個人事業を承継する場合、経営権と財産権の承継が必要となります。財産権の承継方法は、売買、贈与、相続の3つの方法がありますが、個人事業者が亡くなったことで事業を承継する際は、「相続」での承継になります。
◆亡くなった個人事業者の所得税の確定申告
相続による事業承継の場合、承継者は、相続を知った日の翌日から4か月以内に、亡くなった前経営者の確定申告を行わなければなりません。
亡くなった個人事業者が青色申告により確定申告をしていた場合の届出と提出期限
個人事業者の死亡届出書
提出時期 事由が生じた場合、すみやかに。
個人事業の廃業等届出書
提出時期 被相続人の死亡後1ヶ月以内。
個人事業の開業等届出書
提出時期 事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内。
所得税の青色申告承認申請書
提出時期 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)。
ただし、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内。
その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合…死亡の日から4か月以内。
その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合…その年の12月31日まで。
その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合…その年の翌年の2月15日まで。提出期限が土・日曜日・祝日等にあたる場合は、これらの日の翌日。
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
提出時期 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)。
そのほか雇用契約書など
身内以外の方を従業員として雇用する場合などは、また別途書類での手続きが必要。
◆所得税の青色申告承認申請手続
青色申告の承認を受けようとする場合、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方(非居住者の場合には業務を国内において行う方)のうち、青色申告の承認を受けようとする方は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に納税地を所轄する税務署長に提出します。
出典
所得税の青色申告承認申請書の様式・書き方
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf
国税庁ホームページより
◆青色事業専従者給与に関する届出・変更届出手続
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする青色申告者は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に、納税地を所轄する税務署長に提出します。
出典
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書の様式・書き方
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/13_14.pdf
国税庁ホームページより
Check! 財産権を承継する方法「相続」「贈与」「売買」
財産権を承継する方法は、相続、贈与、売買の3つの方法があります。
しっかりとした後継者が決まっている場合は、相続による承継で、コストを抑えることができたり、財産権と経営権の分離のリスクを回避することができるでしょう。
従業員からの抜擢やヘッドハンティングによる人材を後継者とする場合は贈与になります。また、M&Aにより売却する方法(売買)もありますので、事業承継を得意とする専門家に一度、ご相談されることをおすすめします。
Check! 青色申告と白色申告のメリット・デメリット
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」があります。
青色申告は、必要経費として認められる科目や、純損失の繰り越しなどの控除が多いというメリットがありますが、税務署への事前申請が必要となり、複式簿記で帳簿をきちんと管理しなくてはなりません。また、損益計算書や貸借対照表を添付して申告書を提出する必要があります。
白色申告は、事前申請をする必要がなく、複式簿記ではない簡易な帳簿付けで構いません。しかし、青色申告では適用される控除や純損失の繰り越しなどができません。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、事業承継を得意とする専門家にご相談されることをおすすめします。