コラム
公開 2023.05.02

再婚とは?禁止期間・戸籍・養育費・連れ子の相続権を弁護士がわかりやすく解説

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一般的に、再婚とは二度目以降の婚姻を指します。
再婚は最近では珍しくなく、婚姻する夫婦の約4組に1組が再婚であるといわれているほどです。

では、再婚をする際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
今回は、子どもの養育費や戸籍など、再婚時の注意点を弁護士がまとめて解説します。

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再婚の基本

再婚は、今や決して珍しいものではありません。
内閣府男女共同参画局の資料によると、結婚するカップルのうち夫または妻のどちらかが再婚である割合は、2020年のデータで26.4%となっており、全体の4分の1以上を占めているほどです。※1

はじめに、再婚の基本について解説します。

再婚とは

一般的に、再婚とは二度目以降の婚姻を指します。
元の配偶者と離婚や死別をした後に、別の相手と再度婚姻することを再婚といいます。

再婚禁止期間

婚姻や夫婦にまつわるルールは、「民法」という法律に規定されています。

民法には、再婚禁止期間の規定が存在します。
これは、女性に対して、前の婚姻の解消から100日以内の再婚を原則として禁止する規定です(民法733条)。

ただし、医師の診断書などで婚姻の解消時に妊娠していないことの証明ができた場合や、前婚の解消後に出産した場合には、100日の経過を待たずに再婚することができます。
再婚禁止期間は、前婚の解消後に子どもを出生した場合、次の2つの推定が重複することを回避することを目的とした規定であるためです(同772条)。

  • 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する
  • 婚姻の成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する

なお、再婚禁止期間は、以前は100日ではなく6か月とされていました。
しかし、これは法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、違憲であるとの判決が下っています。
これにより、平成28年(2016年)6月1日に民法の改正法が成立し、再婚禁止期間が100日へと短縮されたという経緯があります。

再婚すると戸籍はどうなる?

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再婚をすると、戸籍はどうなるのでしょうか?

再婚であるか初婚であるかを問わず、婚姻すると夫婦は夫婦(と子ども)単位で一つの戸籍を編製します。
これには、次の2つのパターンが考えられます。

  1. 夫婦で新たに戸籍をつくる
  2. 夫婦のどちらかがもともと筆頭者として入っていた戸籍に、再婚相手が入る

なお、「筆頭者」とは、戸籍のはじめに記載される人のことです。
筆頭者は妻であっても夫であっても構いませんが、夫婦はともに筆頭者になった側の姓を名乗ることとなります。

再婚すると連れ子の戸籍はどうなる?

いわゆる連れ子がいる状態で再婚をする場合、連れ子の戸籍はどうなるのでしょうか?
基本的な考え方は、次のとおりです。

連れ子は自動的に相手の子どもになる?

誤解している人も少なくありませんが、親が再婚したからといって、連れ子が自動的に再婚相手の子どもになるわけではありません。
たとえば、妻側に連れ子がいる場合、妻が夫と再婚をしても、子どもと再婚相手である夫との間に法的な親子関係が生じるわけではないということです。

連れ子と再婚相手との間に法的な親子関係を生じさせたい場合には、婚姻の手続きとは別途、再婚相手と連れ子との養子縁組手続きが必要となります。
まずは、この点を念頭に置いておきましょう。

筆頭者の連れ子の戸籍

再婚後に筆頭者となる側(仮に、夫)に連れ子がいて、妻が夫の戸籍に入る形で再婚をする場合、夫の連れ子の戸籍は変動しません。
この場合には、元々父と子どもが入っていた戸籍に、新たに再婚相手である妻が入る形になります。

また、この場合には当然ながら、夫の連れ子である子どもの名字は変わりません。

筆頭者ではない側の連れ子の戸籍

再婚後に筆頭者とならない側(相手の戸籍に入る側。仮に、妻)に連れ子がいる場合、子どもの戸籍はどうなるのでしょうか?
2つのケースに分けて解説します。

なお、いずれも子どもは独身であり、元々妻である親の戸籍に入っていたことを前提とします。

再婚相手と子どもが養子縁組をする場合

再婚と同時に子どもが夫の養子となる場合には、養子縁組の結果として、子どもが夫の戸籍に入ります。
結果として妻と連れ子がともに夫の戸籍に入ることとなり、妻と子がともに夫側の姓を名乗ることとなります。

再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合

再婚をしても子どもが夫の養子にならない場合には、妻だけが夫側の戸籍に入り、子どもは元の戸籍に残ります。
元々妻と子どもが一緒に入っていた戸籍から妻だけが抜けて、子どものみが元の戸籍に残る形です。

また、この場合には、妻は夫の姓に変わるものの、子どもの姓はもとのままです。
つまり、再婚をした妻と子どもの名字が異なる状態となります。

なお、名字の不一致と親子関係や扶養義務、親権は別の問題です。
このケースでは、妻と子どもの名字は違うものの親子であることに変わりはなく、扶養義務や親権も変動しません。

とはいえ、子どもの姓を母親である自分の姓と一致させたい場合もあるでしょう。
再婚相手である夫の養子にすることなく子どもの名字を自分や再婚相手と同じとしたい場合には、まず、家庭裁判所に子どもの「氏変更許可」の申し立てを行います。
同じ戸籍に入るためには、名字が同じである必要があるためです。

家庭裁判所から氏の変更許可がおりたら、その後本籍地の市区町村役場へ「母(父)の氏を称する入籍届」を提出します。
これにより、子どもも再婚相手である夫の戸籍に入ることが可能となり、母とともに再婚相手の姓を名乗ることとなります。※2

再婚は養育費に影響する?

養育費とは、子どもの教育や監護に要する費用です。

未成年の子どもがいる状態で離婚をする場合には、婚姻時のように「一つの財布」から養育費を出していくわけにはいきません。
そのため、離婚に際しては、以後の養育費の負担を決めることが基本です。
取り決めをした養育費は、親権を持たなかった側の親が親権を持った側の親へ毎月決まった金額を支払う形をとることが多いでしょう。

では、子どもについて以前の配偶者などとの間に養育費のやり取りがある中で再婚をした場合、養育費には影響するのでしょうか?
養育費を支払っている側が再婚した場合と、養育費を受け取っている側が再婚をした場合とに分けて解説します。

なお、養育費の減額が認められうる事情が生じたからといって、相手の承諾を取らずに勝手に減額してよいわけではありません。
まずは、相手と減額の交渉を行い、合意を得ることが必要となります。
そのうえで、相手の合意が得られない場合には、調停や審判を申し立てる必要があります。

そして、審判などで養育費の減額が認められる可能性の高いものを、ここでは「減額ができる可能性がある」などと表現しています。

養育費を支払う側が再婚した場合

養育費を支払っている側が再婚をして、扶養親族が増えた場合には、養育費の減額が認められる可能性があります。

養育費は、非常に簡略化していえば、収入という一つのパイを本人と扶養親族との間で分け合うようなイメージです。
そのため、パイを分け与えるべき扶養親族(収入のない再婚相手や、養子にした再婚相手の連れ子など)が増えれば、1人分の養育費は少なくなります。

一方、再婚をしても再婚相手に収入があるなど扶養親族が増えたわけではない場合には、養育費の額に影響する可能性は低いでしょう。

養育費を受け取る側が再婚した場合

養育費を受け取っている側が再婚をしても、原則として養育費の額には影響しません。

ただし、養育費の対象となっている子どもが再婚相手の養子に入った場合には、養育費の減額や支払いの免除が認められる可能性が高いでしょう。
なぜなら、再婚相手の養子となった以上、その子どもに対する一次的な扶養義務は、再婚相手である養親へと移るためです。

なお、養親となった再婚相手の収入が低いなど子どもの養育費を支出することが難しい事情がある場合には、減額が認められない可能性もあります。

再婚に関するよくある疑問

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最後に、再婚にまつわるよくある疑問について回答します。

再婚したことは元配偶者にわかる?

再婚したことを元配偶者に知られたくないという場合もあるでしょう。
では、再婚したことは、元配偶者にわかってしまうのでしょうか?

結論をお伝えすると、元配偶者との間に子どもがいなければ原則としてわからない一方で、子どもがいる場合にはわかる可能性が高いといえます。

まず、離婚をした元配偶者は法律上「他人」ですので、勝手に戸籍謄本などを取得して調べることはできません。
たとえば、離婚時に元夫の戸籍から抜けて元妻が新たな戸籍を編製した場合には、元夫は元妻の新しい戸籍を取ることはできないということです。
そのため、その後元妻が再婚をしたことを調べることはできないでしょう。

一方で、親が離婚をしても、子どもと親との親子関係が終了するわけではありません。
親権をもった側の親はもちろん、親権を持たなかった側の親も、引き続き子どもの親です。

そして、親は子どもの戸籍謄本を取得することができます。
そのため、たとえば離婚時に元夫の戸籍から元妻と子どもが抜けて元妻と子どもとで新たな戸籍を作った場合であっても、元夫は子どもの新しい戸籍謄本を取得することが可能です。

その戸籍に元妻が再婚した旨が載っていれば、結果的に再婚が知られる可能性があるでしょう。

再婚相手の養子になった子どもは元配偶者の子どもではなくなる?

子どもが再婚相手の養子になった場合、元配偶者と子どもとの親子関係は終了するのでしょうか?

まず、養子には2種類が存在します。
「普通養子縁組」と、「特別養子縁組」です。

子どもを再婚相手の養子とする際に一般的に活用されるのは「普通養子縁組」です。
この普通養子縁組では、元の親子関係が終了するわけではありません。
元夫との間に生まれた子どもを妻の再婚相手の養子にした場合には、この子どもの父親は実親と養親の2人になります。

一方、「特別養子縁組」では養親のみが親となり、元の親との親子関係は終了します。
ただし、特別養子縁組は「養子となる者の監護が著しく困難または不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるとき」にのみ利用できる制度です(同817条の7)。
そのため、再婚に伴う養子縁組の場合、多くは特別養子縁組ではなく普通養子縁組となります。

連れ子は再婚相手の相続人になる?

連れ子は、再婚相手の相続人になるのでしょうか?

原則として、連れ子に再婚相手の相続権はありません。
なぜなら、単に親が再婚をしただけであれば、連れ子と再婚相手との間に親子関係が生じるわけではないためです。

一方、連れ子が再婚相手の養子になった場合には、再婚相手と連れ子との間に法的な親子関係が生じます。
そのため、この場合には連れ子は再婚相手の相続人となります。

なお、先ほど解説したように、子どもが再婚相手の普通養子になったからといって、実親である元配偶者との親子関係が終了するわけではありません。
そのため、仮に元配偶者が死亡した場合には、子どもに相続権があることとなります。

まとめ

再婚とは、二度目以降の婚姻を指します。
夫婦の一方または双方が再婚である婚姻は年々増加傾向にあり、決して珍しいものではありません。

しかし、再婚にあたっては子どもの戸籍や養育費、相続などについて注意が必要です。
そのため、再婚に際して法的な心配がある場合には、あらかじめ弁護士へご相談ください。

Authense法律事務所では、夫婦間・家族間のトラブル解決やトラブル予防に力を入れています。
再婚にあたって法的な不安がある場合には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。離婚、相続を中心に家事事件を数多く取り扱う。交渉や調停、訴訟といった複数の選択肢から第三者的な目線でベストな解決への道筋を立てることを得意とし、子の連れ去りや面会交流が関わる複雑な離婚案件の解決など、豊富な取り扱い実績を有する。
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