熟年離婚したいと考えたとき、離婚後の生活費など「お金の問題」は重要です。しっかり準備をして離婚の話を進めていきましょう。
この連載では、結婚25年目で熟年離婚を考えている「オー美」のケースを例に、重要なポイントを弁護士が解説します。
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結婚25年目、オー美の場合
私「オー美」は50歳の主婦です。
夫は56歳。同じ職場で知り合って結婚し、子どもができたタイミングで、私は退職しました。
結婚後は子育てをしながらパートで働いています。
夫は単身赴任のため、ここ10年間は一緒に生活していません。
以前は月2回ほど単身赴任先の家に行って、掃除やご飯の作り置きなどをしていました。しかし昨年、夫の浮気が発覚。夫は浮気を認め、「もう相手とは会わない」と約束しましたが、それ以来まともな夫婦の会話はありません。
そんな中、夫が単身赴任を終えて戻ってくることになりました。
子どもは2人いますが、それぞれ実家を出て一人暮らしをしています。
今さら夫と2人きりの生活を送るなんて考えられません…。
離婚に向けての準備、何をすればいいの?
熟年離婚を考え始めています。
夫とはもう10年以上も別々に生活しているし、浮気したことも許せません。
嫌悪感が強く、やり直すことは考えられない状況です。
離婚するうえで一番不安に感じているのは、生活費など「お金」の問題です。
離婚へ向けてどんな準備をすべきか知らなければならないと思い始めました。
熟年離婚の場合、通常のケースより財産分与を多くもらえると聞いたことがありますが、本当なのでしょうか?
また、離婚後の生活費はどうなるのでしょうか。
幸いなことに、パート先から「正社員にならないか?」と誘われていますが、それだけで生活できるのか不安です。
子どもには負担をかけたくありません。
離婚の話し合いで不利にならないための準備方法、離婚までの流れを知っておきたいです。
弁護士が解説!離婚するまでの流れの中で気をつけるべきポイント
熟年離婚のケース特有のポイント
熟年離婚には、若い方の離婚とは異なるポイントがいくつかあります。
・財産分与が高額になりやすい
熟年離婚の場合は婚姻期間が長いため、財産分与の額が高くなる傾向にあります。
財産分与の対象になる資産は「婚姻中に夫婦で形成した共有財産」です。
そのため、婚姻年数が長くなるにつれて分与の対象となる資産も増えていくのが通常です。
オー美さん夫婦の場合も、婚姻中に夫婦で築いた財産(預金や保険、不動産など)があるでしょう。今後、夫の退職金が入ってくる可能性もあります。
そういった資産を漏らさず分与してもらう必要があります。
・年金分割が重要に
熟年離婚ではお互いの年齢が高いことにより、「年金分割」も重要になります。
オー美さんのケースの場合、会社員の夫が、婚姻中に納めた厚生年金保険料のうち、最大2分の1をオー美さん自身が納めたことにしてもらえるので、オー美さんは将来受け取る年金額が増えます。
年金分割について、夫としっかり話し合いましょう。
熟年離婚に向けた準備
熟年離婚するときには、以下のように準備を進めましょう。
・財産資料を集める
まずは財産分与で損をしないために財産資料を集めましょう。
- ・夫婦の預貯金通帳、取引履歴
- ・保険証書
- ・証券会社との取引関係のわかる書類
- ・車検証
- ・不動産の全部事項証明書や査定書
できるだけたくさんの資料を集めておけば、その分相手の財産隠しを防げます。
・年金分割のための情報通知書を取得する
年金分割をするには、年金事務所から「年金分割のための情報通知書」を発行してもらう必要があります。
この通知書には夫婦それぞれの「年金加入期間」や「分割対象期間」、「分割可能な年金の割合」などが書かれています。
50歳以上の方や障害年金を受給している方は、分割後の受給年金見込額も知ることができます。
日本年金機構:年金分割後の年金見込額を知りたいのですが、どうすれば知ることができますか。
https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/rikonbunkatsu/20140421-14.html
年金分割をお考えの方は、まずこの通知書を取り寄せて内容を確認しましょう。
・離婚後の生活設計を考える
長年夫の扶養に入っていた方が熟年離婚する場合、離婚後の生活設計を考えておくことも重要です。
離婚後どうやって生活するのか、この先どのくらいの生活費が必要になるのか計算してみましょう。
オー美さんの場合は幸いなことに、正社員への登用が決まっているようです。
財産分与などで受け取れる金額と自分の収入を算定して、事前にシミュレーションしておきましょう。
・子どもに理解を求める
熟年離婚の場合は子どもがすでに成人しているケースが多く、親権についてはあまり問題になりません。
しかし子どもに理解を求めることは大切です。
事前の相談なしにいきなり両親が離婚してしまうことは子どもにとってショックが大きいため、その後の親子関係を悪化させる可能性があります。
離婚前に子どもとしっかり話し合い、思いを伝えて理解してもらっておきましょう。
離婚の流れ
①相手と協議する
準備が整ったら、まずは相手と話しましょう。
②離婚公正証書を作成する
合意ができたら条件をまとめた協議離婚合意書を作成します。
支払いを確実に受けるため、合意内容は公正証書にするよう推奨します。公正証書にすることで、合意した支払が行われなかった時に相手の財産を差し押さえることができますし、その効力を背景に相手の支払をより促す効果も期待できます。
③離婚届を提出する
離婚届を提出すれば離婚が成立します。
④合意できなければ離婚調停を申し立てる
協議が成立しない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。
⑤それでも合意できなければ離婚訴訟を提起する
調停でも合意できなければ、離婚訴訟を起こす必要があります。離婚判決を取得するには法律上の離婚原因(相手の不貞など)の存在を立証する必要がありますが、訴訟提起後も判決までは進まずに和解によって離婚となることも多くあります。
まとめ
離婚の際には事前に準備、計画しなければならないことがたくさんあります。
その時の思いつきで相手に離婚を切り出すと、思わぬ不利益を受ける可能性もあるので注意しましょう。
離婚後の生活設計や子どもとの関係にも注意しなければなりません。
オーセンスの弁護士が、お役に立てること
①不動産について請求できる財産分与額の計算はどのようになるのか、退職金についても分与の対象とできるのか、慰謝料請求も可能か、など離婚の条件として請求が考えられる内容を、準備段階で収集していただきたい資料とあわせて、具体的にお伝えします。
②協議開始後は、できる限り多くの支払を確保するために、オーセンスに所属する多数の弁護士の知識経験や過去の案件のデータに基づいた専門的判断により、交渉・主張を尽くします。お客様に代わって相手との連絡交渉の窓口となり、書面作成なども私たちが行いますので、お客様の精神的・物理的なご負担を大幅に軽減させることができます。
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