今の家に住み続けるため、不動産は売却せずに遺産分割したい。
- ご相談者
- 性別:女性
- 続柄:母
- ご相談者
- 性別:男性
- 続柄:長男
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ご相談までの経緯・背景
- 父が死亡したため、母と子3人(合計4人)が相続人となり、遺産を分割することになりました。遺産は両親と長男夫婦が住んでいた家・土地(評価額合計4,000万円)、預貯金が800万円でした。
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母と長男は、今までどおり住み続けたいと思っているので、家と土地の相続を希望しましたが、二男と長女は、土地に関しては売却してその売却代金をきっちりと法定相続分どおりに分けてほしい、と主張しています。
母と長男は、家と土地を売却してしまうと住むところが無くなってしまいますし、何よりも父との思い出が詰まった家を売却することなんて考えられませんでした。
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解決までの流れ
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法定相続分は、民法によって決められていますが、それは相続分の指定がない場合の各相続人の相続の分け前を定めたものです。相続人の合意があれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割することもできます。
当事務所の弁護士は、母と長男の代理人となり、二男、長女と交渉することにしました。最初は不景気ということもあってか、次男と長女は「貰えるものは貰いたい」という気持ちが強く、主張を変えることはありませんでした。
しかし、弁護士は、長男の「家には家族みんなの思い出があるので売却はしたくない」「母も高齢なので慣れ親しんだ今の家でゆっくりと暮らさせてあげたい」「しかし、兄弟仲が悪くなることは望んではなく、またみんなで家に集まれるような関係でいたい」という気持ちを聞きました。さらに、母からは、家を残してくれるのであれば、自分の預金から200万円を出して二男、長女に渡すという話も受けました。
弁護士はこの二人の気持ちを聞き、粘り強く交渉を継続しました。そして、弁護士は、次男と長女に対して、不動産を売却することの難しさ、かかる時間など、不動産を売却することのリスクを正確に伝え、結果、家・土地は今後も母と同居して面倒をみることを条件に長男が相続し、父が残した預貯金を二男、長女で分割することで合意しました。なお、母の現金は今後のために取っておいてほしいとのことで受け取らないことになりました。
一時は険悪な仲になりかけていた家族ですが、間に第三者の弁護士が入ることで、素直に思っていることが伝えられて、冷静に考え、判断することができたようです。結果的には、円満に遺産分割がなされました。
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結果・解決ポイント
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母、長男の希望通り、家・土地は売却せずに、長男が相続し、今までどおり母も同居することになりました。また、預貯金についは二男と長女で分けることで折り合いがつきました。
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