遺留分侵害額請求してきた妹に支払う金額を減額したい。
相談までの経緯・背景
60代女性のY子さんのお母さんが亡くなりました。
お父さんはすでに亡くなっており、Y子さんはお母さんと同居して晩年の生活を面倒見ていました。
遺された財産は、Y子さんとお母さんが暮らしていた自宅不動産。お母さんはこの家に思い入れが強く、亡くなる直前まで「私が死んでも、この家を売らないで欲しい」とY子さんに話していました。やがてお母さんが亡くなり、相続が発生しました。
お母さんはY子さんに「遺産は全てY子さんに相続させる」という内容の遺言を遺していました。
お兄さんは「お前が面倒見ていたのだから、遺留分を請求することはしない」と放棄したのですが、妹のZ子さんは「私には1/6の財産を請求する権利がある」として、遺留分を支払うことを求めてきました。お母さんにもY子さんにも、預貯金はほぼなく、Z子さんに遺留分を支払うことになれば、自宅を売って現金化しなければなりません。
困ったY子さんは、当所にご相談にお見えになりました。
解決までの流れ
Y子さんが相続した不動産は一等地にあり、時価ではおよそ6000万円となる土地・建物でした。
6000万円の1/6となると約1000万円。そのような大金はY子さんにはありません。
お母さんの遺言である「家を売らないで欲しい」という思いを守りたいY子さんのご意向を叶えるため、相手方と丁寧な交渉を重ねることにしました。まず、不動産価格をいかに安く抑えるか、考えました。
時価では6000万円の不動産ですが、固定資産税評価額だと3800万円でした。
この金額で計算すると、遺留分はおよそ500万円。この金額で納得してもらうことを目指しました。注意が必要だったのが、相手方から裁判を起こされるリスクです。
裁判所では不動産価格を時価で計算しますので、そうなってしまったら、Y子さんの意向を叶えることはできません。
裁判を起こされないよう、地道な交渉を繰り返しました。Y子さんには手持ちの現金がないこと、時価で計算すると不動産を売らなければならないこと、これまでお母さんの世話を続けてきたのはY子さんであることなど、ときにZ子さんの情に訴え、最終的に500万円で解決しました。
結果・解決ポイント
肉親とはいえ、相続問題がこじれた際には、当事者同士で解決するのは大変困難です。
感情的なやり取りのストレス、法的な知識が乏しいことによる議論の空転、無駄な時間の浪費など、問題が解決するどころか泥沼化してしまうことも珍しくありません。弁護士が代理人として交渉に入ることで、精神的なストレスが軽減されることはもちろん、時間を節約できる可能性も飛躍的に高まります。
一見、解決が難しいように思える問題が起こっても、法律の専門家である弁護士なら解決できることもあります。
どうすればよいのか、途方に暮れてしまうような場合でも、一度、弁護士に相談してみてください。
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