相続財産を、どこか特定の団体に寄付したいと思った場合、どのような手続きをとればよいのでしょうか?
最近、よく聞く「遺贈寄付」とはどのようなものなのでしょうか?
相続に詳しい弁護士が解説いたします。
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遺贈寄付とは?
「遺贈寄付」とは、どのような制度なのでしょうか?
遺贈寄付とは、遺言書を作成し、公益法人、学校、病院などの公益的な活動をする団体に自分の遺産一部又は全部を寄付することをいいます。
近年、自身の財産について、自分の死後、生前にお世話になった団体や、支援を必要としている人に届けて欲しいという思いから、『寄付』を検討する方が増えてきています。
しかし、『寄付』といっても方法や手続きについて、よく分からない方も多いと思います。
ここでは、「遺贈寄付」について、詳しく解説いたします。
遺贈寄付の方法
遺贈寄付の方法は、次のような方法が考えられます。
- ⅰ:遺言によって特定の公益団体に寄付
- ⅱ:信託を活用した寄付
ⅰ:遺言によって特定の公益団体に寄付
自己の財産の全部又は一部を民間非営利団体等に遺贈する旨の遺言を残す方法です。
遺言が確実に実行されるよう、遺言書の中で遺言執行者を指定しておくことがポイントです。
ⅱ:信託を活用した寄付
信託(下図参照)により、委託者と受託者との間で信託契約を締結します。
契約締結後、(契約の定めによりますが)財産が受託者に移転し、受託者が財産を管理します。
委託者に相続が発生したら、受託者が受益者に財産を引き渡します。
(最近では、遺贈寄付の信託のサービスを提供している金融機関もあります。)
寄付先や寄付をする財産を決定した上で、ⅰもしくはⅱを選択することとなります。
寄付をしたいという方は、事前に専門家に相談をして、どの手続きを選択すべきか検討するとよいでしょう。
遺贈寄付と相続税
遺贈寄付を行った場合、寄付をした財産に相続税は課税されるのでしょうか?
ここでは、遺贈寄付と相続税との関係について、みていきたいと思います。
ⅰの遺言による寄付先が法人の場合には、原則として相続税の課税対象とはなりません。
寄付先が個人や法人格を持っていない団体の場合は、原則として相続税が課税されますので、ご注意下さい。
また、信託の場合は、特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合は、支出した金銭は相続税の課税対象とはなりません。
寄付先の要件の詳細については、国税庁のHPをご確認下さい。
(参考:国税庁No.4141相続財産を公益法人などの寄付したとき)
遺贈寄付の注意点
遺贈寄付の注意点としては、遺贈寄付が確実に実現できるかどうかという点が挙げられます。
確実に実現するための方法として、遺言執行者という、遺言内容を実現する人を遺言書の中で指定しておくことが考えられます。遺言執行者は個人を指定することも可能ですが、遺贈を確実に行うことを考えるのであれば、法人を遺言執行者に指定することも検討が必要です。
また、自筆証書遺言を作成した場合、紛失のおそれがあったり、遺言者が亡くなった後に検認が必要といった手間がかかったりするため、公正証書遺言を作成されることをお勧めします。
また、寄付の対象とする財産にも注意が必要です。
不動産等の現物をそのまま寄付する場合、法定相続人にみなし譲渡所得税等の課税がされる可能性がありますので注意が必要です。
遺贈寄付は、誰に相談すればよい?
遺贈寄付は、寄付先の選定や寄付の金額、遺贈寄付の方法等、検討すべきことが多いため、弁護士や司法書士等の専門家に相談するようにしましょう。
また、税金関係の問題も考える必要がありますので、税理士にも相談をして、遺贈寄付が課税対象となるか否かも確認するとよいでしょう。
まとめ
「遺贈寄付」は、自分の財産を社会貢献のために役立てる有効な方法です。
しかし、「相続」に関わることですので、一般の方が手続きをとるのは難しい場合もあります。
ご興味がある方は、相続に詳しい専門家にご相談されることをお勧めいたします。
Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること
以前ご相談に来られたお客様で、相続人の方だけではなく、これまでお世話になった施設、行政や動物の保護団体に寄付をしたいという方がおられました。その方のご希望が叶うように、事前に寄付先について寄付を受けてもらえるかを確認した上、寄付が確実に実現できるような遺言書を作成しました。そして、ご相談者様がご逝去された後は、遺言書に沿って寄付先に対して寄付を行いました。
確実に寄付が実現できる遺言書を作成することが大切ですので、遺言によって寄付をお考えの方は、是非一度ご相談ください。
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