企業が刑事事件に巻き込まれてしまうケースが後を絶ちません。
企業が関係する刑事事件を類型ごとにわかりやすく解説しながら、近年発生した企業に関係する刑事事件を詳しく紹介します。
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企業に関係する刑事事件にはどのようなものがある?
企業に関係する刑事事件にはどのようなものがあるのでしょうか。
はじめに、代表的なケースを5つ紹介します。
社員による横領や着服
社員による横領や着服は、企業が被害者となる可能性がある刑事事件の一つです。
企業から直接金品などを着服するケースのほか、顧客などが信頼して社員に預けたお金や物品を着服する悪質なケースも存在します。
場合によっては、企業全体の信頼を揺るがす事態ともなりかねません。
着服の金額が非常に多額になる場合や、着服の期間が非常に長期にわたる場合もあり、企業は被害を防ぐ仕組みづくりが必要です。
機密情報の持ち出し
社員による機密情報の持ち出しは、企業が巻き込まれやすい事件の一つです。
情報を売却して金銭などの対価を得ることを目的とするケースのほか、転職先へ持ち出すなどのケースが考えられます。
なりすましメールなどによる詐欺被害
迷惑メールは日々巧妙化しています。
最近では、実在する取引先などになりすましてメッセージを送付するような悪質なケースも登場しています。
取引先や、日頃から利用しているサービスを称する相手方からメールで請求書が送付された場合、特に不審な点が見当たらなければ支払ってしまう場合もあるでしょう。
こうした詐欺被害は後を絶ちません。
被害に遭わないためには、セキュリティを強固に保つことや定期的に従業員へ注意喚起の研修すること、振込みの際のルールを統一することなどの対策が不可欠です。
自社商品の模造品の流通
自社商品と非常に似通った模造品を他社が流通させるなど、知的財産関係や、不正競争防止法に絡んだ事件も企業が関わる可能性のある刑事事件の一つです。
また、相手企業から知的財産権侵害をしたとして訴えられてしまうケースもあるでしょう。
脱税
日本国内に本店等を有する企業は、法人税法に基づき、原則、法人税を納める義務があります。法人税法には、法人税を算出するためのルール等が定められており、このルールに違反し、使っていない経費を計上したり、売上があったにもかかわらず、売上として計上しなかったり等の違法な方法で、納める税金を減らすことは脱税とされ、追徴課税等の行政処分だけでなく、刑事罰も課されることがあります。
企業のトップ等が脱税で逮捕される場合などは、金額も巨額であり、報道されることも多いく、当該企業に対するイメージの悪化は避けられない事件といえるでしょう。
なお、Authense法律事務所では、いつ巻き込まれるかわからない法的トラブルに対し、企業の刑事弁護に精通した弁護士チームが迅速に対応する「企業刑事対応プラン」をご用意しております。
また、企業や経営者のさまざまな悩みや課題に包括的に寄り添える「顧問弁護士プラン」のご案内など、各種資料のダウンロードも可能ですので、こちらもぜひご確認ください。
企業の刑事事件の具体例
企業の刑事事件は、たびたびニュースなどで話題となっています。
ここでは、企業が関係する刑事事件のうち最近話題となったものを4つ紹介していきましょう。
日本大学理事長の脱税事件
2021年11月末、日本大学の理事長であった田中英壽氏が、所得税法違反の疑いで逮捕されました。※1、※2
田中氏は、大学の付属病院をめぐる背任事件で起訴された医療法人の前理事長らから受け取ったリベートなどを税務申告しておらず、約5,300万円を脱税したとされています。
田中氏はすでに理事職から解任されていますが、大学のイメージ低下は避けられないでしょう。
また、この事件を受けて、国から、私立大学に対して学生数に応じて交付されている補助金について、今年度は不交付とすることを決定したとの報道も出されており、経営状況の大きな悪化が懸念されています。ちなみに、昨年度交付された補助金の額は90億円だったそうです。
ソフトバンク元従業員による機密情報持ち出し
ソフトバンク株式会社の元従業員が、「5G」サービスに関する秘密情報を社外に持ち出したとして、不正競争防止法違反の容疑で逮捕されました。※3
持ち出された情報は、業務上の必要性から逮捕された元従業員にアクセス権限が与えられていたようです。
この事件では、ソフトバンク株式会社の元従業員がライバル企業である楽天モバイル株式会社に転職したタイミングでの持ち出しであった点でも話題となりました。
この件に関し、ソフトバンク株式会社は、楽天モバイル株式会社に対し、損害の一部として10億円の損害賠償や、漏洩した情報の利用停止や破棄を求める訴訟を東京地裁に提起したとのことであり、一従業員の行為が、日本を代表する企業同士の争いにまで発展してしまいました。
ソニー生命社員による多額横領事件
2021年1月、ソニー生命保険株式会社の社員が、海外子会社である「エスエー・リインシュアランス」の口座から約170億円を別の海外口座に不正送金した詐欺の疑いで逮捕されました。※4
逮捕された社員は、エスエー・リインシュアランスが担っていた業務を内製化するにあたっての清算業務を担当していました。
清算手続きに関与する中で、自身が関与する別の海外銀行口座に多額の資金を送金してだまし取った疑いがあるとされています。
この社員は、コロナ禍を理由とするテレワーク中であり、上司などの目が届かない自宅から送金手続きを行ったようです。
郵便局長課長代理による郵便物着服事件
2021年11月、東京・北区の赤羽郵便局課長代理であった男性が郵便物を着服したとして、詐欺容疑で逮捕されました。※5
着服された郵便物にはクレジットカードが封入されており、このクレジットカードを使って家具などを購入していたようです。
この男性の自宅からは、他にも他人名義の株主優待券や商品券などが見つかっており、繰り返し郵便物を着服していたとみられています。
郵便の安全を揺るがす、非常に由々しき事件です。
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企業が刑事事件を弁護士に依頼するメリット
企業が刑事事件に巻き込まれそうになったり、刑事事件の当事者となってしまったりした場合には、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。
その理由は次のとおりです。
早期の解決へとつながる
弁護士へ相談をすることで、早期の解決へつながりやすくなります。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、解決までの全体像を見据えたうえで必要な対応を行うことができるので、段取りよく解決へと導くことができるからです。
また、無理に当事者のみで対応をしようとした結果、誤った対応をしてしまえば、問題が長期化してしまうおそれがあります。
事実関係の調査やヒアリング、捜査機関の対応などを弁護士へ任せられる
刑事事件に巻き込まれると、事実関係の調査や関係者へのヒアリング、捜査機関の対応などで多大な労力と時間を要することが珍しくありません。
このような対応に追われることで、企業の本業に支障が出てしまう可能性があるでしょう。
早期に弁護士へ依頼すれば、このような対応を弁護士へ任せることができるため、事件の対応に割く時間が最小限で済む点がメリットの一つです。
違法行為を行った社員への懲戒処分も含めて相談ができる
社員が違法行為を行ったことで刑事事件へと発展した場合には、その社員の今後の進退についても検討しなければなりません。
企業としては、問題を起こした社員は即刻で解雇をしたいと考える場合が多いかと思いますが、ケースによっては解雇が無効だとして訴訟を提起されるなど、別の問題に発展するおそれがあります。
刑事事件への対応を弁護士へ依頼することにより、問題を起こした社員の懲戒解雇など周辺や事後も問題も含めてアドバイスを受けることが可能です。
レピュテーションリスクへの対応も相談できる
社員の逮捕や、企業自体が捜査の対象になり、それらが報道されると、企業イメージに傷がついたり、その報道をもとに、憶測や風評などで、さらに信用が低下したりしてしまう恐れがあります。
このようないわゆるレピュテーションリスクを防ぐために、早期にプレスリリースや、記者会見を行ったり、第三者委員会を立ち上げて、企業自身で調査を行ったりすることが重要ですが、その方法や、タイミング等について、弁護士に相談しながら行うことで、適切に対処することが可能です。
これらの対応を誤ったために、企業に対する批判が大きくなり、取り返しのつかないダメージを受けた例や、逆に適切な対応をしたことにより、ダメージを最小限度に抑えることができた例は、多々見受けられます。
再発防止につながる
弁護士へ、刑事事件への対応を相談することで、再発防止につなげることが可能となります。
多くの刑事事件を担当してきた弁護士の知識と経験により、発生した事案を踏まえて再発防止策についてのアドバイスを受けたり再発防止策を講じたりすることができるためです。
まとめ
企業が刑事事件に巻き込まれたり、刑事事件の被害者となってしまったりする事案が後を絶ちません。
Authenseでは、企業が刑事事件に巻き込まれてしまった場合に捜査機関への対応や実態や状況の把握、取引先への対応などを行う「企業刑事対応プラン」を設け、刑事事件でお困りの企業をサポートしております。
必要に応じて、再発防止策の策定まで対応することが可能です。
万が一刑事事件に発展するような事態が生じた場合のみならず、内在するリスクを洗い出したい場合や、事前に防止するための措置をお考えの場合には、早期に当事務所までご相談ください。