解決事例

母の遺言通り相続しようとしたが、調停を申し立てられた。

  • ご相談者Aさん
  • 年齢:60代
  • 性別:女性
  • 続柄:次女
遺産分割協議プラン
ご相談までの経緯・背景
母(90代)が死亡したため、ご相談者Aさん(60代)は遺産を相続することになりました。Aさんには姉と妹がいて、3人姉妹でした。Aさんは生前母と同居しており、母は身障者であるAさんの生活の安定を気遣い、自らの預金債権をすべてAさんに相続させる旨の公正証書遺言を作成していました。
母が死亡した後、長女と三女は弁護士を通じて遺産分割の協議を願い出たため、Aさんは姉妹の間で遺産分割について協議しなければならず、どのようにすべきか当事務所に相談してきました。

Aさんとしては、母の遺言どおり、母の銀行預金債権を相続するつもりでしたが、相手方としては、法定相続分に従って遺産分割したいと考えていました。そこで、相手方は家庭裁判所に遺産分割についての調停の申立てを行いました。
一方で、仮に遺言書通り、銀行預金債権の全てをAさんが相続したとしても、相手方の遺留分については侵害が認められるとし、遺留分減殺請求を行うと反論してきました。

遺産分割交渉背景

解決までの流れ
Aさんとしては、母の遺言どおり、母の銀行預金債権を相続するつもりでしたが、母が残した銀行預金が散逸しており、相続財産を把握することが困難となっていました。
そこで、弁護士は、銀行に依頼の上、預金残高を確認し遺産調査を行うことにしました。さらに、遺留分については裁判所外での交渉を通じて和解することにしました。
長女については、生前母から多額の金銭の贈与を受けていることがわかり、借用書も見つかったことから、長女の遺留分は侵害していないと主張することにしました。結果、母が作成した公正証書遺言は有効であることを前提にして、三女のみに遺留分侵害についての価格弁償を行うことで、和解が成立しました。

結果・解決ポイント
訴訟等の面倒な手続きを回避し、早期に遺産分割は終了しAさんは銀行預金債権を相続することができました。

遺産分割交渉結果

補足

遺留分減殺請求(旧制度)は、法改正により、2019年7月1日以降、「遺留分侵害額請求」に変更となりました。

旧制度では、例えば、遺産に不動産がある場合には、遺留分の割合に応じて不動産の権利そのもの(共有持分)を請求することになっていました。
しかし、それでは、一つの不動産を複数の人で共同して持ち続けることになり、法律関係が複雑になってしまいます。
そのため、新しい制度である「遺留分侵害額請求」では、不動産の権利そのものではなく、その権利の財産的な価値に応じた金銭を請求することができるようになっています。

なお、2019年7月1日以降に遺留分を請求する場合であっても、2019年7月1日以前に亡くなられた方については、旧制度の遺留分減殺請求が適用されます。

担当弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学 卒業(3年次卒業)、慶應義塾大学大学院法務研究科 修了。個人法務から法人法務まで幅広い案件を手がける。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら

コンテンツ

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。