コラム
公開 2021.01.06 更新 2023.04.04

贈与税の税率と計算方法を解説!合わせて知りたい非課税枠とは?

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贈与税の税率は課税対象額に応じて10~55%で設定されています。最高税率は高くなっていますが贈与税に適用できる非課税制度がたくさんあるので、うまく活用すると効果的に節税できます。将来相続税がかかりそうな方は、生前贈与を駆使して節税対策を行いましょう。

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1.贈与税の税率

贈与税は、財産を贈与されたときにかかる税金です。価値のあるものを無償でもらいうけると「利益」が生じるので、その利益分に対して課税されます。
相続対策のために「生前贈与」をするケースはよくありますが、生前贈与を受けると贈与税を払わねばなりません。

贈与税は、課税対象の財産額に贈与税率をかけ算して計算します。「贈与税の税率」は、「贈与契約の当事者」によって異なるので注意しましょう。

原則としては「一般税率」が適用され、「親や祖父母から20歳以上の子どもや孫などの直系卑属への贈与」のケースでは「特例税率」が適用されます。

1-1.一般的なケースにおける贈与税の税率(一般税率)

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

1-2.直系尊属から20歳以上の直系卑属への贈与税の税率(特例税率)

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

上記を比べるとわかりますが、原則的な一般税率よりも直系尊属から直系卑属への贈与に適用される特例税率の方が、贈与税の税率が低く設定されています。これは、できるだけ早めに次の世代へと資産を受け渡し、経済を活性化させたいという政府の狙いが影響しています。

1-3.一般税率が適用されるケースの例

  • 配偶者への贈与
  • おじおばから甥や姪への贈与
  • 長男の嫁への贈与
  • 内縁の妻への贈与
  • お世話になった人への贈与
  • 愛人への贈与
  • 祖父母から未成年の子供への贈与

1-4.特例税率が適用されるケースの例

  • 親から成人した子どもへの贈与
  • 祖父母から成人した孫への贈与
  • 曾祖父母から成人したひ孫への贈与

贈与税を計算するときには、一般税率と特例税率のどちらを適用されるのか確認しましょう。

2.贈与税の計算方法

贈与税の計算方法

贈与税の計算手順は以下のとおりです。

2-1.贈与財産の評価を行う

まずは「贈与財産の評価」をしなければなりません。
贈与財産が現金や預貯金であれば金額がそのまま評価額となりますが、不動産や車、株式、動産などの場合、定められた評価方法をあてはめなければなりません。
たとえば土地であれば路線価または固定資産税評価額に国税庁のホームページに記載がある一定の倍率を乗じた額、建物であれば固定資産税評価額、株式なら特定の日にちにおける終値や特定期間の終値の平均額、車や動産なら時価を調べましょう。

2-2.基礎控除を差し引く

贈与財産の評価ができたら、次に「贈与税の基礎控除」を差し引きます。

贈与税にはすべてのケースで適用できる「基礎控除」があります。具体的には「年間110万円までの贈与」は非課税となります。ただし「相続時精算課税制度」を選択した場合には基礎控除を引けなくなるので注意しましょう。

2-3.非課税制度を適用する

贈与税には、基礎控除以外にもさまざまな非課税制度がもうけられています。贈与税率をあてはめる前に、利用可能な非課税制度を適用しましょう。
たとえば以下のようなものがあります。

  • 配偶者への居住用財産贈与に対する控除
  • 親や祖父母から子どもや孫への居住用財産購入資金贈与に対する控除
  • 親や祖父母から子どもや孫への教育資金贈与
  • 親や祖父母から子どもや孫への結婚子育て資金贈与
  • 相続時精算課税制度

上記のような非課税制度を適用すれば、課税対象額が0円になる可能性もあります。その場合、贈与税は一切かかりません。

2-4.贈与税をかけ算する

贈与税の非課税制度を適用しても課税対象財産額がプラスになる場合には、その金額に贈与税率をかけ算します。このとき、一般税率と特例税率を間違わないようにしましょう。

2-5.贈与税計算の具体例

祖父母が25歳の孫へ自宅購入費用として2,000万円を贈与した。贈与日は2020年10月1日、住宅はエコ住宅で、適用される消費税額は10%の場合。

STEP1 贈与対象財産額

贈与対象財産額は2,000万円です。

STEP2 基礎控除

贈与税の基礎控除は110万円なので、こちらを差し引きます。

STEP3 贈与税の非課税制度を適用

このケースでは贈与税の非課税制度である「直系尊属から直系卑属への居住用不動産贈与に関する特例」を適用できるので、1,500万円を差し引けます。
すると、課税対象財産額は2,000万円-110万円-1,500円=390万円となります。

STEP4 贈与税率をかけ算する

祖父母から25歳の孫への贈与なので、贈与税の税率は「特例税率」となります。

最終的に算出される贈与税の金額は、390万円×10%-10万円=29万円と計算されます。

資金の贈与を受けた孫は、贈与を受けた翌年に贈与税の申告をして29万円の贈与税を支払えば贈与税の申告と納税を完了できるでしょう。

3.贈与税に適用できる非課税制度

贈与税に適用できる非課税制度

贈与税には以下のように適用できる非課税制度がたくさんあるので、うまく節税に利用してみてください。

3-1.基礎控除を活用した暦年贈与

1年に110万円までは贈与税がかからない「基礎控除」を利用した節税方法です。毎年少額の贈与を繰り返していくことで、年数を重ねて多額の財産を無税で贈与できます。

3-2.相続時精算課税制度

親や祖父母が子どもや孫へ贈与するとき、最大2,500万円までの贈与分に対する贈与税を非課税にできる制度です。ただし贈与財産については相続時に遺産に組み入れられてまとめて相続税がかかります。

3-3.教育資金の一括贈与

親や祖父母が、30歳未満の子どもや孫へ教育資金を贈与するとき、1,500万円までの贈与分が非課税となる制度です。

3-4.結婚子育て資金の一括贈与

親や祖父母が、20歳以上50歳未満の子どもや孫の結婚子育て資金を贈与するとき、1,000万円までの贈与分が非課税となる制度です。

3-5.配偶者間の居住用不動産や居住用不動産の購入、建築資金贈与

婚姻期間が20年以上の配偶者間で居住用不動産、又は、居住用不動産の購入や建築資金を贈与するときに2,000万円までの贈与分が非課税となる制度です。

3-6.親や祖父母から子どもや孫への居住用不動産購入資金贈与

親や祖父母が子どもや孫へ居住用不動産の購入、建築資金を贈与するとき、一定金額までが非課税となる制度です。控除される金額は、住宅の種類や贈与時期によって異なります。

親や祖父母が子どもや孫に贈与するときには、特例税率が適用されるだけではなく、利用できる可能性がある種々の非課税制度があります。

まとめ

贈与税の税率には一般税率と特例税率があります。また生前贈与には多くの非課税制度が用意されているので、将来高額な相続税がかかりそうなら、うまく活用して節税対策に活かしましょう。相続対策で迷われたときには、お気軽に弁護士までご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
創価大学法学部卒業、創価大学法科大学院法務研究科修了。離婚問題、遺産相続などの家事事件や企業法務まで幅広く対応。これまで解決に携わった案件数は500件を超える。
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