コラム
公開 2016.07.01 更新 2021.07.20

離婚とお金の問題 – 慰謝料・財産分与・養育費

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性格の不一致、価値観の不一致などは、程度の問題はありますが、一般的には法律上の離婚理由としては認められにくいものです。夫婦間の話し合いや調停による協議離婚・調停離婚の道を探るべきでしょう。

しかしそういう場合、多くのトラブルの原因になりやすいのがお金の問題です。

性格の不一致を理由とする離婚の場合、離婚に際して決めておかなくてはならないお金の問題にはどのようなものがあるでしょうか。

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性格の不一致で慰謝料は請求できる?

一般に「慰謝料」と呼ばれているものは、法律(民法)上では損害賠償にあたると考えられます。

709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

710条(財産以外の損害賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

これが慰謝料の根拠であり、離婚においては「相手の不法行為によって離婚に至った場合、その精神的損害の賠償および配偶者の地位を喪失することによる精神的損害の賠償」が請求できます。

このため、

  • ・ どちらに不法行為があったともいえない/どちらにも不法行為があった
  • ・ どちらかに精神的損害があったとはいえない

というような離婚では、慰謝料が発生しないこともしばしばあります。

また不貞などの不法行為があったとしても、それが「事実上、夫婦関係が破たんしてからの行為であった」と認められた場合、慰謝料は要求できません。

なお慰謝料の請求が行われない場合でも、財産分与の際に慰謝料の意味を込めて相手側にやや財産を多めに分与する「慰謝料的財産分与」が行われる場合などもあります。

財産分与の基本的な考え方

夫婦が婚姻期間中に取得した財産は夫婦どちらの名義であれ、実質的には夫婦共有財産であり、離婚の際にはそれを半分に分けて清算するというのが財産分与の基本的な考え方です(清算的財産分与の場合)。ただし前述のような「慰謝料的財産分与」、後述する「扶養的財産分与」といった例外的な財産分与の方法もあります)。

財産分与においては、離婚の原因や責任がどちらにあるかは問いません。財産分与はあくまでも「夫婦共有財産の清算」として分与が行われます。すなわち離婚理由のいかんを問わず「結婚後形成した資産-負債÷2」という形で折半されるのが原則です。

たとえば結婚後に購入したローン返済中の住宅・マンションの場合、「売却価格-ローン残額」が共有財産となり、これに預貯金資産を足し、そのほかの負債を差し引いた金額がプラスになれば財産分与が行われます。マイナスになった場合の財産分与は行われません。ただし、夫婦のどちらかが自分のために借りた個人的な借金は、財産分与における負債とは考えないのが一般的でしょう。

なお専業主婦の場合、婚姻期間中の夫の年金や、将来支給されるであろう退職金も財産分与の対象になるという考え方が有力です。ただしその金額をどう見積もるか、いつ分与するかという考え方に決まりはないため、それぞれの事情に応じて協議が必要になってくるでしょう。

扶養的財産分与と養育費

財産分与には、上記のような「清算的財産分与」のほか、離婚後に夫婦のどちらかが専業主婦、高齢、病気などの流で生活に困窮するような場合、その生計を補助するための分与も認められています。これを「扶養的財産分与」といいます。

また、夫婦間にお子さんがいた場合、親権をどちらが持つかに関わらず、お子さんの養育費はそれぞれの資力に応じて分担しなくてはならないことになっています。養育費には学費、生活費、医療費のほか、ある程度までの文化費や娯楽費なども含まれます。

養育費は実際にお子さんを引き取って養育する側が請求し、お子さんが成人するまで、あるいは大学卒業まで、夫婦間の協議によって金額を決定し、分割払いされることが一般的です。

記事を監修した弁護士
authense
Authense法律事務所記事監修チーム
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