「住宅ローンがあるから離婚できない」と悩んでいる方は少なくないでしょう。離婚時の住宅ローンは、必ずしも夫婦で折半する必要はありません。名義変更して妻が住むケースや、売却して残債処理をするなど様々な対応策があります。
この連載では、「オー美」の熟年離婚の事例を通じて、財産分与における住宅ローンの扱いを解説します。
目次
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結婚25年目、オー美の場合
私はオー美、50歳。
56歳の夫とは結婚して25年、子どもは2人います。
夫はずっと単身赴任していたので、10年近く同居生活していません。
以前、赴任先で夫の不倫が発覚し、それから夫婦関係が悪化してしまいました。
そのような中、単身赴任を終えた夫が家に戻ってくることになりました。
これから夫と一緒に暮らしていくのは難しいと感じて、熟年離婚を決意。
子どもたちにも打ち明け、準備を進めているところです。
前回までのあらすじ
熟年離婚を決意したものの、離婚手続きのことをよく知らない私は、何から進めてよいかわかりませんでした。
私のような夫の扶養に入っていた妻にとって重要なのは、やはり離婚後の生活やお金のこと。
生活に困らないためにも、しっかりと財産分与や年金分割を受けておかねばなりません。
そんなとき、夫婦共有財産はすべて財産分与の対象になり、夫婦間で年収の格差があっても、財産の半分を受け取ることができると知り、安心しました。
また、年金事務所から年金分割情報通知書を取り寄せて年金分割の金額を調べたり、家の中に保管されている通帳や保険証書などの資料を集めて、財産分与に備えてきました。
財産分与を考える際に気になるのが、住宅ローンが残っている今の家のことです。
住宅ローンの残った家の財産分与方法がわからない!負債も折半されるの?
預貯金や保険、自宅などの夫婦共有財産は財産分与の対象になるとわかったけれど、最近気になっているのが「住宅ローン」。
私達夫婦の場合、まだ住宅ローンの残債が残っています。
離婚しなければ、夫が退職するときに退職金でまとめて清算すれば良いと思っていました。
でも50代で離婚することになったので、少し予定が変更に。
残った住宅ローンはどうすればいいんでしょうか?
そもそも住宅ローンが残っていても、家は財産分与の対象になるのかも不明です。
住宅ローンも夫婦で折半になるのか不安です。
私も住宅ローンの半額を支払わなければならないとしたら、支払えません。
また夫婦のどちらも家に住まない可能性もあるのですが、その場合、家はどうやって処分すれば良いのでしょうか?
弁護士が解説!住宅ローン付き物件の財産分与方法
住宅ローンの財産分与は「アンダーローン」か「オーバーローン」か
住宅ローンの残った家がある場合「アンダーローン」か「オーバーローン」かで財産分与方法が変わります。
アンダーローンとは、家の売却価額が残ローンの金額より高い状態。
家を売却するとローンを完済できます。
オーバーローンは家の売却価額が残ローンの金額より低い状態。
家を売却してもローンを完済できません。
家の売却価額は、不動産会社に「査定」を依頼すれば明らかになります。
業者によって査定額がまちまちになるので、複数業者に依頼して平均額を採用するとよいでしょう。
残ローン額は、金融機関から交付されるローン償還表を見ればわかります。
償還表が手元にない場合、金融機関へ問い合わせてみましょう。
アンダーローンの場合
アンダーローンの場合「家の売却価額-残ローンの金額」が財産分与の対象になり、その金額を夫婦で2分の1ずつに分け合います。
たとえば家の売却価額が3000万円、残ローンの金額が2000万円であれば1000万円が家の価値。
夫が家を取得するなら妻へ500万円を払わねばなりません。
オーバーローンの場合
オーバーローンの場合、家の価値がマイナスになってしまうので、そのマイナス分を上回る財産が他にない場合、家は財産分与の対象になりません。
たとえば家の売却価額が2000万円、残ローンが3000万円なら家の価値はマイナス1000万円。
この場合、家は財産分与の対象から外れ、離婚後も引き続いて債務者がローンを返済していく必要があります。
なお、家のマイナス分を上回るその他の預貯金や株等のプラスの財産があれば、それらとの合計を財産分与対象として考慮するのが通常です。
夫婦のどちらが家に住むのか決める
アンダーローンでもオーバーローンでも、家を売却したり他人に貸したりするのでない場合は、離婚後に夫婦のどちらが家に住むのか決めなければなりません。
夫婦のどちらも家に住みたくない場合
離婚後、夫婦のどちらも家に住みたくない場合、家の売却によって清算する方法があります。
オーバーローン物件であっても金融機関の承諾をとれば「任意売却」が可能です。
ローンのある物件を売却すると売却金はまずローン返済に充当され、残りがあれば夫婦が受け取って2分の1ずつに分け合います。
オーバーローンの場合には残ローンを支払いきれないので、残ったローンは債務者が払い続けなければなりません。
財産分与、住宅ローンは折半にならない
オー美さんは、「離婚後に残った住宅ローンが夫婦で折半になるのでは?」と不安になっていますが、そういった心配は不要です。
住宅ローンは金融機関と債務者(ローンの名義人)との契約にもとづく負債であり、契約していない配偶者には責任が及びません。
離婚後、オー美さんのもとに住宅ローン返済の請求が来ることはありません。
ただしオー美さんが連帯保証人や連帯債務者になっていれば話は別です。
連帯保証人は、債務者がローンの返済をしないときに代わりに返済する義務を負っています。
連帯債務者は、主債務者と同一内容の負債を共同して返済する義務を負います。
もしもオー美さんが夫の連帯保証人や連帯債務者になっていたら、離婚後に住宅ローンを支払わねばならない可能性があります。
自分が連帯債務者や連帯保証人になっているかどうかは、金融機関との金銭消費貸借契約書を見れば分かるので、確認してみてください。
まとめ
離婚時に住宅ローンの残った家がある場合、まずはオーバーローンかアンダーローンかを調べる必要があります。
アンダーローンなら家が財産分与の対象となるので、夫婦で話し合って分け合いましょう。
分配割合は基本的に2分の1ずつですが、合意すれば別の割合にしても構いません。
いずれにせよ、離婚後に夫婦のどちらが家に住むのか、あるいは売却して清算するのか決める必要があります。
オーバーローンの家を処分する手続きは非常に複雑なので、専門家からアドバイスを受けておくと安心です。
オー美さんのように悩まれている方がおられましたら、お気軽にオーセンスの弁護士までご相談ください。
オーセンスの弁護士が、お役に立てること
・不動産の分与については、継続して居住を希望するか、相手方が取得をするのか、売却をするのかで、対応が大きく変動することから、まずは、お客様の希望を聴取し、ご希望を実現するために相手方にどのような提案ができるか検討をし、ご意向実現に向けて交渉を致します。
・適切な財産分与の実現のため、過去の例等に照らし、少しでもご依頼者様に満足いただく結果となるよう、財産の整理・調査・相手への交渉に努めます。
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