遺言書の遺産分割割合に納得がいかない。
- ご相談者Aさん
- 年齢:50代
- 性別:男性
- 続柄:長男
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ご相談までの経緯・背景
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父Xさん(以下、被相続人Xさん)が亡くなり、長男Aさん、長女Bさん、次男Cさんが相続人になりました。被相続人Xさんは生前、Aさんら兄弟3人のために遺言書を作成していましたが、その内容は長女Bさんが、AさんやCさんよりも多くの遺産を相続するというものでした。
Aさんはこの遺言書の分割割合に納得がいかなかったため、ご相談にいらっしゃいました。
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遺言書には、被相続人Xさんの相続の開始時にAさんらの母が亡くなっていた場合には、母が相続する財産は長女Bさんが相続するとされていました。
被相続人Xさんの相続開始時、すでに母は亡くなっていたため、その相続分は遺言書どおり、すべて長女Bさんが相続することになりました。
しかし、Aさんはこの点について納得できず、自身にも相続する権利があると考えていました。
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解決までの流れ
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法定相続人には法律で最低限の相続分が定められています。この最低限の相続分すら相続できないときには、足りない分について他の相続人に対して請求する権利があります。この権利を「遺留分減殺請求権※」といいます。
弁護士は、Aさんの相談を受け、この遺留分減殺請求※を行いました。しかし、長女Bさんは、Aさんが被相続人Xさんの生前に贈与を受けていたことや、Aさんの大学の学費等が高かったことを理由に、自分の相続分は不当に高いものではないと主張しました。
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結果・解決ポイント
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遺留分減殺請求※を提訴した結果、長女BさんからAさんに対して550万円の解決金を支払うことで合意となりました。
このように、自分の相続分が他の相続人に比べて明らかに少ないような場合には、多く相続した相続人に対し、金銭等の請求ができる場合があります。しかしその判断や請求には専門的な知識も必要ですので、お困りの際には、ぜひ弁護士にご相談ください。
遺留分減殺請求(旧制度)は、法改正により、2019年7月1日以降、「遺留分侵害額請求」に変更となりました。
旧制度では、例えば、遺産に不動産がある場合には、遺留分の割合に応じて不動産の権利そのもの(共有持分)を請求することになっていました。
しかし、それでは、一つの不動産を複数の人で共同して持ち続けることになり、法律関係が複雑になってしまいます。
そのため、新しい制度である「遺留分侵害額請求」では、不動産の権利そのものではなく、その権利の財産的な価値に応じた金銭を請求することができるようになっています。
なお、2019年7月1日以降に遺留分を請求する場合であっても、2019年7月1日以前に亡くなられた方については、旧制度の遺留分減殺請求が適用されます。
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