相続財産に不動産がある場合、相続登記はどのような手続きとなるのでしょうか?
今回は、相続登記の流れ、相続登記に必要な書類や手続き上の注意点について、相続に詳しい弁護士が解説いたします。
ささいなお悩みもお気軽に
お問合せください初回相談60分無料※一部例外がございます。 詳しくはこちら
オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。
- 24時間受付、通話無料
- 24時間受付、簡単入力
はじめに
2021年4月に成立した民法・不動産登記法等の改正により、相続登記の義務化(以下「新しい相続登記制度」といいます。)や住所変更登記の申請義務化、所有不動産記録証明制度の新設等が定められました。
新しい相続登記制度により、令和6年(具体的な時期は今後決定されます。)からの相続登記については、原則として不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられるようになり、登記を怠った場合は、正当な理由が無い限り10万円以下の過料が科されるようになります。
参照:法務省のHP「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
そのため、相続が発生し、被相続人が不動産を所有している場合には、令和6年からスタートする新しい相続登記制度のもとでは、相続人は相続登記をしなければならなくなりました。
そこで、ここでは、相続登記の流れ、必要な書類や手続き上の注意点を相続に詳しい弁護士が解説します。
なお、基本的には、新しい相続登記制度前の従前の相続登記について解説しますが、必要に応じて新しい相続登記制度についても解説します。
相続登記の主な流れ
相続が発生した場合に、まず確認していただくのは遺言書の有無になります。
遺言書がある場合には遺言書の記載内容に従って登記申請を行い、遺言書がない場合には遺産分割協議をして登記申請をすることになります(なお、新しい相続登記制度のもとでは、遺産分割協議が難しい場合には、「相続人申告登記」をすることで、相続登記の義務を果たした扱いになることが予定されています。)。
遺言書の種類には公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言があり、自筆証書・秘密証書遺言の場合には、登記をする前提として家庭裁判所の検認手続きを経る必要があります(なお、法務局に保管申請している自筆証書遺言については検認手続きは不要となります。)。
そのため、公正証書遺言の場合に比べ、自筆証書遺言に基づいて登記手続きを進める場合には、手続きに時間がかかる上、必要な書類も増えます。
相続登記に必要な書類を収集した後は、登記申請書を作成し、不動産を管轄する法務局に相続登記の申請をします。
管轄ごとに申請する必要があるため、複数の管轄があるのに相続登記に必要な書類が1部ずつしか準備できていない場合には、1管轄ごとに順番に申請していくことになるので、時間がかかります。
なるべく時間をかけたくない場合には、相続登記に必要な書類を管轄数に応じた部数だけ準備しておくとよいでしょう。
法務局の混雑具合にもよりますが、申請から1~2週間程度で登記が完了します。
登記が完了すると、法務局から登記識別情報通知及び登記完了証が発行されます。
相続登記のために必要な書類
遺言書がある場合とない場合で必要な書類が異なります。
【遺言書がある場合】
- 遺言公正証書(自筆証書・秘密証書遺言の場合には、検認済みのものが必要になります)
- 被相続人の除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を承継する相続人の現在戸籍
- 不動産を承継する相続人の住民票
- 固定資産評価証明書
【遺言書がない場合】
<遺産分割協議未了の間に法定相続分の登記を入れるケース>
- 被相続人の出生から死亡までの繋がりのとれる戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の現在戸籍
- 相続人全員の住民票
- 固定資産評価証明書
<遺産分割協議書により登記を入れるケース>
- 被相続人の出生から死亡までの繋がりのとれる戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 不動産を承継する相続人の住民票
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印済みのもの)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
戸籍関係は、本籍地の市区町村役場で、住民票関係は住所地の市区町村役場で取得するようにしましょう。
最近では、コンビニなどで交付してもらえることもありますので、事前に市区町村のHPなどで、取得方法と取得に必要な資料を確認されることをお勧めいたします。
書類の収集方法が分からない、収集が面倒だという場合は、司法書士などの専門家に書類の収集を依頼することも可能です。
なお、遺言により相続人以外の第三者が遺産の不動産を取得してその相続登記をする場合は、必要書類が追加されますので、事前に司法書士などの専門家に確認するようにしてください。
相続登記を行う上での注意点
相続登記を申請する上での注意点をお話しします。
まず、遺言書がある場合には、それが公正証書遺言なのか、自筆証書・秘密証書遺言なのか確認しましょう。
自筆証書・秘密証書遺言の場合には、検認手続きを経なければ法務局での登記申請が行えません(なお、法務局に保管申請している自筆証書遺言については検認手続きは不要となります。)。
全部事項証明書(登記簿)に記載されている被相続人の住所が、住民票の除票に記載されている住所と同じかどうかも確認しましょう。
全部事項証明書(登記簿)の住所と住民票の除票の住所が異なる場合は、全部事項証明書に記載されている住所と除票の住所との繋がりが分かる書類(戸籍の附票など)が必要になります。
もしそれでも繋がりがとれない場合には、登記済証(登記識別情報通知)や相続人全員の上申書が必要になるケースもありますので、早めに司法書士などの専門家に相談するようにしてください。
また、被相続人が所有している不動産についても注意してください。
固定資産税が課税されない土地(私道など)や共有不動産など、固定資産納税通知書には記載されない不動産を被相続人が所有している場合もあります。
固定資産税農政通知書には記載されない不動産について、遺産分割協議での話し合い、そして相続登記に漏れが出ないよう、遺産分割協議に際して事前に名寄帳などを取得して、被相続人所有のすべての不動産を把握し、遺産分割協議で誰が取得するのかを話し合って決め、不動産の漏れのない相続登記の申請をするようにしましょう。
- 名寄帳‥土地・家屋を所有者ごとに一覧表にまとめたもので、所在地、課税標準額、固定資産税評価額、課税額などの記載があり、各市区町村ごとに作成されています。各市区町村の担当窓口にて取得します(郵送請求も可)。
なお、2021年4月に成立した民法・不動産登記法等の改正により、所有している不動産の一覧情報(所有不動産記録証明書(仮称))を本人または相続人から法務局に対して請求できることになります。
したがって、今後は、固定資産税納税通知書に記載されない不動産について、遺産分割協議での話し合いや相続登記に漏れが出てくる心配は少なくなることが考えられます。
ただし、この証明書も限界があるとされています。
具体的には、証明書を申請する際に、登記名義人の氏名と住所が一致してはじめて一覧として検索結果に表示され証明書として発行されるものであるため、氏名が変わっていたり、変更した住所が反映されていなかった場合には、検索結果にかからないことから、登記名義人の過去の氏名と住所も含めて申請・検索する必要が生じる可能性が指摘されています。
まとめ
このように、相続登記を申請するためには、戸籍や住民票などの公的書類の収集のほか、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を誰が取得するか話し合いをまとめなければならないケースもあり、手続きがとても煩雑になることも多々あります。
ご自身で登記手続きが難しいという場合は、司法書士などの専門家に依頼するようにしましょう。
また、そもそも遺産分割協議で不動産の分け方が決まらないという場合は、弁護士にも相談して、遺産分割協議を進めるようにしましょう。
Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること
相続登記に関連してよくあるトラブルとしては、相続が起こったものの、相続人が遺産分割協議および相続登記を怠たり続けたために、その不動産の相続人にも相続が発生して、一つの不動産で数十人の相続人が出てきてしまうケースがあります(こうした背景もあり、新しい相続登記制度が創られたといえます。)。
こうした、数十人の相続人がいる遺産分割についても、弊所では多数の解決実績がありますので、あきらめずに一度ご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら
ささいなお悩みもお気軽に
お問合せください初回相談60分無料※一部例外がございます。 詳しくはこちら
オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。
- 24時間受付、通話無料
- 24時間受付、簡単入力