
3つ目は、慰謝料が低くなりやすいことです。
たとえ相手の不貞行為で離婚に至った場合であっても、自分が頑なに同居を拒んだことがその原因である場合などには、慰謝料が減額される可能性があります。
ただし、実際に慰謝料が減額されるかどうかは、離婚原因や別居婚をしている理由、婚姻期間中の夫婦関係などによってケースバイケースです。
そのため、別居婚での離婚で相手に対して慰謝料を請求したい場合は、離婚問題に強い弁護士にあらかじめご相談ください。
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まとめ
別居婚の離婚率に関する明確な統計データはないものの、別居婚の離婚率は一般的な夫婦と比較して高い傾向にあると考えられます。
その原因は、別居婚ではコミュニケーションが不足しやすいことや、自由の裏返しとして不貞行為に至りやすいことなどです。
別居婚で離婚をする場合、財産分与が受けられない可能性や不貞行為などの証拠が掴みづらい可能性があるほか、慰謝料が減額されるかもしれません。
そのため、別居婚をしている相手との離婚を検討している際は、相手に離婚を切り出す前に弁護士へご相談ください。
Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多数在籍しており、これまでも別居婚の夫婦の離婚を数多くサポートしてきました。
別居婚の相手との離婚をご検討の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
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Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
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