養育費を払ってほしいが、相手方が応じません。困っています。
まずは、養育費に関する取り決めが、判決、調停調書、公正証書等(「債務名義」といいます)でなされているのかを確認しましょう。
養育費に関する取り決めについて債務名義がある場合、強制執行の手続きを執り、相手方の財産を差し押えることで、相手方からの養育費の支払いを実現することができます。
そのほか、家庭裁判所から相手方に対して、養育費を支払うよう勧告してもらうことも可能です。養育費に関する取り決めについて債務名義がない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停の申立てをして、養育費の支払いを求めることになります。
両親が離婚すると、子どもの氏(名字)や戸籍は、どうなりますか?
両親が結婚の際に、夫の氏を名乗って子どもが1名いる場合を想定し、父親が親権者として、子どもを引き取る場合と、母親が親権者として、子どもを引き取る場合に分けて、説明します。
父親が親権者
両親が離婚しても、戸籍上、子どもの氏に影響はないため、子どもは、父親の氏を名乗り続けることになります。また、親権者と子どもの氏が同じときは、同じ戸籍に入ることができますので、そのまま、父親と子どもは、同じ戸籍に入り続けることになります。ですから、父親が親権者となるときは、子どもの氏や戸籍に変更はなく、とくに難しい問題は生じません。
母親が親権者
母親が親権者となるときは、少し、問題が生じます。母親は、離婚をすると、結婚前の氏に戻ります。そして、親と子どもの氏が異なるときは、法律上、同じ戸籍に入ることができません。その結果、離婚により母親と子どもの氏が異なることになるため、母親と子どもは、同じ戸籍に入ることができません。
母親と子どもが同じ戸籍に入るためには、原則として、管轄する家庭裁判所で、子どもの氏の変更許可申立てを行い、子どもの氏を変更することについて、家庭裁判所の許可を得る必要があります。そのうえで、入籍届を、役所に提出することで、晴れて、母親と子どもは、同じ戸籍に入ることができます。
妻が離婚後も、夫の氏を使用
民法では、「婚氏続称」という制度により、妻が、離婚後も、婚姻前の氏ではなく、夫の氏を名乗ることができます。ただし、この「婚氏続称」という制度は、あくまで、離婚後も、婚姻中の氏を名乗ることが許されるのみで、民法上の氏は、結婚前の氏に戻るのが建前です。
ですから、上記【母親が親権者】の項目に記述しましたとおり、母親が「婚氏続称」制度を用いて、婚姻中の氏を名乗っていたとしても、母親と子どもが同じ戸籍に入るためには、やはり、管轄する家庭裁判所で、子どもの氏の変更許可申立てを行い、子どもの氏を変更することについて、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
このように、結婚によって氏を変更した配偶者が、離婚の際に、親権者として、子どもを引き取る場合は、家庭裁判所で、子どもの氏の変更許可申立てを行わないと、子どもと同じ戸籍には入れないため、注意が必要です。