コラム
公開 2022.07.22

知らなきゃ損!相続によって取得した空き家を売却する際に活用できる特例とは?

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相続によって空き家を承継した場合、どのように対応すべきなのでしょうか?
また、その空き家を売却する場合は、なにか特例が適用できるのでしょうか?
空き家特例の要件や注意点について、相続に詳しい弁護士が解説いたします。

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相続により空き家を取得した場合

相続によって「被相続人の所有していた自宅」を承継したが、承継した自宅には誰も住む予定はないという場合、その自宅は空き家になってしまいます。

このように、空き家を承継した場合、どのように対応すべきなのでしょうか?
空き家だからといって、放置しておいても良いのでしょうか?
答えは「No」です。

空き家を放置すると、建物が劣化したり、草木が生えてきたりするため、管理費用がかかってきます。
また、防犯の観点からも空き家の放置はお勧めできません。
第三者が空き家に放火をして、隣の家に延焼してしまったら、空き家の所有者として損害賠償請求を受ける可能性もあります。

さらに、空き家だからといって、固定資産税がかからないということはありません。
毎年、固定資産税が課税されますし、管理状態が不十分で「特定空家」に指定されると住宅用地の特例の対象から除外され、固定資産税が大幅に増加する可能性もあります。

そのため、空き家については、速やかに売却や第三者への賃貸などを検討されると良いでしょう。
相続によって取得した空き家については、一定の要件を充たせば、売却にかかる譲渡所得税を低く抑えることも可能です。
ここでは、相続によって取得した空き家に適用できる特例について、詳しく解説いたします。

空き家特例の概要

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋または居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売り、一定の要件にあてはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円までを控除することができます。
これを、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(「空き家特例」)といいます。

この特例の趣旨は、税制上の優遇措置により、空き家の最大の要因である『相続』に起因する古い空き家及びその敷地の有効活用を促進することにあります。

【空き家特例を活用したら、どのくらい得になるの?】

  • 売却代金      8000万円
  • 取得費(購入代金) 4000万円
  • 譲渡費用(諸経費) 200万円

特例の適用なし
{8000万円-(4000万円+200万円)} × 20%(長期譲渡所得税と住民税の税率) = 760万円

特例の適用あり
{(8000万円-(4000万円+200万円)―3000万円(空き家特例)} × 20%(同上) = 160万円

※空き家特例を適用できると、譲渡所得税が600万円も減ることになります。
また、利益が3000万円以下の譲渡の場合には空き家特例を使うことで所得税がゼロになります。

空き家特例の要件

空き家特例の主な要件は、以下のとおりです。

  1. 被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等であること
  2. 相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  3. 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
  4. 相続時から譲渡時まで「空き家」であること
  5. 売却代金が1億円以下であること
  6. 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却したこと
  7. 次のア又はイの売却をしたこと
    • ア 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
    • イ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

空き家特例の詳しい要件については、下記国税庁のHPをご参照ください。
なお、空き家特例は、区分所有建物には適用できませんので、ご注意ください。
また、こちらの特例は、適用期限があり、令和5年12月31日までに売却した空き家についてのみ適用できることとなっております(令和4年2月時点)。
今後、適用期限が延長される可能性もありますが、適用期限についても十分ご注意ください。

参考:国税庁HP「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

被相続人が施設に入所していた場合の特例適用の可否


被相続人が老人ホーム等に入所して、被相続人の居住の用に供されなくなった居住用家屋等について、一定の要件を充たす場合には、特例が適用されます。

  • 被相続人が老人ホーム等に入居する直前において要介護認定又は要支援認定等を受けており、養護老人ホーム等の施設などに入居又は入所していたこと
  • 入居時から相続開始の直前まで家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと
  • 入居時から相続開始の直前まで空き家となった家屋が事業の用、貸付の用又は当該被相続人以外の居住の用に供されていたことがないこと
  • その家屋が、昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 被相続人の居住の用に供されなくなる直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

詳しい要件は、国税庁HP「No.3307被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人の居住用 家屋」をご参照ください。

空き家特例の注意点

空き家特例については、上述のとおり、要件が多く、適用の可否によって税金が大きく変わりますので、必ず事前に弁護士や税理士に相談するようにしましょう。
また、空き家特例だけでなく、各種特例を活用するためには、税金面に加え、スムーズに遺産分割を行うことも重要です。
税金のみならず、遺産分割についても弁護士等に相談をして、スムーズに手続きを行うことができるよう、対策をとることも検討しましょう。

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まとめ

空き家特例は、適用できるか否かによって税金が大きくかわりうるものになります。
なるべく事前に弁護士や税理士に相談をして、空き家特例が適用できるよう、生前の相続対策や相続発生後の遺産分割を進めるようにしましょう。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

近年、高齢の方が一人で暮らしているケースも多く、相続人であるお子様方がすでに家庭を築いている場合には、空き家が生じることが多くなっております。このような場合に生じる税金対策のためには、適用し得る特例を有効に活用する必要があります。
もっとも、特例適用の可否については、法律的な知識が必要になる上、他の特例と併用して適用できる場合もあるため、ご自身にとって適用し得る適切な特例を検討するために、相続に詳しい弁護士にご相談することをおすすめします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。創価大学法学部卒業。創価大学法科大学院修了。不動産会社やIT企業などの顧問弁護士として企業法務に携わるとともに、離婚や相続をはじめとする一般民事、刑事弁護など、様々な案件に取り組んでいる。また、かつてプロ選手を志した長年のサッカー経験からスポーツ法務にも強い意欲を有し、スポーツ法政策研究会に所属し研鑽を重ねる等、スポーツ法務における見識を広げている。
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