コラム
公開 2021.01.27 更新 2023.04.06

親権を変更する方法や変更が認められる条件について

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離婚時に親権者にならなかった場合でも、離婚後に親権者を変更できれば親権者になれる可能性があります。

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1.離婚後の親権者変更は可能

離婚時にいったん子どもの親権者を定めても、離婚後に変更することは可能です。
民法でも離婚後の親権者の変更を認めています。

  • 民法819条6項
    子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる

それでは、親権者を変更する方法や変更が認められる条件について、みていきましょう。

2.親権者変更の調停や審判が必要

離婚時は、調停をしなくても夫婦の話し合い(協議)のみによって親権者を決定できます。それであれば「親権者の変更も話し合いでできるのでは?」と考えるかもしれません。

しかし、離婚後の親権者の変更は子どもに対して重大な影響を及ぼす出来事です。
したがって、離婚後に親権者を変更するには家庭裁判所における「調停」や「審判」という手続きを経る必要があります。

まずは、家庭裁判所に対し、「親権者変更調停」を申し立てて当事者同士で話し合いを行い、調停で解決できなければ「親権者変更審判」に移行し、裁判所が判断することになります。

3.親権者の変更が認められる要件

親権者の変更は、「子どもの利益のために必要なとき」に認められるとされています。親の都合や身勝手な理由で親権者を変更すると、子どもに不利益が及ぶからです。

また、離婚の際には「どちらが親権者として適切か」という視点から親権者を決めますが、離婚後の親権者変更の場合には、父母の一方による監護の実績を踏まえて、変更すべき事情があるかという観点も加わり、検討すべきことになります。具体的には、以下の判断要素をもとに総合的に考慮されます。

<親権者変更を認める判断要素>

  • ・監護能力
  • ・子に対する愛情の程度
  • ・経済力
  • ・生活環境
  • ・子の意思
  • ・子の年齢、性別、心身の状況
  • ・子の現状における適応状況
  • ・新しい養育環境への順応性など

たとえ別居親の方が、多少適切な環境を用意できるとしても、現在の親権者の養育方法に特段問題がなければ、親権者が変更される可能性は低くなります。

離婚時に親権者になるよりも離婚後に親権者を変更してもらう方が、よりハードルが上がるものと考えましょう。
そのため、親権者を変更したい方は、一度弁護士に相談するとよいでしょう。

4.親権者の変更が認められるケースとは

親権者の変更が認められやすいのは、主に以下のような場合です。

現在の親権者から虐待、養育放棄されている

現在の親権者が子どもを虐待していたり、育児放棄(ネグレクト)をしていたりする場合、親権者を変更した方が子の利益にかなうとして、変更が認められる可能性があります。ただし、現在の親権者が、調停等において、虐待や育児放棄(ネグレクト)を否定する可能性が高く、虐待等を示す証拠を準備しておく必要があります。

現在の親権者が死亡した

親権者が死亡すると「未成年後見人」が選任されて子どもの法定代理人になります。当然に親権者が別居親に移るわけではなく、親権者を変更したければ親権者変更調停を行う必要があります。

以上のケースに限られるわけではありませんが、離婚後の親権者の変更は、厳しい基準で判断されます。親権者が再婚した、相手の教育方針に納得できないといった事情だけでは、親権者変更の理由にはなりません。

5.親権者変更調停の流れ

5-1.申立を行う

まずは親権者の変更を望む親が、裁判所で親権者変更調停を申し立てます。
管轄の裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。

必要書類

  • ・申立書
  • ・申立人と相手方、子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)

費用

  • ・子ども1人について1,200円(収入印紙)と連絡用の郵便切手

5-2.調停期日が開かれる

申し立てをすると家庭裁判所から相手方に、申立書や呼出状などが送られ、第1回の調停期日が開かれます。調停委員から当事者それぞれに対して今後の流れなどについて説明があり、当事者は調停委員に意見を伝えます。

5-3.調査官調査が行われる

親権者変更調停では、通常、調査官による調査が行われます。本当に子どものために親権者を変更する必要があるか、家庭裁判所の調査結果等も踏まえ、話し合いを進めていくためです。
調査官が、家庭訪問をしたり、子どもと面談して話を聞いたりして、子どもの現状や親との関係性等を調べていきます。

5-4.調停が成立する

親同士が親権者変更について合意した場合には、調停によって親権者が変更されます。

5-5.審判に移行する

調停で話し合っても親同士が親権者の変更に同意できない場合には、親権者変更審判に移行します。審判になると、家庭裁判所調査官の調査結果などにもとづいて、裁判所が親権者変更を認めるかどうかを判断します。

6.親権者変更で悩んだら弁護士に相談を

一度取り決めた親権者を変更するのは簡単ではありません。
相手が虐待、養育放棄をしていると思われるケースでも、相手は否定する可能性が高く、証拠や調査官調査により、事実が明らかにならなければ、審判において、変更は認められません。
適切に親権者変更の手続きを進め、裁判所に認めてもらうには、専門知識とノウハウが必要です。当事務所では、離婚や男女トラブルに積極的に取り組んでおり、子どもの問題も多数解決してきた実績があります。親権問題で悩まれているなら、是非とも一度ご相談下さい。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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