コラム
公開 2021.09.07 更新 2023.04.05

父親との面会交流を拒否できるケースとは?母親が知っておくべき知識を解説

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離婚後、父親が母親に対し、強行に子どもとの面会交流を主張し、トラブルになるケースが少なくありません。

面会交流を拒絶できるのはどういったケースなのか、知っておきましょう。

今回は父親と子どもの面会交流で困らないための対処方法を解説します。

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1.面会交流は基本的に拒否できない

面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が子どもと会ったり電話やメールでコミュニケーションをとったりして相互に交流することです。

離れていても、親子であることには変わりありません。また、両親の愛情を感じることは子どもの健全な成長のために重要であるため、両親との交流が必要であると考えられています。民法にも「離婚に際して面会交流について定める場合には、子どもの利益を最も優先して考慮しなければならない」という趣旨の規定があります(民法766条1項)。

このように、面会交流は子どもの健全な成長を促すために法律で認められた権利であるため、父親が母親に子どもとの面会交流を求めたとき、母親は基本的には拒否できません。

離婚後、子どもを父親に会わせたくないとしても、会わせなければならないケースもありますので、まずは面会交流を拒否できるケースとできないケースの具体例を確認しておきましょう。

2.面会交流を拒否できるケースとは

面会交流を拒否できるケースとは

面会交流を継続することが子どもの福祉に反すると言える場合には、面会交流を制限することができます。具体的には以下のような場合が考えられます。

2-1.子どもへの暴力行為等があった

子どもへの虐待行為、DVがあった父親が子どもを虐待していたり暴力を振るったりしていた場合には、面会交流を制限する事情になりえます。

2-2.母親への暴力行為等があった

暴力が子どもの前で行われたことなどが理由で、子どもが精神的ダメージを負い、父親と会うことで更なる精神的ダメージを負うような場合には、面会交流を制限する事情になりえます。

2-3.連れ去りの危険性がある

父親と子どもを会わせると、父親が子どもを連れ去る危険性がある場合には、子どもの生活環境が大きく変えられてしまい、子どもの心身の安定を害する可能性があることから、面会交流を制限する事情になりえます。

2-4.子どもが本心から面会交流を拒否している

子どもが明確に父親との面会を拒絶している場合には、面会交流を制限する事情になりえます。もっとも、子どもは母親が父親を拒否している感情を感じ取り、父親と会いたいという本心を伝えられないこともあります。そのため、子どもの本心に配慮し、子どもへの負担が少なくなるような面会交流の方法を検討することが大切です。

3.面会交流拒否の理由にできないこと

以下のような場合、直ちに面会交流を制限する理由があるとはいえません。

3-1.相手方が不倫していた

離婚前、相手方が不倫していた場合には、「子どもとは会わせたくない」と考える方も多いでしょう。

しかし不倫と親子関係は別問題です。夫婦関係が上手くいかずに不倫してしまったが、子どもにとっては良い父親であるというようなケースも存在します。相手方が不倫していたからといって必ず面会を拒絶できるわけではありません。

3-2.父親が再婚した

父親が再婚したら、別の家庭ができるのだから子どもと会ってほしくない、と考える方がおられます。面会しても「子どもが余計に寂しくなるだけ」と考える方もいるでしょう。

しかし父親が再婚して新しい家庭を築いたとしても、父子関係がなくなるわけではありません。そのため、健全な子どもの成長のためにも、面会交流は実施すべきであると考えられています。

もっとも、再婚は子どもに少なからず動揺を与える出来事であることが多いので、面会交流を実施する際には子どもの心情に十分に配慮する必要があります。

3-3.こちらが再婚した

母親が再婚すると、子どもを新しい家庭になじませるために「父親に会わせたくない」と強く希望するケースがあります。

しかし再婚したからといって、実父との面会交流が不要になるわけではありません。子どもにとっては父親であることには変わりありません。このことは、再婚相手と養子縁組をしても同じです。養子縁組をしても、実父との親子関係は失われません。そのため、子どもを監護している母親が再婚したとしても、原則として面会交流を制限する事情にはなりません。

もっとも、父親の再婚の場合と同様、子どもの心情には十分に配慮して面会交流の実施を検討する必要があります。

3-4.養育費を払ってもらっていない

父親から養育費を払ってもらっていない場合、面会させたくないと考える方も多いでしょう。しかし法的には、養育費の支払いと面会交流の実施は別問題と考えられています。

相手方から養育費を受け取っていないこと自体は、面会交流を制限する事情にはなりません。

もっとも、養育費を支払ってもらえず子どもを育てることができないということでは困りますので、面会交流の話をまとめるときに、併せて養育費の話もきちんと取り決め、支払ってもらうようにすることが望ましいと言えます。

4.相手方が困った言動をとるときの対処方法

相手方が困った言動をとるときの対処方法

4-1.無茶な条件を突きつける

ときどき「毎日会いたい」「放課後、毎日家まで連れてこい」「(遠方のケースで)交通費を全額支払え」など無茶な条件をつきつけてくる父親がいます。

しかし、面会交流は、子どもの都合や気持ちを優先して実施すべきと考えられていますし、面会交流の費用負担も特別な合意の無い場合には各自の負担とするのが一般的です。

面会交流の条件で折り合いがつかないようであれば、相手方が過剰な要求や強硬手段をとってくる前に、まず弁護士に相談しておくことをおすすめします。

4-2.プライベートに踏み込んでくる

父親によっては、子どもに今の生活について根掘り葉掘り尋ね、母親のプライベートに踏み込もうとするケースがあります。

しかし面会交流を通して無断で元妻のプライバシーに踏み込んで良いわけではありません。

そういった言動がある場合には、はっきり注意し、そのようなことはしないように合意をしましょう。改善されないようであれば、証拠を残して面会交流を制限するのも1つの方法となります。もっとも、当初の合意に反して面会交流を制限すると、「一方的に拒絶した」といわれてトラブルになる可能性もあるので、面会交流の制限を検討する場合には、事前に弁護士に相談すると良いでしょう。

4-3.子どもを傷つける発言をする

父親によっては、平気で子どもを傷つける発言をする方もいます。

子どもをバカにしたり、子どもを愛していないととらえられかねない言葉を使ったり、母親の悪口を吹き込んだりすることもあります。

こういった問題発言が原因で子どもの心身が不安定になるようであれば、不適切な言動を慎むように相手方に配慮を求めましょう。改善されないようであれば面会交流のルールを決め直す必要もあるでしょう。

5.面会交流調停への対処方法

面会交流調停を申し立てられたら、調停委員へ現状を話して要望を伝えましょう。

ただ感情的に「会わせたくない」というだけでは、面会交流を制限してもらうことはできません。面会交流を制限したほうが良いといえる理由が必要です。

上記のような面会交流を拒絶する法的な理由がないのであれば、子どもの健全な成長のためにも、面会交流を実施する方向で話し合いを進め、実際に面会交流を実施できる方法や条件を話し合いましょう。

調停で合意できない場合には、審判となって裁判官が面会方法を決めることになります。裁判官が形式的に決めるよりも、自分たちで取り決めた方がお互いの事情を反映した条件とすることができるので、子どもの利益とお互いの生活状況等に配慮しながら話し合いで条件を取り決めるのが望ましいでしょう。

まとめ

離婚後、子どもと父親の面会交流が原因でトラブルになると、子どもにも母親にも多大なストレスがかかります。困ったときには弁護士がお手伝いいたしますので、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
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