遺言の解釈について、裁判所は、「当事者の真意を合理的に探究し、できるかぎり適法有効なものとして解釈すべき」としています。結局のところ、まずは遺言に記載されている内容から解釈し、当該記載のみでは解釈が難しい場合には、遺言の文言を参照しながら、遺言書の全記載との関連性、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況など様々な事情を考慮して遺言書の解釈をすることになります。したがって、遺言の内容が不明確の場合は、専門的な知識の有する弁護士に一度相談してみてください。
遺言に関する争い
遺言の内容が不明瞭の場合はどう判断したらいいですか。
子供の内の1人に全財産を相続させる旨の遺言が見つかったのですが、既にその者が先に死亡していた場合はどうなりますか?
遺言者が死亡する以前に、相続人がすでに死亡していた場合、遺言書の当該部分は失効し、原則どおり、法定相続にしたがって相続されることになります。
そこで、このような場面に備えて、遺言の中に「万が一〇〇が遺言者よりも先に、もしくは同時に死亡した場合には、当該財産は孫××へ相続させる。」といった予備的条項を盛り込んでおくことが可能です。
相続人は、遺言の内容に拘束され、遺言と異なる遺産配分をすることはできないのですか。
遺言は亡くなった方の最終意思が記されたものであり、その意思は十分に尊重されなければなりません。しかしながら、遺産分割協議において相続人全員の合意があれば、遺言内容と異なる分割方法を定めることもできます。また、遺言にしたがった結果、相続人の遺留分を侵害するような場合には遺留分侵害請求の対象となります。
遺留分侵害額の請求をするときには訴訟等の法的手続きをする必要がありますか?
訴訟や調停によらなくても、請求の相手方となる相続人等に書面で通知して請求するだけでも構いません。書面で請求する場合には、内容証明郵便を利用して請求した時期と内容を証明できるようにしておいた方が無難でしょう。なお、この場合、必ずしも金額を明示する必要はありません。
ただし、遺留分侵害額の請求をしても、相手方が支払に応じなかったり金額で揉めることも多いので、早い段階で弁護士に相談してください。
遺言書を見つけたので、開封してしまいました。
家庭裁判所で検認を受ける前に、自筆証書遺言や秘密証書遺言を開封した場合は5万円以下の過料に処される可能性があります。もっとも、遺言を開封してしまっても過料に処されるケースは滅多にありませんし、遺言自体が無効になることはありません。すみやかに開封した遺言を家庭裁判所に提出して検認を受けて下さい。