相続税の税務調査が入りやすいケースや調査で指摘を受けた場合のペナルティなどについて詳しく解説します。
一般的に、相続税では税務調査の確率が非常に高いと言われています。特に税務調査に入られやすいケースや、回避する方法などはあるのでしょうか?
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税務調査とは
税務調査とは、税務申告に過ちがないか税務署が確認をする調査手続きです。
税務署の調査官が自宅などを訪れ、資料を確認したり関係者からヒアリングをしたりして、申告に漏れがないかなどを調査します。
税務調査というと、突然自宅に税務署員が押しかけて資料をごっそり持っていくような怖い印象を持っている方も少なくないようですが、そのような調査は決して多くはありません。
詳しくは後ほど解説しますが、相続税の税務調査は、大半が事前に連絡のある任意調査です。
相続税の税務調査の実態
一般的に、相続税の調査は多く行われているといわれています。
ここでは、相続税についての税務調査について、税務署が公表しているデータから実態を確認しましょう。
相続税の調査は5~7件に1件程度
相続税の調査の割合は、例年20%前後で推移しています。
5件の税務申告があれば、そのうち1件ほどに調査が入る計算です。
新型コロナウイルスの影響もあってか、令和元年度の調査件数は少し減っており、全体の14%程度でした。
今後も、相続税では5~7件に1件程度の割合で調査に入ると考えておくと良いでしょう。
約85%で申告漏れが指摘
相続税の調査では、高い確率で申告漏れが指摘されています。
その割合は、平成30事務年度では85.7%、令和元事務年度で85.3%でした。
税務署はやみくもに調査に入るわけではなく、事前にある程度申告内容の確認や精査をしてから調査先を選定すると考えられています。
そのため、税務調査が入った時点ですでに税務署は何らかの予想をつけている可能性が高く、万が一申告漏れがある場合には簡単に隠しとおせるなどとは考えない方が良いでしょう。
申告漏れの追徴税額は641万円
国税庁が公表している資料によれば、令和元事務年度における実地調査1件当たりの追徴税額の平均は、641 万円です。
中でも、海外資産関連事案に対する調査では1件当たりの申告漏れ課税価格が5,193 万円にものぼっており、かなり高額な追徴を受けているケースも多いのが現状です。
申告漏れのうち約17%が重加算税の対象
重加算税とは、仮装や隠蔽により課税を逃れようとした場合に課されるペナルティ的な税金です。
重加算税の割合は、原則として追加で発生する相続税の35%(そもそもが無申告の場合には40%)にものぼり、高額になる場合が少なくありません。
令和元事務年度では、申告漏れが指摘された案件のうち、約17%で重加算税が賦課されています。
相続税の税務調査が特に入りやすいケース
「こういったケースであれば絶対に税務調査に入られない」などとは言い切れるものではありません。
調査の基準などが国税庁などから明確に公表されているわけではないためです。
とはいえ、税務調査をする人員や時間には限りがあります。
そのため、税務署として申告漏れの可能性が高いと考えるケースや、申告漏れが発覚した際に追徴が大きくなりそうな案件から優先的に調査に出向くと考えるのが自然でしょう。
こうした点からいえば、次のようなケースで比較的調査に入られやすいと考えられます。
申告書に不備がある場合
申告書に不備がある場合には、調査に入られやすいと考えられます。
その不備が形式的なものであれ実質的なものであれ、不備のある申告書を提出するということは、他にも何か重大な漏れがあるのではないかと思われやすいためです。
いわゆる富裕層である場合
いわゆる富裕層の申告案件には、優先的に調査に入る可能性が高いでしょう。
財産のボリュームが多ければ財産が点在しているケースも多く、確認しきれなかった財産がある可能性が高いと考えられるためです。
また、申告漏れが発覚した場合の追徴が多額となる傾向にある点も、理由の一つです。
相続税がかかるにもかかわらず申告しなかった場合
相続税は、「小規模宅地等の特例」などの特例を使う前の遺産総額が基礎控除額を下回る場合には、申告自体が不要です。
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
しかし、中にはこれを上回る遺産があるにもかかわらず申告をしないケースがあります。
それは、意図的な場合もあれば、単に相続税についての誤解や失念による場合もあります。
税務署は、被相続人の生前の収入状況や家族構成などから、相続税がかかるかどうかについておおまかな予想をつけていると言われています。
その予想では、相続税の課税対象になるにもかかわらず申告書が期限までに提出されない場合は、確認のために税務調査に来る可能性が高まります。
なお、いきなり調査の連絡が来るのではなく、まず遺産についての回答を求める「お尋ね」が届く場合もあります。
お尋ねが届いたら、正しく回答して期限内に返送するようにしましょう。
実際に相続税の課税対象にならないのであれば問題ありませんが、不安な場合にはお尋ねの返送前に専門家に相談することをおすすめします。
海外資産を多く保有している場合
海外資産は、もちろん実際に使用するために所有している場合が多いでしょう。
しかし、中には明らかな脱税や、脱税まがいの節税のために保有しているケースもあります。
そのためか、税務署は海外資産には目を光らせており、国税庁が公表している「相続税の調査等の状況」の中でも、わざわざ「海外資産関連事案に係る財産別非違件数」を公表しているほどです。
こうしたことから、海外資産を多く保有している場合には、優先的に税務調査が入る可能性が高いと考えられます。
税理士に依頼をしていない場合
相続税の申告を自分で行うことが禁止されているわけではありません。
実際に、財産の内容が簡易であるような場合には、自分での申告が不可能でない場合もあるでしょう。
しかし、相続税の申告はかなり難易度が高く、財産の評価方法一つを取っても非常に多くの論点が存在します。
また、財産を漏れなく申告することも容易ではありません。
そのため、税務のプロではない人が作成した申告書には、意図せずとも何らかの漏れや誤りが生じてしまうものです。
こうしたことから、税理士に依頼をせず自分で申告をした場合には、税務調査に入る可能性が高いと考えられます。
相続税の税務調査の時期は?突然来る?
税務調査と聞くと、テレビドラマなどのイメージからか、ある日突然調査官が大勢で自宅に押し掛けるような恐ろしい印象を持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、そのように突然調査に訪れるケースは、決して一般的ではありません。
税務調査には、次の2つのパターンが存在します。
任意調査は事前に日程調整の連絡がある
税務調査のほとんどは、この任意調査です。
この場合、事前に電話や文書で税務調査官から税理士に調査日時の連絡が入ります。
提示された日時の都合が悪ければ、別の日時に変えてもらうことも可能です。
こうしてあらかじめ決めた日時に調査官が自宅等を訪れ、資料の提示を求めたり聞き取りをしたりして調査が行われます。
なお、名称が「任意」だからといって、調査を断れるわけではありません。
また、税務調査官の質問に答えなかったり虚偽の回答をしたりすることはもってのほかです。
税務調査自体や求められた資料の提出を拒否したり、税務署員の質問に答えなかったりなど非協力的だと判断された場合には、強制調査が行われる可能性があります。
強制調査は抜き打ちで調査に来る
強制調査とは、裁判所の許可を得て行われる強制的な税務調査です。
この場合には、強制的に証拠物件や書類が押収されます。
おそらく、テレビドラマなどで見る税務調査のイメージに近いのはこちらの方でしょう。
強制調査は、特に悪質と認められる場合や、脱税額が多額にのぼると考えられる場合にのみ行なわれる調査方法です。
個人への相続税調査でいきなり強制調査が行われるケースはほとんどありませんので、よほど悪質な脱税をしているのでなければ、心配する必要はないでしょう。
相続税の税務調査を回避する方法
税務調査への対応は心理的な負担も大きく、また準備や対応などに時間もかかります。
そのため、できれば避けたいと考えるのが通常でしょう。
しかし、残念ながら税務調査を100%回避する方法はありません。
ここでは、税務調査に入られる確率を少しでも下げる方法をお伝えします。
正しく申告をする
税務調査に入られる可能性を下げるための最も有効な方法としては、相続税を正しく申告することです。
もちろん、わざと財産を隠すなどの脱税行為は、もってのほかです。
それに加えて、うっかりミスを避けるために、次の点に注意をしましょう。
財産を正しく把握する
意図的に申告から除外するのでなくとも、財産の存在に気が付かなければ申告から漏れてしまうリスクがあります。
たとえば、次のようなものは申告から漏れてしまいがちであるため注意しましょう。
- 骨董品や宝飾品などの趣味の品
- ネットバンクやネット証券などインターネット上のみで取引をする口座の資産
- 仮想通貨やNFTなどインターネット上で管理する資産
- 共有不動産で、被相続人には固定資産税の納付書が届かないもの
- 手元にある現金
生前贈与も把握する
相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人から亡くなる前3年以内に受けた贈与は相続税の対象となります。
年110万円以下の贈与であれば、原則として贈与税は非課税ですが、相続税へ足し戻す贈与には金額の下限はありません。
つまり、たとえ10万円の贈与であっても足し戻しの対象となるのです。
こうした生前贈与も相続税の申告から漏れないように注意しましょう。
また、名義こそ子や孫ではあるものの実質的には被相続人が管理をしていた預金は「名義預金」と呼ばれ、相続財産です。
こちらも税理士とよく相談のうえ、正しく申告をしてください。
申告を税理士に依頼する
税務調査の可能性を下げるもう一つの方法は、相続税に詳しい税理士にきちんと申告を依頼することです。
先ほども解説したとおり、自分で申告をすればどうしても漏れや誤りが生じる可能性が高くなります。
その分、税務調査に入られる可能性も高まってしまうでしょう。
そもそも相続税の申告を自分で行うことは非常に手間が掛かるうえ、計算を誤ったり適用できるはずの補正や特例を見落としたりして相続税を納めすぎてしまうリスクもありますので、おすすめではありません。
税務調査で漏れが見つかった場合のペナルティ
税務調査で誤りや漏れが指摘された場合には、次のようなペナルティが課される可能性があります。
延滞税
延滞税とは、本来の申告期限から追加で支払った時点までの利息に相当する税金です。
延滞税の割合はその年によって変動し、令和3年では納期限の翌日から2ヶ月を経過した以後にかかる延滞税は、年8.8%とされています。
加算税
加算税とは、本来支払うべきであった相続税に加算される、ペナルティとしての税金です。
加算税には次の3つの種類があります。
無申告加算税
無申告加算税とは、本来申告すべきであったにも関わらず期限までに申告をしなかった場合にかかる加算税です。
無申告加算税の税率は支払うべき相続税の5%から20%で、これは期限後どのタイミングで申告をしたのかなどの事情によって異なります
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告はしたものの税額が不足していた場合にかかる加算税です。
過少申告加算税の税率は追加で支払うべき相続税の5%から15%で、これは正しい内容で改めて申告をし直したタイミングなどによって異なります
重加算税
重加算税とは、単なるミスなどではなく、仮装や隠蔽など意図的な課税逃れがあったと認められる場合にかかる加算税です。
重加算税の割合は、原則として無申告の場合には40%、過少申告の場合には35%であり、非常に重く設定されています。
刑事罰
相続税の申告漏れが悪質な場合には、刑事罰の対象となる場合があります。
偽りその他不正の行為により相続税を免れた場合には、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はその両方、期限内に申告をしなかった場合には5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又はその両方に処される可能性があります。
このように、仮に調査で漏れが発覚した場合には元々支払うはずだった税金を払うだけでは済まない可能性が高いため、注意しましょう。
まとめ
税務調査を100%回避する方法はありません。
しかし、税理士へ依頼をして期限内に正しく申告をすることで、調査リスクをある程度下げることは可能です。
相続でお困りの際には、ぜひ弁護士や税理士などの専門家を活用しましょう。
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