コラム
公開 2022.07.26

家族信託を弁護士に依頼するメリットとは?

相続_アイキャッチ_180

近年、相続対策の1つとして「家族信託」を活用することが増えています。
この「家族信託」の組成には、法的知識や紛争に関する知識も必要となってきます。
そのため、「家族信託」を検討する場合に、『弁護士』に依頼することは非常に有用です。
ここでは、家族信託を弁護士に依頼するメリットについて、詳しく解説いたします。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

そもそも、「家族信託」とは?

「家族信託」とは、不動産や金銭、有価証券などの財産の管理・活用・処分を家族に託す制度です。
『信託』というと、信託銀行や投資信託などを思い浮かべる方も多いと思いますが、『家族信託』は、その名のとおり、信頼のできる『家族』に財産の管理等を『託す』制度になります。

家族信託には、委託者、受託者、受益者の三者が登場人物として出てきます。

家族信託 図

  • 委託者:財産の管理等を託す人
  • 受託者:財産の管理等を託される人
  • 受益者:財産から生じた利益を受ける人

信託契約の締結等による信託の効力発生後に委託者が認知症等で判断能力が低下した場合においても、受託者に判断能力があれば、受託者が主体となって財産の管理・処分が可能となりますので、認知症対策として家族信託が活用されることが多く見受けられます。

また、家族信託では、信託契約が終了する場合に、最終的に信託した財産を承継する「残余財産受益者等」を定めることも可能です。
そのため、遺言と同様、財産の承継対策として家族信託が活用されることもあります。

このように、家族信託では、家族間で財産の管理や承継ができてしまいますので、家族信託においては、家族間で締結する「信託契約書」が非常に重要となります。
ここでは、家族信託の手続きや弁護士に依頼するメリットを解説いたします。

関連記事

「家族信託」の手続きについて

「家族信託」を活用する場合の手続きの流れは、以下のとおりです。

  • ①信託契約の内容を検討する
  • ②信託契約書を作成する
  • ③信託口口座の開設・財産の名義変更の手続き

①信託契約の内容を検討する

家族信託契約は、財産の管理を家族に委託する契約になりますので、『どの財産』を『誰に』委託するかが非常に重要となります。
家族の中で、どなたに財産の管理を任せるか、よく検討した上で内容を確定させるようにしましょう。

また、財産の管理は任せたいけど少し不安だという場合は、受託者の行為を監督する信託監督人を設けることも可能です。
信託監督人は、受託者以外の相続人や、税理士・弁護士などの専門家が就任することも可能です。

また、家族信託契約終了時の財産の帰属先も検討する必要があります。
財産の帰属先を検討する場合は、法定相続分や遺留分にも十分に注意を払った上で、相続人間のトラブルを生じさせないようにすることもポイントです。

②信託契約書を作成する

信託契約の内容が決まれば、信託契約書の作成をします。
信託契約書は、後々契約の有効性や内容が争われないようにするためにも、公正証書にて作成することをお勧めします。
そのため、事前に公証役場に予約をしておき、公証役場で委託者・受託者立会いのもと、公正証書にて家族信託契約を締結するとよいでしょう(出張費用などがかかりますが、公証人に出張してもらい、作成してもらうことも可能です。)。

③信託口口座の開設・財産の名義変更の手続き

信託された金銭は、受託者は自分の財産とは分別して管理する必要があり、自分の財産と信託された金銭を「その計算を明らかにする方法によって」分別しなければなりません。
そのため、信託口口座の開設は、信託法上必ずしも必要とされているわけではないものの、信託契約書の作成ができたら、受託者は、受託者の債権者や相続人とのトラブルに巻き込まれないように当該信託専用の信託口口座の開設をし、自分の財産と信託された金銭を明確に分別して管理すべきですし、このような運用が一般的です。
信託口口座の開設については、各金融機関によって取扱いが異なりますので、信託契約書作成前に必ず金融機関に口座開設については確認しておくようにしましょう。
また、信託された財産については、受託者名義への変更が必要となります。
不動産であれば、登記手続き、非上場株式であれば名義変更手続きなどが必要となります。

「家族信託」の組成を弁護士に依頼するメリットとは?

家族信託は、財産の管理を『家族』に託す制度となりますので、管理や承継のルールを定めること、つまり信託契約書の内容が非常に重要となります。
また、特に、財産の承継者を定める場合には、相続トラブルに発展しないように細心の注意を払いながら、契約書の内容を決める必要があります。

そのため、信託契約書の内容については、内容の認識に齟齬が出ないよう、また、家族間でトラブルにならないよう、慎重に条文を定め、委託者・受託者がきちんと理解する必要があります。

弁護士は、契約書を巡るトラブルや相続人間のトラブルの案件を取り扱うことが多く、どのように定めればトラブルに遭わないかという点についての知識が豊富な場合が多いです。
特に、契約書の作成には法的知識も必要となりますので、法律の専門家である弁護士に作成を依頼するとよいでしょう。

まとめ

認知症対策や財産承継対策として活用できる家族信託。
契約書の作成や相続トラブルの経験が豊富な弁護士に作成を依頼して、家族が円満となるよう、家族信託を利用するようにしましょう。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

家族信託は、後に親族間等で紛争が生じないためにも、信託契約の内容を慎重に検討する必要があります。どのような内容で財産を管理・活用・処分させるかについて、利害関係を有する親族らが納得のいく形で定めることが最も重要です。しかし、実際には、信託契約において重要な条文がたった1つ抜けていることが理由で紛争になるケースも多いです。そこで、家族信託を考えている場合には、あらかじめ家族信託について知識の豊富なAuthenseの弁護士にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。創価大学法学部卒業。創価大学法科大学院修了。不動産会社やIT企業などの顧問弁護士として企業法務に携わるとともに、離婚や相続をはじめとする一般民事、刑事弁護など、様々な案件に取り組んでいる。また、かつてプロ選手を志した長年のサッカー経験からスポーツ法務にも強い意欲を有し、スポーツ法政策研究会に所属し研鑽を重ねる等、スポーツ法務における見識を広げている。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

こんな記事も読まれています

コンテンツ

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。