遺留分を求めて弟から突然訴えられた。
相談までの経緯・背景
60代男性のC夫さんのお父さんが亡くなりました。
お母さんとC夫さん、弟のDさんの3人が相続人となりましたが、お父さんは遺言で「遺産はすべてC夫さんに譲る」との遺言書を遺していました。
遺言通り、遺産を処理しようと進めていましたが、ある日突然、弟であるDさんがC夫さんを訴えたとの書類が届き、びっくりしてしまいます。
Dさんは「遺産の1/8は遺留分でもらえるはず。加えて、今は生きている母親が亡くなったときに発生する遺留分も支払って欲しい」と主張してきました。
困ったC夫さんは、当所にご相談にお見えになりました。
解決までの流れ
遺留分を請求されたため、できるだけC夫さんが支払う遺留分の侵害額を減額することに注力しました。
相続した不動産を鑑定に出し、相手方が出してきた不動産評価額より1000万円安く抑えました。80代の母親は、体は元気ですが認知症を患っていました。
相手方である弟のDさんは、母親が亡くなったときに相続できる母親の遺留分侵害額請求権についても合わせて支払ってほしいと主張していました。
母親の遺留分は1/4なので、さらにそれをDさんがその1/2を相続すると考えると、Dさん自身の遺留分とあわせて2/8となり、Dさんの請求額は2倍となります。
この遺留分については、「相続が発生したと認識した時点から1年」という時効があります。
しかし、お母さんは認知症のため認識することができず、時効となりません。
ただ、認識してもしなくても、相続発生から10年経ったら否応なしに時効となります。
もしも、お母さんが10年生存したらDさんは遺留分を請求できません。そこで、「お母さんの遺留分についても、ある程度は支払う」「その代わり、2倍の全額というのは勘弁して欲しい」と交渉しました。
その結果、2倍という先方の主張を約1.4倍まで減額。
さらに、お母さんが亡くなった際にも、Dさんは遺留分の請求はしないとの条項を入れて解決しました。
結果・解決ポイント
C夫さんとDさんは以前からあまり兄弟仲は良くなく、没交渉でした。
そのため、Dさんは相続が発生したと見るや、事前の相談や交渉なしに、突然裁判を提起してきました。
突然のことに、当初は混乱していたC夫さんでしたが、お話を丁寧に伺い、今後の展望や対応策などを打ち合わせていく中で精神的にも落ち着いていき、無事、希望に近い解決へと着地することができました。ご相談にお見えになってから和解が成立するまでの期間は4ヵ月。
相手方とは4回目の交渉で解決しました。肉親間で感情がこじれると、金額の多寡にかかわらず、当事者同士で解決するのは非常に困難です。
感情的なやり取りを行うことで、精神的にも疲弊していきます。
相続問題が発生した際には、早めに弁護士に相談し、代理人同士で話を進めていくことで、精神的なストレスは軽減されます。
お悩みの方は、まずは一度、相続問題に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら