コラム
公開 2022.11.24

モラハラ妻とは?原因と離婚する方法を弁護士がわかりやすく解説

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モラハラは、夫から妻に対して行われることが多い一方で、妻から夫へのモラハラも少なくありません。
では、モラハラ妻の言動には、どのようなものがあるのでしょうか?
また、モラハラをする妻と離婚した場合には、どのような手順を踏めばよいのでしょうか?

今回は、モラハラ妻の言動やモラハラ妻と離婚する流れなどについて、弁護士がくわしく解説します。

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モラハラとは

モラハラとは、発言や態度などによって、相手に精神的苦痛を与える行為です。
一般的には、暴力をともなうものを「DV(ドメスティックバイオレンス)」といい、それ以外のものを「モラハラ」と呼ぶことが多いでしょう。

ただし、DVには身体的なDVの他、精神的DVや経済的DVも存在するため、モラハラの態様によってはDVに該当する可能性もあります。

モラハラ妻の代表的な言動

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モラハラをする妻の代表的な言動は、次のとおりです。
このような言動が日常的になされている場合には、モラハラである可能性が高いでしょう。

なお、モラハラは、被害者側に問題があるからといって正当化されるものではありません。
「自分に非があるからだ」「妻からのモラハラ被害をうったえるなんて恥ずかしい」などとは考えず、思い当たる場合には弁護士へご相談ください。

暴言を吐く

モラハラの加害者は、相手を傷つけるような暴言を吐きます。
暴言の内容はさまざまですが、たとえば次のような内容です。

  • 「安月給」、「無能」など、相手の能力を卑下する発言
  • 「キモい」、「臭い」など、自尊心を傷付ける発言
  • 「消えてほしい」、「いなくなってほしい」など、相手の不在を望む発言

夫婦間の冗談として成り立っているのであればまだしも、傷つくからやめてほしいと主張しても、繰り返しこのような発言がなされる場合には、モラハラである可能性が高いでしょう。

無視をしたり睨みつけたりする

モラハラの加害者は、相手に対して威嚇的な言動をとります。
たとえば、次のような言動です。

  • 継続的に無視をする
  • 舌打ちをしたり睨みつけたり、聞こえよがしにため息をついたりする
  • 物にあたる

子どもに悪口を吹き込む

モラハラの加害者は、子どもに対して配偶者の悪口を吹き込むことがあります。
子どもが妻の発言を信じて父親である夫に寄り付かなくなる可能性があり、非常に悪質であるといえるでしょう。

陰で悪口を言う場合の他、聞こえよがしに悪口を言う場合もあります。

相手の意見を聞かない

モラハラの加害者は、相手の意見を聞かない傾向にあります。
たとえば、「そのようなことをいわれると、傷つくのでやめてほしい」などと伝えても、聞き入れないことが多いでしょう。

また、それ以外にも加害者側のいうことが絶対であり、反論すれば物にあたるなどしてあからさまに不機嫌となります。

モラハラ妻と離婚をする流れ

モラハラ加害者である妻と同居をしていては、常にストレスを抱えた状態となります。
場合によっては、精神疾患を発症してしまうかもしれません。
そのため、妻のモラハラが収まることを期待できない場合には、離婚を検討することになるでしょう。

では、モラハラをする妻と離婚をしたい場合、どのようにすればよいのでしょうか?
離婚へ向けての主な流れは、次のとおりです。

相手と直接交渉する

離婚は、原則として夫婦での合意で成立します。
そのため、まずは相手と直接交渉を行いましょう。

なお、モラハラをする妻は、夫が自分との離婚を真剣に考えていることがわかった時点で、一時的にモラハラを控える可能性があります。
ただし、その後離婚の話から日が経つことで、モラハラが再発する可能性もあるでしょう。

このことを踏まえて、仮に妻が「態度を改めるから離婚しないでほしい」などと主張した際にこれを受け入れるかどうかまで、あらかじめ検討しておくことをおすすめします。

相手との直接交渉で離婚に合意ができた場合には離婚届の記載を済ませ、速やかに提出しましょう。

また、離婚することの他、親権や離婚にともなって発生する慰謝料など離婚にまつわる諸条件についての合意内容を、書面で残しておくとよいでしょう。

書面は任意のものでも構いませんが、後から反故にされないためには、公正証書にしておくと安心です。
公正証書にしておくことで、「自分はこのようなことに合意した覚えはない」などと主張されるリスクを引き下げられます。
また、仮に妻が合意した慰謝料などの金銭を支払わない場合において、公正証書があればスムーズに強制執行することが可能です。

弁護士に代理で交渉してもらう

相手が離婚に応じない場合や、そもそも話し合いができる状態にない場合などには、弁護士に代理で交渉してもらいましょう。

弁護士へ依頼することで相手と直接対峙する必要がなくなる他、離婚へ向けた自分の意思が強いことを相手に示すことにもつながります。
また、離婚にともなって発生する財産分与や養育費などの交渉についても弁護士へ相談したうえで進めることができるため安心です。

離婚調停を申し立てる

弁護士を介しても相手が離婚に同意しない場合や、離婚に関する条件がまとまらない場合には、離婚調停を申し立てましょう。

離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員が離婚に向けた双方の主張を調整する話し合いです。
話し合いとはいっても夫婦が面と向かって行うわけではなく、調停委員が交互に意見を聞く形で進行します。

調停で合意ができたら、離婚が成立し、合意内容を記した調停調書が作成されます。
この調停調書を調停成立後10日以内に市区町村役場へ持参し、離婚届と併せて提出することで、離婚の事実が戸籍に反映されます。

離婚裁判を申し立てる

調停でも離婚をすることや離婚にまつわる諸条件についての合意がまとまらない場合には、離婚裁判を申し立てましょう。

離婚裁判では、諸般の事情を考慮して、裁判所が離婚の可否や離婚の諸条件を決定します。
なお、離婚裁判で離婚が認められるためには、原則として次のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みのない強度の精神病
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由の存在

妻によるモラハラは、このうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
ただし、裁判である以上は当然証拠が必要となりますので、裁判に備えてあらかじめ証拠を集めておきましょう。

裁判所が離婚を認めたら判決書の謄本が受け取れますので、これを判決が確定した日から10日以内に離婚届と併せて市町村役場に提出します。

なお、裁判離婚と似たものに「審判離婚」が存在しますが、こちらは2週間以内に相手が書面で異議を申し立てると効力がなくなるため、利用場面は非常に限定的です。

妻のモラハラを理由に離婚したい場合のポイント

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妻のモラハラを理由に離婚したい場合には、相手に離婚を切り出す前に、次の準備をしておくとよいでしょう。

モラハラの証拠を残す

1つ目の準備は、モラハラの証拠を残すことです。
証拠がなければ、仮に相手がモラハラを否定して頑なに離婚に応じない場合、離婚することが困難となるためです。

モラハラの証拠として必要なものはモラハラの態様などによって異なりますが、一般的には次のものなどを集めておくとよいでしょう。

  • モラハラをされている音声記録
  • モラハラ被害について記したメモや日記
  • 相手からのメールやLINEのメッセージ
  • モラハラが原因で精神疾患を発症した場合には、診断書や通院の記録
  • モラハラを警察などに相談した場合には、その相談記録

必要な証拠は状況によって異なる場合がありますので、あらかじめ弁護士へご相談いただいたうえで、集めるべき証拠についてアドバイスを受けておくことをおすすめします。

離婚問題にくわしい弁護士へ相談する

2つ目の準備は、離婚問題にくわしい弁護士へご相談いただくことです。

あらかじめ弁護士へご相談いただくことで、必要な証拠についてのアドバイスを受けられるほか、相手に請求できる金額の目安を知ることなどが可能となります。

また、いざとなれば弁護士に代理で交渉してもらうことも可能であるとの安心感も得られるでしょう。

請求できる金銭と目安の金額を知っておく

3つ目の準備は、相手に請求できる金銭と、目安の金額を知っておくことです。
離婚に伴い発生する金銭請求には、次のものなどが存在します。

なお、妻によるモラハラが原因で離婚をする場合であっても、養育費や財産分与は夫から妻に支払うこととなる場合もあります。
離婚について非のある側がすべて支払うわけではありませんので、注意しましょう。

慰謝料

慰謝料とは、離婚原因を作った側に対して請求する金銭です。
妻のモラハラが原因となって離婚をする場合には、夫から妻に対して請求することになります。
ただし、モラハラは法的な概念ではないため、慰謝料請求が認められるかどうかは、そのモラハラの具体的な態様によって異なります。慰謝料を請求できる可能性については、あらかじめ弁護士へご相談いただいておくとよいでしょう。

養育費

養育費とは、未成年の子どもの監護養育にかかる費用です。
婚姻関係にある間は家計費から支出することが多いものの、離婚によって家計は別々になります。

そのため、離婚後は親権を持たなかった側が親権を持った側に対して、養育費を支払わなければなりません。

養育費の金額は、子どもの年齢や人数、両親それぞれの年収によって異なります。
裁判所から算定表(参考:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)が公表されていますので、これが目安となるでしょう。

養育費は、離婚原因を作った側へのペナルティなどではありません。
そのため、たとえ妻からのモラハラが原因で離婚をする場合であっても、今後子どもの親権を妻が持つような場合には、養育費は夫から妻に対して支払うこととなります。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を清算する手続きです。
仮に妻が専業主婦で夫のみが外部から収入を得ていた場合には、家計の財産の大半が夫名義であるという場合も少なくありません。

しかし、たとえ専業主婦であったとしても、その内助の功があったと考えられるため、離婚に際して、原則として2分の1ずつで婚姻期間中に得た財産を分割することになります。

財産分与も、離婚原因を作った側へのペナルティなどではありません。
そのため、たとえ妻からのモラハラが原因で離婚をする場合であっても、婚姻期間中に得た財産を夫が多く所有しているのであれば、夫から妻に財産分与を行うことになります。

まとめ

モラハラは夫から妻に対して行われる場合もあれば、妻から夫に対して行われる場合もあります。
妻からのモラハラでお困りの人は意外と多く、決して恥ずべきことではありません。
一人で悩まず、弁護士へご相談いただくことをおすすめします。

Authense法律事務所では、モラハラや夫婦問題にくわしい弁護士が多数在籍しており、日々問題の解決にあたっています。
妻からのモラハラで離婚や慰謝料請求を検討している場合などには、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。早稲田大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院法学研究科修了。一般民事、特に離婚事件に関する解決実績を数多く有する。離婚カウンセラーの資格を取得しており、法律的な問題を解決するのみならず、常に依頼者の方の心情に配慮し、不安や悩みに寄り添う対応を心掛けている。
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