コラム
公開 2021.07.09 更新 2022.09.08

養育費は「私立学校の学費」や「塾代」も請求できる?

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学費や私立受験、塾の費用などが、どこまで養育費として認められるのかについて解説します。
子どもがいる夫婦が離婚する場合、子どもを監護している親は、他方の親に対して、子どもが生活するために必要な費用として養育費を請求することができます。養育費の金額は、双方の収入のバランスに応じて算定していくのが一般的です。

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養育費とは

離婚する際に未成年の子どもがいる場合、養育費が問題となります。
養育費とは、子を監護・教育していくのに必要な費用のことをいいます。

例えば、食費や被服費、学費、医療費、家賃など子どもが生活する際にかかる費用全般が含まれます。

養育費の算定方法

養育費の金額は、話し合いによって自由に決めることはできますが、双方の収入のバランスに応じて養育費を算定し、毎月の金額を決めるのが一般的です。

弁護士が介入した離婚協議や家庭裁判所における調停の場では、家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」にしたがい、養育費の義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)の双方の職業(自営業者か給与所得者かの別)や収入、子の人数と年齢から、養育費の金額を算定するというのが実務上通例となっています。

なお、Authense法律事務所では、養育費に関する相手方との交渉および調停に対応する「認知養育費交渉・調停プラン」をご用意しております。
ぜひ一度ご覧ください。

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養育費は何歳になるまで請求できる?

養育費は何歳になるまで請求できる?

養育費は、原則として「20歳に達する日の属する月まで」請求することができます。
もっとも、20歳になる前でも、子どもが高校を卒業し、仕事で一定の収入を得ている場合には、一般的に養育費は請求できなくなると考えられます。

一方で、両親の教育水準、資産状況、職業などからして、子どもが4年制大学に進学することが相当であると言える場合には、支払終期を大学卒業時までとすることもあります。

私立中学・高校の学費は養育費として請求できる?

私立中学・高校の学費は養育費として請求できる?

一般的に、養育費は子を監護・教育するための費用と理解されており、日々の生活費や教育費も含まれると考えられています。
そのため、「養育費・婚姻費用算定表」により算定される養育費には、公立学校に掛かる費用などが含まれていると考えられています。

ただし、子どもが私立学校に通う場合などは、通常の生活費とは別に、多額の学費がかかるケースがあります。
その場合、「養育費・婚姻費用算定表」により算定される養育費よりも、増額は認められるのでしょうか?

認められる可能性

私立学校に通うことについて、養育費を支払う人(義務者)の承諾を得ていたり、その収入及び資産の状況などからみて、養育費を支払う人(義務者)に負担させることが相当と認められる場合には、離婚裁判などにおいて、「養育費・婚姻費用算定表」により算定される養育費よりも、増額が認められる可能性があります。

もっとも、離婚協議や離婚調停において、養育費とは別に、当事者間で私立学校に進学した場合の学費の負担について、あらかじめ合意しておくことも可能です。

なお、離婚後、子どもが私立学校に進学したことを理由に、審判において、養育費の増額が認められるかどうかは、決められていた養育費の額や、そのときの当事者の経済状況・学歴のほか、進学について養育費を支払う人(義務者)が承諾をしていたかなど、諸般の事情を総合的に判断して決めていくことになります。

認められる場合の金額の目安

加算額については、例えば、高等学校の場合には、実際に私立学校で支払うべき授業料などを、養育費をもらう人(権利者)と支払う人(義務者)との基礎収入(※)で按分した額から、公立学校の年額の教育費を控除した額が目安となるでしょう。

※基礎収入とは、総収入から、公租公課、職業費、特別経費を控除した、養育費の捻出の基礎となる金額のことをいいます。

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塾に通う場合の塾代は養育費として請求できる?

では、子どもが塾に通っている場合、塾代を踏まえ、「養育費・婚姻費用算定表」により算定される養育費よりも、増額が認められるのでしょうか?

塾代は、通常の学校教育とは別に、あくまでも任意に行う私的な学習のための費用です。
そのため、基本的には、養育費を支払う人(義務者)に負担を求めることはできず、養育費の増額は認められません。

もっとも、例えば、子どもが受験期にあって、学校外での学習の必要性が高いといった場合には、養育費を支払う人(義務者)の承諾の有無、義務者の収入・学歴・地位、当事者の従前の生活状況及び現在の生活状況なども考慮した上で、塾代の一定額を負担させたり、養育費を増額させたりすることもあります。

そのため、塾に通う塾代を負担してもらいたいのであれば、双方で協議を重ねた上で、事前に進学や通塾について相談し、負担金額について取り決めをしておくことをお勧めします。

まとめ

子どもの進学については、父母の間で意見が分かれるケースも少なくありません。

したがって、離婚時において、子どもの将来における進学に関する考え方や、進学に必要な塾に通う費用などについて、双方で確認し互いに認識しておくことが大切です。
そして、私立学校の受験を予定している場合などには、私立学校への進学費用や、進学のために塾に通わせるための塾代などは、離婚協議の段階でしっかり話し合いをして、負担者を決めておくとよいでしょう。

また、離婚後に、養育費の増額請求をする場合には、私立学校の進学や通塾について、養育費を支払う人(義務者)の承諾の有無が、審判において、ひとつのポイントとなってきます。
そのため、私立学校の受験を考え始めた場合には、相手にあらかじめ相談しておくことが重要です。もし、離婚時に、私立学校の学費や塾代について、取り決めがされておらず、養育費の増額請求を検討している場合には、専門家である弁護士に相談しましょう。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・離婚時に、子どもの私立学校の進学を予定しているときは、その学費や塾代などの負担につても考慮して離婚協議をすることが大切です。弁護士にご相談いただくと、どのような取り決めがよいのかのアドバイスをすることができます。

・また、離婚後に、私立学校の学費について養育費を増額したい場合、個別の事案において、相手に増額に応じてもらうための方法や、仮に審判になった場合の見通しについて、弁護士が説明、アドバイスいたします。

・離婚時に、学費や塾代などの負担について協議が整わない場合には、今後の進め方や証拠の収集方法を具体的に説明、アドバイスいたします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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