コラム
公開 2021.10.12 更新 2022.03.26

相続税の計算方法とは?支払い手続きの期限や流れ、基礎控除額について解説

相続税の計算方法とは?支払い手続きの期限や流れ、基礎控除額について解説

相続が発生した場合に、相続税はどのように計算されるのでしょうか?

相続税の計算方法や基礎控除額、支払い手続きの期限や流れについて、相続に詳しい弁護士が解説いたします。

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はじめに~相続税とは?

相続税とは、亡くなった人(以下、「被相続人」といいます。)から各相続人等が相続や遺贈などにより取得した財産の合計額が一定の金額(以下、「基礎控除額」といいます。)を超えた場合にかかる税金のことです。
被相続人の財産を承継した人が、相続税の支払い義務を負います。

相続税は、原則として、申告期限までに、現金一括で支払わなければなりません。
また、申告期限までに納税ができない場合は、延滞税や差押えなどを受ける場合もあります。

そのため、相続が発生したときに、①相続税の支払い義務があるか、②支払い義務がある場合に納税ができるか、をなるべく早く確認しなければなりません。

ここでは、相続税の基礎控除、支払い手続きの期限・流れなどについて解説いたします。

相続税の計算方法~基礎控除

相続税の計算方法~基礎控除

相続税は、被相続人の遺産が基礎控除額を超える場合でなければ、課税されません。
つまり、被相続人の遺産が、基礎控除額の範囲内であれば、相続税の申告や納税は必要なくなります。

それでは、相続税の基礎控除額は、どのように計算するのでしょうか?
基礎控除額は、以下の計算式で算出されます。

「相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数」

例えば、被相続人の法定相続人の人数が3人の場合、
基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

となります。
そのため、被相続の遺産の合計金額が4,800万円以内であれば、相続税は課税されません。

基礎控除額を算出する際の「法定相続人」には、内縁者や、被相続人の遺言により遺産を取得した法定相続人以外の人は含まれません。

被相続人が養子縁組をしている場合は、養子も「法定相続人」に含まれます。
ただし、「法定相続人」に含まれる養子の人数には制限があり、被相続人に実子がいる場合には養子の数は1名まで、被相続人に実子がいない場合には2名までとなります。

基礎控除額は、相続税を計算するうえで、非常に重要ですし、意外と間違えやすいところもありますので、可能であれば、専門家に事前に相談するようにしましょう。

相続税の計算方法~相続税の課税対象~

相続税の課税対象は、原則として被相続人が亡くなった日に所有していた財産すべてになります。
被相続人が所有していた不動産、預貯金、有価証券などが課税対象となります。

遺産分割では、受取人固有の財産とされる「生命保険金」については、一定の非課税枠を超えると、相続税の課税対象となります。
この一定の非課税枠は、
500万円×法定相続人の数
で算出されます。
法定相続人は、基礎控除の場合と同様になります。

また、相続などにより財産を取得した人が、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていた場合は、原則として、当該贈与財産も課税対象となります。
当該贈与財産にかかる贈与税については、相続税の計算上控除されることになりますので、贈与税と相続税が二重にかかるということはありません。

被相続人の「債務」については、課税対象の財産から差し引かれますが、連帯保証債務については、あくまで弁済義務をもつのは主債務者であるため、原則として課税対象の財産からは差し引かれません。
ただし、主債務者に支払い能力が無いなどの一定の条件を満たす場合は、連帯保証債務も課税対象の財産から差し引くこともできるため、税理士などの専門家に確認するようにしましょう。

相続税の申告期限~支払い手続きの期限・流れ~

相続税の申告期限~支払い手続きの期限・流れ~

相続税の申告期限は、相続が発生したことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10カ月以内になります。
また、原則として、現金一括払いで納税します。

そのため、申告期限までに、①法定相続人は誰か、②遺言書の有無、③相続財産を調査しなければなりません。
また、申告期限までに、相続財産の分け方が決まっていなければ、一定の特例が適用されず、法定相続分による遺産分割の状態として、相続税申告をしなければなりません。
したがって、可能な限り、申告期限までに、④相続財産の分け方を決めることも必要となります。

通常、法定相続人であれば、被相続人に相続が発生したことは死亡日に知ることになりますので、相続発生日から10カ月以内に①~④を行わなければならず、時間的にはあまり余裕がありません。
戸籍を収集して法定相続人を調査したり、各金融機関に照会をして被相続人の預貯金の残高を調べたりしなければならないため、このような手続きに慣れていない場合は、司法書士、弁護士などの専門家に相続人調査・相続財産調査を依頼し、なるべく早く①~③を完了させるようにしましょう。
そして、④についても、相続人の間で話がまとまらない場合は、早めに弁護士に相談をして、相続財産の分け方についてもアドバイスをもらいながら、進めるようにしましょう。

相続税の特例

相続税を計算する際には、一定の条件を満たすと、相続財産の評価金額を軽減ができる特例を適用することが出来る場合があります。

代表的な特例として、配偶者控除と小規模宅地等の特例があげられます。

「相続税の配偶者控除」

被相続人の配偶者については、法定相続分又は相続した財産が1億6,000万円までの遺産に対して相続税は課されません。

「小規模宅地等の特例」

小規模な宅地について、①被相続人が居住していた(居住用宅地)、②被相続人の事業で利用していた(事業用)、③被相続人が貸付をしていた(貸付事業用宅地)土地で、一定の要件を満たす場合には、当該土地の評価金額を一定割合減額することができます。

他にも、相続税を減額できる特例がありますので、相続税を申告する場合は、税理士に、特例が適用できるかを確認するようにしましょう。

まとめ

相続税の申告期限は10カ月と限られており、相続人は当該期間内に相続人の確定や相続財産の調査、遺産分割協議などを行わなければなりません。
そのため、相続が発生したら、なるべく早めに税理士に相談するようにしましょう。

また、相続人の確定や相続財産の調査は、手続きに慣れていないと負担が大きいので、少し費用はかかりますが、司法書士や行政書士に依頼することも検討するようにしましょう。

遺産分割協議については、税金だけでなく、民法の知識も必要となりますので、早めに弁護士に相談をして、アドバイスをもらうようにしましょう。
相続人同士では話が進まない場合は、弁護士を代理人として、遺産分割を進めることもできますので検討してみてください。

ここでは紹介しきれなかった特例もありますので、相続税についてもっと詳しく知りたい場合には、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・相続税の申告期限は10か月と短く、その間に、法定相続人や遺産を調査した上、遺産分割協議を成立させることが望ましいため、各手続きを迅速に進めていかなければなりません。各手続きを迅速に進めていくためには専門的な知識が必要であるため、専門家にご相談、ご依頼された方が良いでしょう。また、法律の専門家であっても、相続に詳しくない方々も少なくないため、相続に詳しい法律の専門家にご相談、ご依頼いただくのがベストと言えます。

・オーセンスには、相続に詳しい弁護士が多数在籍しており、専門的な知識やノウハウが蓄積、共有されております。法定相続人や遺産の調査などを含め、遺産分割に関する手続きをワンストップで実現することができます。お気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
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