父が負っていた損害賠償債務を負担せずに遺産を相続したい。
- ご相談者Aさん
- 年齢:60代
- 性別:女性
- 続柄:母
- ご相談者Bさん
- 年齢:40代
- 性別:女性
- 続柄:長女
- ご相談者Cさん
- 年齢:30代
- 性別:男性
- 続柄:長男
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ご相談までの経緯・背景
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父(60代)が死亡し、母のAさん(60代)と子どものBさん(40代)とCさん(30代)が相続人となりました。父は長年、技術者として働いていましたが、ある日勤めていた会社から仕事での不祥事を理由に、多額の損害賠償請求を受けることになりました。父は、自分には何ら落ち度がないと考えていたのですが、反論する機会が与えられることなくそのまま亡くなってしまいました。
父の相続人となったAさんらは、父が負っている損害賠償債務を負担することなく遺産を相続したいと考えており、そのためにはどうすればいいのか当事務所に相談にいらっしゃいました。
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Aさんらは、当初は相続放棄を考えていました。しかし、相続放棄を行うと、被相続人の負債分だけでなくプラスの財産も相続することはできなくなってしまいますので、Aさんらは父の残した財産を相続することができません。そこで、会社に対して何らかの反論をしたいとAさんらは考えていました。
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解決までの流れ
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事件を受任した弁護士は、まずAさんらに相続放棄の期間の延長を家庭裁判所に申し出るよう伝えました。相続放棄は相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出しなければならないのですが、この申請によってAさんらは、6ヵ月間の延長が認められました。
その上で、弁護士は、さっそく会社の損害賠償請求に対して反論することにしました。まず、会社に対して、父が損害賠償責任を負うべき根拠をはっきりさせるとともに、それを裏付ける証拠を提出するよう求めました。また、父は長年会社に貢献していたにもかかわらず、会社から一切退職金の支払いがありませんでした。そこで、弁護士は、会社に対して退職金の支払いを求めることにしました。これに対して、相手方の弁護士は、父には職務違反が認められるために退職金を支払うことができない上、自主退職のため退職金は減額されるべきであると反論してきました。
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結果・解決ポイント
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弁護士の交渉の結果、Aさんらは共済組合から退職金を受け取ることができるようになりました。そこで、Aさんらは会社に対し退職金の支払を、会社はAさんらに対し損害賠償の支払を求めない旨の合意が成立しました。その結果、Aさんらは、父が負っている損害賠償債務を負担する必要がなくなりました。
Aさんらは相続放棄をすることなく、父の残した財産を相続することができ、事件は無事に解決しました。
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