特別受益・寄与分

特別受益・寄与分

寄与分の算定方法について教えてください

寄与分とは、被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度です。民法における寄与行為の態様には、被相続人の事業に関する労務の提供、被相続人の事業に関する財産上の給付、被相続人に対する療養看護が規定されています。

民法上、家庭裁判所は、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定めるとされており、裁量的な要素が強くなっています。

前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
寄与行為の具体的な算定方法の一例をご紹介いたします。

◆被相続人の事業に関する労務の提供
家業従事型の場合
寄与分額=寄与者の受けるべき相続開始時の年間給与額×(1-生活費控除割合)×寄与年数

◆被相続人に対する療養看護
相続人が実際に看護した場合
寄与分額=付添人の日当額×療養看護日数×裁量的割合

第三者に看護を頼み、費用負担をした場合
寄与分額=負担費用額

特別受益の持戻しについて教えてください

特別受益とは、被相続人から相続人に対して遺贈された財産、または婚姻や養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与された財産をいいます。
共同相続人の中に特別受益を得ていた者がいる場合、法定相続分のまま遺産分割するのでは不公平が生じてしまいます。
そこで、民法第903条1項では、各相続人間の公平を図るため、特別受益分を考慮したうえで具体的相続分を算定する「特別受益の持ち出し」という制度を設けています。
※具体的相続分とは、共同相続人間の公平性を実現するために、法定相続分または指定相続分に特別受益や寄与分の調整を施して算定される観念的・概念的な割合(分割基準)です。
特別受益の持ち戻しの対象となる財産は、遺贈、婚姻・養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与です。
では、具体的相続分を算定してみましょう。

【例】
相続財産として3700万円、相続
人は妻と2人の子(X,Y)。
被相続人は生前、Xに結婚費用として300万円を贈与していました。

生命保険金と特別受益の関係について教えてください

生命保険金請求権は、被相続人の生命保険金で受取人が指定されている場合、受取人が保険契約に基づく固有の権利であると考えられます。
そのため、受け取った生命保険金は受取人の固有の財産であると考えられ、特別受益にはあたらないのが原則です。
しかし、共同相続人の一人だけが生命保険金を受け、しかも不公平と見られるほどに高額の場合は、特別受益に準じて持ち戻しの対象になるとされています。
生命保険金が特別受益に準じて持戻しの対象となるかどうかは、「特段の事情」の有無により判断されるようです。

住宅資金は特別受益になりますか?

住宅資金については、その援助が生計の資本としての贈与として、特別受益と判断されることが多いです。

学費は特別受益になりますか?

学費については、一般論として、被相続人の資産、収入、職業及び社会的地位等を考慮して、その学費の援助が親の扶養義務の一環といえるかどうかがポイントとなってきます。
例えば、高校卒業までにかかる学費の援助は、扶養義務の範囲内であり、通常は特別受益の対象となる贈与に当たるとは考えられていません。
ただ、相続人の一人だけが大学に進学し、その学費の援助を受けているような場合には、この援助は、特別受益としての贈与に当たると考えられています。
もっとも最近では、私立の医学部の学費や海外留学費用といったまとまった高額の学費の援助でないと、特別受益としての贈与とまでは認定できないという見解もあります。

特別受益について教えてください。

特別受益とは、被相続人から遺贈を受け、または婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けたときの利益をいいます。

孫への贈与は特別受益になりますか?

孫への贈与は、原則、特別受益になりません。ただし推定相続人である父ないし母が本来負担すべき費用(学資等)を孫に贈与した場合には、実質的に推定相続人に対する贈与であるとして、特別受益にあたる可能性があります。

特別受益の対象となる財産にはどのようなものがありますか?

婚姻するときの持参金や嫁入り道具、養子縁組するときの資金など、婚姻や養子縁組のために贈与を受けた財産。大学学費や留学費用、不動産や自動車の贈与を受けた場合、個人事業の独立開業をした際に援助してもらった資金など、生計の資本として贈与された財産が特別受益の対象となります。

借地権の贈与は特別受益になりますか?

被相続人名義の借地権を、生前に相続人に無償で譲渡した場合は、借地権相当額が特別受益になると考えられます。

持戻免除について教えてください。

被相続人が「持戻免除」の意思表示をしていた場合、相続分を算定する際、持ち戻しをしないということです。

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