親権とは、未成年の子どもについて監護や養育などを行う権利であり、義務です。
未成年の子どもがいる中で離婚をする場合には、親権について正しく理解しておく必要があるでしょう。
今回は、親権について弁護士がくわしく解説します。
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親権とは
親権とは、未成年である子どもの利益のために監護や教育を行ったり、財産の管理をしたりする権限であり、義務のことです。※1
はじめに、誰が親権者になるのか、基本的な内容を解説していきましょう。
婚姻期間中の親権は両親が共同行使
子どもの両親である父母が婚姻している場合には、親権は両親の共同行使となります。
婚姻期間中は親権について特に意識しないことも多いかと思いますが、子どもの財産管理や教育、監護などについて、両親が話し合って決めると考えておくとよいでしょう。
離婚後の親権は単独で行使
離婚する際は、民法上、父母の一方を親権者と定めなければなりません。
そのため、離婚後の親権は、父母の一方が単独で行使することとなります。
ただし、未成年の子どもが複数いる場合において、たとえば長男の親権は父が持って幼い長女の親権は母が持つというように、子どもごとに親権者を分けることも制度上は可能です。
ただし、きょうだいと分かれて育つことが本当に子どもにとってプラスであるかどうか、慎重に検討して決める必要があるでしょう。
なお、離婚後であっても選択により夫婦が共同で親権を行使する「共同親権」の制度が議論に挙がっているものの、2022年11月現在では、実現の見通しは立っていません(参考:東京新聞 TOKYO Web:「共同親権」導入か、「単独親権」現状維持か 利点と懸念ぶつかり大議論中)。
親権は何歳まで?
親権は、永久に続くわけではありません。
親権を行うことができるのは、未成年の子どもに対してのみです。
また、成人年齢は長らく20歳とされていましたが、2022年4月1日に施行された民法の改正により、成人年齢は18歳となっています。
親権には「財産管理権」と「身上監護権」の2つが含まれる
親権には、子どもの「財産管理権」と「身上監護権」の2つが含まれています。
たとえば、母親が身上監護権のみを持ち、父親がその他の親権を持つことも不可能ではありません。
しかし、親権の行使が複雑となる可能性があるため、そのように権利を分けることは実際には稀といえます。
財産管理権と身上監護権の内容は、それぞれ次のとおりです。
財産管理権
財産管理権とは、子どもの財産を管理したり、子どもがした契約に同意したりする権利です(824条)。
たとえば、次のような行為がこれに含まれると考えられます。
- 子どもが贈与された財産(親戚からもらったお年玉など)を管理する
- 子どもの預貯金を管理する
- 子どもの携帯電話の契約に同意する
- 子どもの原付バイクの購入契約に同意する
身上監護権
身上監護権とは、子どもの利益のために、子どもの監護や教育をする権利です(820条)。
「子どもの利益のために」という点が、大きなポイントといえるでしょう。
このほかに、身上監護権には、次のものが含まれるとされています。
- 身分行為への承諾権(797条):15歳未満の子が他者の養子となる場合において、本人に代わって縁組の承諾をする権利など
- 居所指定権(821条):子どもの住む場所を指定する権利
- 懲戒権(822条):監護や教育に必要な範囲内でその子を懲戒する権利
- 職業許可権(823条):子どもが職業を営むことを許可する権利
親権を持たなかった側の親の子どもとの関係はどうなる?
親権を持たなかった側の親も、引き続き子どもの親であることには変わりありません。
父母が離婚をしたからといって、親権を持たなかった側の親がその子どもの親でなくなるわけではないためです。
そのため、親権を持たなかった側の親も、子どもに対して引き続き義務を負い、権利を持つこととなります。
具体的な内容は、次のとおりです。
面会交流権
面会交流権とは、一般的に、親権を持たなかった側の親が子どもと交流する権利を指します。
面会交流の根拠は、民法(766条)に設けられている次の規定です。
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
非親権者が親権者に対して当然に要求できる権利というわけではなく、子どもの利益を優先すべきこととされています。
なお、裁判所は面会交流を重視する傾向にあり、たとえば非親権者が子どもに対して暴力をふるっているなど特殊な事情がない限り、可能な限り面会交流を実施すべきと判断することが多いでしょう。
養育費の支払い
養育費とは、子どもの教育や監護にかかる費用のことです。
婚姻期間中にも養育費は発生しているものの、いわゆる家計費から支出することが多いため、夫婦のど離婚後には、それぞれが養育費をいくらずつ負担していくのか、あらかじめ決めておかなければなりません。
一般的には、親権を持たなかった側の親が、親権を持った側の親に対して、定期的に一定額を支払う形で負担することが多いでしょう。
養育費の適正額は状況によって異なるものの、裁判所が算定表を公表しているため、こちらが参考となります。※2
家庭裁判所で行う調停や審判においては、こちらの算定表を基礎として養育費が算定されることが一般的です。
離婚後の親権者はどう決まる?
離婚後、父母のどちらが親権者になるのかは、どのように決まるのでしょうか?
親権者を決める方法は次のとおりです。
夫婦の話し合いで決める
もっとも基本となるのは、夫婦の話し合いで決める方法です。
親権について争いがない場合には、夫婦の話し合いのみで親権者が決まります。
どちらを親権者と決めたのかについては離婚届に記載する欄がありますので、所定の欄に記載をして離婚届を提出します。
調停で決める
離婚をするかどうかや親権など、離婚にまつわる諸条件が夫婦間の話し合いで決まらない場合には、離婚調停を利用することができます。
離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員が夫婦の双方から順に意見を聞く形で進行する話し合いです。
なお、夫婦間の話し合いでは決着がつかないケースのうち、大半がこの調停で離婚が成立しています。
裁判で決める
離婚調停が不成立となった場合には、手続きとしては、原則として離婚裁判によることとなります。
離婚裁判では、離婚をするかどうかや親権など離婚にまつわる諸条件について、当事者の主張や証拠等にもとづき裁判所が結論を下すことになります。
ただし、裁判手続きのなかで、判決ではなく相互に譲り合って和解をすることも可能です。
離婚で親権を勝ち取るためには
離婚をする夫婦がともに親権を主張している場合において、親権を勝ち取るためにはどうすればよいのでしょうか?
親権を得るための主なポイントは次のとおりです。
親権で重視されるポイントを知っておく
親権を勝ち取るために、調停や裁判となった際に重視されるポイントを知っておきましょう。
重視される主なポイントは、次のとおりです。
なお、これらは個々で判定されるわけではなく、「どちらが親権を持った方が、子どもにとって幸せか」という視点から総合的に判断されます。
子どもの環境が変わらないかどうか
裁判所は、離婚によって子どもの環境ができるだけ変化しないことを重視します。
そのため、これまで子どもの監護を主として行ってきた側が、親権の判断にとって有利となりやすいでしょう。
また、子どもの引越しや転校が必要となるかどうかという点も、判断材料の一つとなります。
心身が健康であるかどうか
親権では、心身の健康状態がよい方が有利となる傾向にあります。
たとえば、精神的な疾患がある場合などには、子どもの健全な養育に支障が出る可能性があると考えられるためです。
子どもと過ごす時間が取れるかどうか
特に子どもが幼いうちは、子どもと過ごすための時間が十分に取れるかどうかという点も判断材料の一つとなります。
たとえば、非常に激務であり土日などを含めて子どもと過ごす時間がほとんど取れない場合には、不利となる可能性があるでしょう。
仮にライフスタイルを子どもと過ごすために変更できるのであれば、プラスに評価される可能性があります。
子どもの意思
子どもが15歳以上である場合には、裁判所は子ども自身の意見を聞かなければなりません(人事訴訟法32条4項)。
この子ども本人の意見は、親権の判断において重視されます。
調停の準備を綿密に行う
親権を勝ち取る可能性を高めるためには、調停の準備を綿密に行うことをおすすめします。
調停の場面では緊張をしてしまい、思うように主張ができないことも少なくないためです。
そのため、上で紹介をした親権において重視されるポイントを知り、主張できる事情をまとめておくとよいでしょう。
また、その証拠となる資料も用意しておくことをおすすめします。
面会交流を認める
離婚をする相手には、できるだけ子どもを会わせたくないと考える場合もあるでしょう。
しかし、裁判所は、面会交流を重視する傾向にあります。
たとえ両親が離婚をしても双方がともに子どもの親であることは変わりなく、どちらの親とも会えることが子どもにとってプラスになると考えているためです。
そのため、特段の事情がない限り、仮に親権を持っても相手の面会交流を認めることで、親権獲得にとってはプラスとなりやすいでしょう。
特段の事情とは、たとえば相手が子どもに対して暴力を振るうなど、面会交流を認めることで子どもに危害が及ぶ恐れがある事情のことです。
あらかじめ弁護士へ相談する
親権を勝ち取りたい場合には、あらかじめ離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、自分の事情に合った主張を弁護士とともに探ることができるほか、そのために揃えておくべき資料などについてのアドバイスを受けることも可能となるためです。
また、あらかじめ調停のシミュレーションをしたり想定問答を用意したりすることで、落ち着いて調停に臨むことも可能となるでしょう。
まとめ
親権とは、未成年の子どもの身上監護や財産管理などを担う権利であり、義務でもあります。
未成年の子どもがいる状態で離婚をする場合には、親権の問題を避けて通ることはできません。
親権を獲得したい場合には、あらかじめ離婚問題にくわしい弁護士へ相談のうえ、後悔のないよう調停などにのぞむことをおすすめします。
Authense法律事務所には離婚問題にくわしい弁護士が多数在籍しており、親権獲得などの相談をこれまでも数多く解決してまいりました。
親権や離婚についてお困りの際には、ひとりで悩まず、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。
離婚に関するご相談は、初回無料でご相談いただくことが可能です。
参考文献:
※2 裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
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