離婚に応じてくれない夫と離婚したい。
- ご相談者
- 性別:女性
- 子ども:あり
ご相談までの経緯・背景
依頼者であるA子さんは性格の不一致が原因で、夫であるBさんとの結婚生活は続けられないと考え、長男を連れて別居しました。
夫であるBさんに対しては離婚するように何度も求めたものの、Bさんは離婚する理由が納得できないと離婚に応じてくれません。
困り果てたA子さんは夫のBさんと離婚するためにどのように対応するべきかご相談に来られました。
解決までの流れ
夫であるBさんに対して受任通知を送り、離婚に応じるように求めましたが、それでもBさんは離婚に応じませんでした。
そこで、Bさんを相手方として離婚調停および婚姻費用分担調停を申し立てました。
この調停の際に、
- 別居を解消する気はない、
- 離婚に応じない場合には婚姻費用をもらい続け、しかるべきタイミングで離婚訴訟をしてでも離婚をするつもりである、
という旨をBさん側に伝えました。
Bさんは当初離婚を求める理由がわからない、まだやり直せるとの主張を繰り返していたものの、何度か調停を重ねる中で、A子さんの離婚の意志が固いこと、離婚するまでの期間においても婚姻費用を支払い続けなければならないという金銭的デメリットが生じることから態度を変え、離婚に応じたため、解決となりました。
結果・解決ポイント
離婚でご相談に来られる方の中で、法律上の離婚原因とは認められない可能性が高いケースもよく見受けられます。
法律上の離婚原因が無い場合には、訴訟をしたとしても、判決によって離婚することはできません。
もっとも、離婚原因が無かったとしても、離婚に向けて相手方にプレッシャーをかけていく方法があります。
その一つが婚姻費用の請求です。
婚姻費用は、夫婦や扶養する義務のある子ども(未成熟子)の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用であり、別居後も離婚するまで支払い続ける必要があるものです。
この婚姻費用には、上述の通り、夫婦の生活費も含まれるため、子どもがいない夫婦であれば、離婚後には支払う必要のないお金です。
また、子どもがいる夫婦であっても、離婚後に支払う養育費よりも基本的には金額が高くなります。
今回のケースでは、離婚に応じない夫のBさんに婚姻費用を請求することで、Bさんは離婚さえすれば支払う必要のないお金を、離婚するまでの期間ずっと支払い続けなければならないことになります。
そのうえ、A子さんには夫のBさんとの同居生活を再開する意志はなく、Bさんにとってみれば、法律上の婚姻生活は続くものの実体は失われる一方で、離婚さえすれば支払う必要のないお金を余計に払い続けなければならない立場に置かれたことが、Bさんに離婚を決意させ、本件が解決となった一番の要因です。
今回の事例のように、離婚原因が無いケースであっても、離婚できるケースもございますので、離婚についてお悩みの方は、まずは一度、弁護士までご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら