兄弟から突然遺産分割調停の申立てをされた。
- ご相談者Aさん
- 年齢:90代
- 性別:男性
- 続柄:父
- ご相談者Cさん
- 年齢:60代
- 性別:男性
- 続柄:次男
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ご相談までの経緯・背景
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母(80代)が亡くなったので、父(90代)Aさんと息子であるBさん、Cさん(共に60代)が相続人として母の財産を相続することになりました。
Bさんは、かつてAさんに内緒で、金庫内の現金を自分の預金口座に振り込んで以降、AさんCさんと、Bさんの仲は険悪なものとなってしまい、Bさんは自宅にも帰ってこなくなりました。
母の死後、遺産分割の話し合いをするため、AさんはBさんに対して、「話し合いたいので来て欲しい」と連絡しましたが、Bさんは来ず、遺産分割の話し合いをすることができませんでした。その後、Bさんからいきなり、遺産分割の調停の申し立てを受けたAさんとCさんは、どうしたらよいのか対応に困り、相談にいらっしゃいました。
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Bさんは、預貯金の口座は母名義であり母の遺産であることは明らかなので、法定相続分に従って公平に配分すべきであると主張しました。これに対して、Aさんらは、遺産目録記載の預貯金などの財産は全てAさんの財産であり、母の遺産ではないと主張しました。
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解決までの流れ
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Aさんらは、母が病気で倒れて寝たきりになって以降、必要に応じて母名義の口座から預金を引き下ろしていました。そこで、弁護士は、母が入院してから亡くなるまでの間、看護していたAさんらの貢献がいくらほどであったのか、引き出した預金は何に使ったのかを明らかにするために、Aさんらに対して領収書など出費に関する資料を集めてもらうことにしました。
その上で、弁護士は、母名義の預貯金はすべてAさんが支出したものであって、実質的にはAさんの財産であることは間違いないことを主張しました。また、仮に母名義であることを加味しても、夫婦の共同財産であることから、その半分しか母の遺産にはならないと主張しました。
これに対して、Bさんの弁護士は、これまでにAさんらが母のために支出した治療費や葬儀代などについては争いがないことを述べた上で、預貯金の半分しか母の遺産にならないことについては疑問があると反論しました。
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結果・解決ポイント
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Bさんとの交渉の結果、Aさんは従前どおり、預貯金の全額を自分の財産とすることができました。その一方で、Aさんは、解決金としてBさんとCさんに対して、それぞれ990万円を支払うことで、本件は解決しました。
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