親戚が遺産分割協議で決めた内容を守ってくれない。
- ご相談者Aさん
- 年齢:20代
- 性別:男性
- 続柄:長男
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ご相談までの経緯・背景
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父方の祖父(80代)と祖母(80代)が立て続けに亡くなり、父は祖父母よりも先に亡くなっていたため、祖父母の孫である相談者Aさん(20代)と弟(10代)は代襲相続によって相続人になりました。そのほかの相続人には、Aさんの伯母にあたるBさん(50代)がおり、相続財産としては、今は空き家となっている不動産と預貯金などがありました。
祖父母の死後、Aさんらは、Bさんから突然、「200万円あげるので、相続放棄して欲しい。」と頼まれました。いきなりの話で対応に困ったAさんらは、Bさんからの提案に憤りを感じ、できれば平等に祖父母の遺産を分割してほしいと考えました。
そこで、Aさんらは、遺産分割を希望通り進めるためにはどうしたらよいのか当事務所に相談してきました。
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Aさんらは、祖父母の所有である不動産については売却して法定相続分にしたがって均等に分配することを望んでいました。一方で、Bさんは祖父母の不動産を取得することにこだわりがあり、さらにBさんは自分が管理している祖父母名義の預貯金の通帳や生命保険金の資料などを開示してくれません。
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解決までの流れ
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まず、弁護士は、Bさんに対して、Bさんが所持している祖父母名義の預貯金及び生命保険金についての資料を開示するよう内容証明郵便を送りました。
その上で、複数の不動産会社に依頼して、祖父母所有の不動産の査定をお願いし、正確な評価額を調査することにしました。
Bさんが依頼した弁護士も話し合いによる円滑な遺産分割を望んでいました。一方で、Bさん本人は、頑なに不動産の取得を望んでおり、遺産分割協議は難航することになってしまいました。祖父母の財産には5500万円程の不動産のほかにみるべき資産がなく、仮にBさんが不動産を取得するにしても、Aさんらに対して2500万円程の代償金を支払う必要がありました。
しかし、Bさんは1000万円ほどしか用意できないと主張し、さらに早く遺産分割協議を成立させなくては自宅が差し押さえられてしまうと弁護士に泣きついてきました。
弁護士は、このまま遺産分割が難航したとしてもAさんらにとって何らメリットにならないと考え、Bさんが不動産を取得する代わりに、代償金として1750万円をAさんらに支払うという、大幅に譲歩した遺産分割協議をまとめることにしました。
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結果・解決ポイント
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しかし、遺産分割協議が成立した後、Bさんは、言葉巧みにAさんらを騙し不動産の所有権移転登記を済ませました。その上でBさんは、Aさんら、Bさん担当の弁護士とも連絡を絶ち、Aさんらに対して代償金を一切支払おうとしませんでした。
これでは、代償金を確保する手立てを失ってしまうと考えた弁護士は、直ちにBさんが取得した不動産に対して仮差押えの申し立てをすることにしました。これにより、Bさんは自由に不動産を売却することができなくなり、代償金支払いに向けた交渉を優位に進めることが可能となりました。
結局、弁護士は、不動産の仮差押えを取り下げる代わりに、Bさんが毎月分割して代償金を支払う及びそれを担保するために、Bさんが所有する別の不動産に一番抵当権を設定することをBさんと合意しました。
これによって、Aさんらは確実に代償金を確保することができ、無事に遺産分割は終了しました。
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