夫や妻の仕事が忙しすぎて家庭を顧みない、子どもの面倒をみない、家に帰ってこない。
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1.すれ違いで離婚を考えてしまうパターン
近年では男女問わず仕事に打ち込む方が増えています。社会で活躍することは素晴らしいのですが、その分家庭がないがしろにされて家族関係にヒビが入る可能性もあります。
仕事が忙しすぎると配偶者が「離婚」を考えてしまうケースも少なくありません。夫や妻の仕事が忙しくて離婚を考えるケースの典型例として、以下のようなものがあります。
- ・夫や妻が毎日夜遅く帰ってくるのでほとんど顔を合わせることがない
- ・仕事のことで頭がいっぱいで普通の会話ができない
- ・夫や妻が全く子どもに関心を示さない
- ・仕事が忙しくて家に帰ってこない
- ・仕事でストレスを溜めてやつあたりをしてくる
- ・お互いにフルタイムで働いているのに、妻ばかりが家事育児をして負担が重くなっている
- ・お互いに関心がなくなり家庭内別居状態である
- ・夫婦としての関係が終わり別居生活している
昔は「夫の仕事が忙しすぎるので妻が離婚を考える」ケースが多数でしたが、最近では様相が変わって「妻の仕事が忙しすぎてかまってくれないので夫が離婚を考える」ケースも増えています。
「配偶者の仕事が忙しい」場合、具体的な状況によって離婚できるかできないかが変わってきます。
2.相手が合意すればすれ違いが理由でも離婚できる
配偶者の仕事が忙しくて離婚したいとき、配偶者本人が離婚に同意すれば離婚は可能です。
日本で離婚するときには、まずは「お互いが話し合って決めるべき」とされています。そのための方法が「協議離婚」や「調停離婚」です。
これらの離婚手続きの場合、「離婚理由」は何でもかまいません。夫婦の双方が「離婚すること」にさえ合意すれば離婚できます。
ただし未成年の子どもがいる場合、親権者だけは必ず決めなければなりません。また実際に離婚する際には、財産分与や養育費などの離婚条件もきちんと取り決めて「離婚公正証書」という書類にまとめてからにしましょう。離婚条件を約束しておかないと、離婚後に財産分与調停や養育費調停などが起こって紛争の蒸し返しになる可能性が高まるからです。
3.裁判で離婚するには「法律上の離婚理由」が必要
日本でも、夫婦がお互いに話し合って離婚問題を解決できない場合には「訴訟」によって離婚する方法が認められています。
訴訟で離婚するためには、「法律上の離婚原因」が必要です。民法の定める以下の5種類の離婚原因のうち1つ以上が認められないと、離婚判決を出してもらえません。
法律上の離婚原因5つ
- ・不貞
配偶者が別の異性と肉体関係をもって不倫することです。 - ・悪意の遺棄
配偶者が「婚姻関係を破綻させてもかまわない」という意図をもって相手を見捨てることです。 - ・3年以上の生死不明
配偶者が3年以上生死不明の状態が続いていたら裁判で離婚できます。 - ・回復しがたい精神病
配偶者が重度の統合失調症や躁うつ病、偏執病や若年性認知症などにかかっている場合、他の一定要件を満たせば離婚が認められます。 - ・その他婚姻関係を継続し難い重大な事由
上記に準じる重大な事情があって婚姻関係の継続が不可能な場合には裁判で離婚が認められます。
4.仕事が忙しくすれ違いで「法律上の離婚原因」が認められるケースと認められないケース
4-1.すれ違いで法律上の離婚原因が認められるケース
相手の仕事が忙しすぎてすれ違いが起こっている場合、以下のような事情があれば訴訟で離婚が認められる可能性があります。
- ・相手が家にほとんど帰ってこない
- ・相手が別の異性と不貞している、不貞相手と同棲している
- ・相手が家で暴力を振るう
- ・相手が家でモラハラ行為を行う
- ・相手が家にお金を入れない
- ・長期間別居状態が続いている
- ・お互いに夫婦として関係を修復する意思がない
4-2.すれ違いで法律上の離婚原因が認められないケース
以下のような状況であれば、相手の仕事が忙しくてすれ違いが生じていても裁判での離婚は認められない可能性が高くなります。
- ・相手は仕事が忙しくても家に帰ってくるしお金もきちんと入れてくれる
- ・同居しており日常生活の会話などは行っている
- ・不貞、生活費不払い、暴力などの問題行動はなく、相手が強硬に離婚を拒絶している
- ・相手は残業や休日出勤が多く仕事が忙しいが、たまには家族で出掛けることもある
5.すれ違いを理由に離婚を考えたときの対処方法
夫や妻の仕事が忙しすぎるので離婚を考えたら、以下のように対処してみましょう。
5-1.不満をぶつけて話し合う
配偶者の仕事が忙しくて家に寄りつかないとき、夫婦のコミュニケーションがなくなってお互いの気持ちが伝わっていないケースが多々あります。相手は配偶者が「仕事が忙しすぎるからもう少し控えてほしい、家庭の方を見てほしい」と希望していることにすらまったく気づいていないケースも少なくありません。
そこでまずは、相手に「もう少し仕事を抑えて家庭を顧みてほしい」という希望を伝えましょう。相手が変わってくれれば離婚を回避できる可能性があります。
5-2.離婚の話し合いをする
不満をぶつけても相手が変わってくれない場合や話にならない場合、逆切れされてしまう場合などには真剣に離婚を検討しましょう。
まずは財産分与等の資料を集めて離婚の準備を整えます。預貯金通帳や不動産の権利証、車検証や生命保険、証券取引状況等をチェックし、コピーや原本を手元に集めます。
その上で相手に「離婚したい」と切り出しましょう。
相手が離婚に応じたら財産分与や親権等の離婚条件について取り決めます。合意ができたら離婚公正証書を作成し、離婚届を役所に提出しましょう。
5-3.離婚調停を申し立てる
話し合いをしても合意できなければ、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。
調停では法律上の離婚原因は不要ですが、これといった離婚理由がないのに調停で離婚を求めると調停委員から「なぜ離婚したいのか」「思いとどまってはどうか」などと説得される可能性があります。調停を申し立てる前にはどういった方法で調停委員を味方に引き入れるか、しっかり検討しましょう。
5-4.別居して婚姻費用を請求する
離婚調停を起こす前に別居して様子を見る方法もあります。相手が一家の大黒柱でこちらが専業主婦などのケースでは別居中の「婚姻費用(生活費)」を求めることが可能です。相手が任意に支払わない場合には家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てましょう。
5-5.離婚訴訟を起こすかどうか検討する
調停でも離婚の合意ができず不成立になってしまった場合には、離婚訴訟を起こすかどうか検討すべきです。
訴訟で離婚するには「法律上の離婚原因」を主張立証しなければなりません。まずは法律上の離婚原因があるかどうかを精査し、立証のための証拠も集める必要があります。
お一人で訴訟を進めるのは困難なので、必ず弁護士に相談しましょう。
「夫や妻の仕事が忙しく離婚したい…」という場合、単に仕事が忙しい以外にも「モラハラ」「家出、多数回に及ぶ無断外泊」「不倫の疑い」などいろいろな別の要因が隠れているケースも多々あります。ご自身では離婚できるかどうか分からない場合やそもそも離婚すべきかどうか悩まれている方もおられます。
当事務所では離婚の法律相談に積極的に対応していますので、お悩みの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。
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