モラル・ハラスメントとは身体的な暴力と違い、言葉や態度によって行われる継続的ないじめ、嫌がらせ、つきまといなどの精神的な暴力などと解釈されています。俗語として「モラハラ」と略されることもあります。
今回は、「モラル・ハラスメント(モラハラ)被害に何年も耐え続けている、または本気で離婚を考えるとき」をテーマにお話しましょう。
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モラル・ハラスメントの特徴
モラル・ハラスメント(モラハラ)の加害者の目的は、ターゲット(被害者)を「支配すること」と言われています。
また、ターゲット(被害者)にされやすい人にも特徴があるようです。
それぞれに見られる特徴をいくつかピックアップしてご紹介します。配偶者やパートナー、あなた自身に心当たりはありませんか?
モラハラ加害者の特徴
- ・外面が良く、裏表が激しい(激しい二面性がある)
- ・自分は特別な存在だと思っている(つねに上から目線)
- ・自分の非を認めない、すぐ人のせいにする
- ・突然、返事をしない、目を合わせないなど無視し続ける
- ・結婚、妊娠などをきっかけに態度が豹変する
モラハラ被害者の特徴
- ・真面目で、責任感が強い
- ・相手に尽くし、感謝されることが喜び
- ・自己主張が苦手で、強く言い返せない
- ・我慢強く、無理をしてでも頑張ってしまう
- ・頼まれると断れない
性別離婚申し立ての動機別割合
以下は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てた人の動機別の割合です。離婚調停の申し立ての動機に「精神的に侮辱する」を挙げた人は、女性(妻)が25.6%、です。
夫、または妻からのモラハラに耐えられず離婚を願う人は少なくありません。
性別離婚申し立ての動機別割合の推移(2015)
申し立て件数に対する割合(%)
- 年次 2015
- 女性(妻)
- 男性(夫)
- 総数(件)
- 47,908
- 17,776
- 総数
- 100.0
- 100.0
- 性格が合わない
- 40.5
- 61.3
- 異性関係
- 18.0
- 14.8
- 暴力を振るう
- 22.7
- 8.5
- 酒を飲みすぎる
- 6.4
- 2.4
- 性的不調和
- 7.6
- 13.1
- 浪費する
- 11.3
- 12.4
- 病気
- 2.8
- 5.1
- 精神的に虐待する
- 25.6
- 18.7
- 家庭を捨てて省みない
- 9.0
- 6.3
- 家族親族と折り合いが悪い
- 7.6
- 14.9
- 同居に応じない
- 2.4
- 9.9
- 生活費を渡さない
- 28.3
- 4.4
- その他
- 12.4
- 21.2
- 不詳
- 4.8
- 3.1
【出典】司法統計 性別離婚申し立ての動機別割合の推移(1975-2015)
モラハラは離婚理由になる!?
読者の皆さまの中には、モラル・ハラスメント(モラハラ)被害に何年も耐え続けている、または本気で離婚を考えているという方がいらっしゃるかもしれません。
では、法律ではどのように定められているのか見てみましょう。
民法では、裁判上の離婚についての規定を第770条に定めています。
第770条
① 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
② 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
残念ながら、「モラル・ハラスメント」については明記されていないため、「五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」つまり、「モラハラによる精神的な虐待が原因で夫婦関係の破綻に至ったため離婚を認めてください」と主張することになるでしょう。
モラハラを立証する証拠
モラル・ハラスメントを理由に離婚を目指すためには、モラハラ被害の詳細な記録を継続的に残し「証拠」を集めましょう。
- ・ICレコーダーなどでモラハラ加害者の言葉を録音したもの(暴言など)
- ・手紙やメール、SNS等の履歴(人格を否定するような内容など)
- ・医師の診断書(モラハラによるメンタルの不調などで受診された場合など)
- ・器物破損の写真(モラハラ加害者が周囲のものを破損した場合など)
- ・警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談履歴etc.
まとめ
モラル・ハラスメント(モラハラ)を理由に離婚を考える場合、当事者同士の話し合い(協議離婚)で合意するのであれば問題ないでしょう。
しかし、相手が離婚に応じない場合は、離婚調停などの法的な解決手段が必要となります。
また、「離婚できるか、離婚できないか」だけではなく、たとえば、慰謝料や財産分与といった金銭的な問題、お子様がいらっしゃる場合は親権や養育費など、離婚後の新しい生活のために必要な様々なことを取り決めなくてはなりません。
弁護士に委任せずとも離婚調停はできます。
しかし、モラル・ハラスメント(モラハラ)、いわゆる支配関係にあるような場合には、第三者である弁護士が交渉を引き受けることで、精神的な負担も軽減され、納得がいく離婚の成立へ進むことができるでしょう。
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