滞納家賃を取り立てる際の注意点や家賃滞納トラブルの解決方法、家賃滞納を予防する方法をわかりやすく解説します。
家賃滞納の督促方法を誤ると、さらなるトラブルの原因となってしまうかもしれません。
目次
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家賃滞納が起こる理由
家賃滞納は、賃貸物件オーナーにとって非常に頭の痛い問題です。
そもそも、入居者はなぜ家賃の滞納をするのでしょうか?
まずは、家賃滞納の原因となる3つの類型を確認しましょう。
手続き漏れなどのうっかりミス
家賃滞納の1つ目の理由は、振込手続漏れなどのうっかりミスです。
この場合には、振込みが確認できない旨を入居者へ伝えることで、すぐに支払ってくれる可能性が高いでしょう。
また、家賃を口座振替やクレジットカードでの自動決済などにすることで防ぐことが可能です。
ただし、支払期日を過ぎてしまっても賃貸物件オーナーから何らの連絡もないような場合には、入居者のモラルが低下してしまい、少しの遅れを繰り返すうちに家賃滞納を軽く考えるようになってしまうおそれがあります。
たとえ数日の遅れであったとしても、次回以降は期日に支払ってくれるよう念を押しておくと良いでしょう。
お金がなくて支払えない
2つ目の理由は、お金がなくて支払えないことによるものです。
コロナ禍により、仕事を失った人やアルバイトなどの収入が大きく減ってしまった人は少なくありません。
こうした入居後の状況の変化などにより、支払いたくても支払うお金がない場合もあるでしょう。
このケースでは、入居者の懐事情が改善しない限り、今後も家賃滞納が繰り返されたり滞納額がかさんだりする可能性が高いといえます。
また、裁判上の手続をしたとしても、本当にお金がないのであれば取り立てることはできません。
賃貸物件オーナーとしては、保証人に連絡を取ることに加え、家賃の低い別の物件へ転居することや、状況によっては生活保護などの公的な支援を受けることをアドバイスするほかないでしょう。
家賃の滞納を軽く考えている
3つ目のパターンは、家賃の滞納を軽く考えているケースです。
入居者が「少しくらい遅れても問題ない」「滞納をしても簡単には追い出されない」などと思っている場合もあり、対応に苦慮することが少なくありません。
この場合には、特に法的な措置が有効となります。
家賃滞納トラブルが起きた場合の督促方法
家賃滞納が起きている場合、賃貸物件オーナーはまず次の流れで対応します。
口頭や文書などで家賃が支払われていない旨の連絡をする
支払期日に家賃が支払われていないことを確認したら、できるだけ早期に口頭や文書の戸別投函などで、家賃が支払われていない旨を連絡します。
単なるうっかりミスの場合には、すぐに支払い手続きがなされるケースが多いでしょう。
連絡後すぐに支払いが確認できた場合であっても、次回以降は期限内に支払いをするよう念を押しておくと、それにより入居者が気を引き締めてくれた場合には、次回以降の期限超過が起きづらくなります。
弁護士へ相談する
口頭や文書で連絡をしても支払手続きがなされない場合には、弁護士へ相談してください。
原則として次の段階で内容証明郵便を送付することとなりますが、支払を催促した内容証明郵便を裁判上の証拠として用いることが多いです。
内容をしっかり吟味して作成することにより、賃貸物件オーナーにより有利に裁判を進められる可能性があります。
内容証明郵便を送付する
次に、内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。
内容証明郵便には、家賃の滞納額と支払期日のほか、期日までに支払われない場合には賃貸借契約を解除する旨などを明記しましょう。
内容証明郵便とすることで、滞納分の家賃を確かに入居者へ請求したとの証拠が残ります。
この証拠は、後の裁判手続きで必要となるものです。
また、入居者に心理的な圧力を加え、滞納分の家賃を支払ってくれる可能性を高める効果もあります。
督促をしても家賃滞納が解消しない場合の対処法
内容証明郵便を送付するなどしても入居者が滞納分の家賃を支払わない場合には、裁判所を介した手続へと移行します。
裁判所を介した手続には、次のものが存在します。
状況に応じて、適切な手続を選択しましょう。
裁判上の支払督促
裁判上の支払督促とは、金銭の支払いなどを求める際のみに利用ができる簡易な裁判手続きのことです。
相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てます。
支払督促は書類審査のみであるため、裁判所へ出向く必要がありません。
また、裁判所へ支払う手数料が、通常の訴訟の半額に抑えられています。
支払督促に対して相手方から異議が申し立てられなければ、強制執行をすることも可能です。
ただし、家賃を滞納している入居者が支払督促に対し異議を申し立てると、地方裁判所または簡易裁判所の民事訴訟の手続へと移行する決まりとなっています。
少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用することができる、特別な訴訟手続です。
少額訴訟では、1回の期日で審理を終えて判決をすることが原則です。
ただし、賃貸物件オーナーの言い分が認められた場合であっても、分割払や支払猶予、遅延損害金免除などの判決がされることがあります。
また、訴訟の途中で話合いにより解決(「和解」といいます)をすることも可能です。
入居者に滞納した家賃の支払義務があるとの判決が確定した場合や和解が成立した場合などには、強制執行を申し立てることができます。
なお、多くの方がイメージされる法廷ではなく、裁判官とともに丸いテーブルを囲んで着席する形式により審理が進められることが一般的です。
明け渡し請求
建物の明渡請求とは、賃貸借契約が解除されたにもかかわらず、入居者が建物から退去せず居座る場合などに建物から出て行くよう求める訴訟です。
入居者が建物を明け渡すべきだと裁判所が認めた場合には、強制執行手続をとることにより立ち退いてもらうことができます。
家賃滞納の督促をさらなるトラブルの原因にしないために
家賃を滞納しているからといって、賃貸物件オーナーが問題のある取立行為をすれば、賃貸物件オーナーにとって不利となる可能性があります。
家賃滞納が起きた場合には、次のような行為をとることのないよう注意してください。
勝手に鍵を変えたり私物を運び出したりしない
家賃を滞納しているからといって、入居者の不在時に勝手に鍵を変えて入居者が部屋へ入れないようにしたり、部屋へ侵入して入居者の私物を運び出したりしてはいけません。
このような行為は違法な追出行為に該当し、賃貸物件オーナーが刑法上の罪に問われる可能性があるためです。
また、入居者から損害賠償請求をされる可能性もあります。
いくら家賃を滞納していたとしても、このような「自力救済」は法律で認められないことに注意しましょう。
深夜の電話や訪問をしない
家賃を滞納している入居者は、なかなか電話に出てくれなかったり、インターホンを鳴らしても出てくれなかったりする場合もあるでしょう。
しかし、だからといって深夜に何度も電話をしたり訪問をしたりすることは避けてください。
なぜなら、行き過ぎた取立行為をすれば、それ自体が違法となる可能性があるためです。
なお、賃料の取立についての具体的なルールは存在しません。
しかし、貸金業法に取立ての違法性についての考え方が示されており、これが参考となります。
貸金業法では、取立てにあたって「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」が禁止されています。
これに該当しうる具体的な行為のうち代表的なものは、次のとおりです。
- 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯(午後9時から午前8時)に電話やFAXを送信したり自宅を訪問したりすること
- 勤務先など居宅以外の場所に電話やFAXを送信したり居宅以外の場所を訪問すること
- 居宅や勤務先などから退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、退去しないこと
- 張り紙や立看板などで債務者の借入れに関する事実や私生活に関する事実を公表すること
- 債務者以外の者に対して弁済を要求すること
滞納された賃料を取り立てる場合には、同様な点に注意して行うようにしましょう。
関係のない人に家賃滞納の事実を知らせるような対応をしない
深夜帯の電話などと同様に、ドアに張り紙をするなどで他者に滞納の事実を公表することや、学校や会社へ連絡するなどの行為は、貸金業法で禁じられています。
そのため、滞納賃料の請求においてもこのような行為は控えたほうがよいでしょう。
家賃滞納を長期間放置しない
家賃滞納が発生したら、長期間放置することなく早期に対応するようにしましょう。
なぜなら、滞納期間が長期に渡ればその分滞納額も高額となり、いざ取立てをしようにも入居者がまとまったお金を持っておらず、現実的に全額の取り立てができない可能性が高くなるためです。
また、あまりにも長期間対応をしなければ、滞納分の家賃が時効にかかってしまう可能性があります。
家賃債権の時効は、本来の支払い時期(賃料請求ができることを知った時)から5年です。
時効があることを知り、万が一にも時効にかかってしまわないよう、期限管理に注意しましょう。
家賃滞納トラブルを未然に防ぐ方法
家賃滞納トラブルは、賃貸物件オーナーとしてはできるだけ避けたいことでしょう。
最後に、家賃滞納トラブルを未然に防ぐ方法を6つ紹介します。
家賃を口座振替などとする
家賃をその都度の振込みとしていると、うっかりミスなどによる滞納が起きる可能性が高くなります。
また、入居者によっては軽い気持ちで支払いを遅延してしまうこともあるでしょう。
そのため、家賃の支払を口座振替やクレジットカードでの自動決済など毎月自動で支払われる形態にすれば、滞納が起きるリスクを減らすことが可能です。
家賃の引き落とし日を張り紙などで通知する
家賃を口座振替とした場合であっても、口座残高が不足していれば引落しをすることができません。
入居者の中には、複数の口座を使い分けている人もおり、他の口座にはお金があるにもかかわらず家賃引落し用の口座への資金移動を忘れてしまう場合があるでしょう。
こうした場合に備えて、引落しの数日前に共用部分の掲示板に引落し日の案内を掲示したり、案内を戸別配布したりすることで、残高不足による引落し不能を防ぐことへとつながります。
保証人をつけてもらう
万が一に備え、保証人や保証会社をつけておきましょう。
特に学生など若い世代の場合には、何らかのトラブルを起こした場合には親へ連絡がいくということ自体が、滞納以外やその他のトラブルの抑止力になる可能性があります。
家賃滞納時の対応方法を契約時に伝えておく
契約の際には、家賃を一定期間滞納した場合には法的措置をとるなど、万が一滞納をした際には厳しい対応を取ることを伝えておくと良いでしょう。
強固な姿勢を見せておくことで、安易な家賃滞納を防ぐことにつながります。
家賃滞納が発生したら早期に対応する
たとえ始めは振込手続忘れなどのうっかりミスであったとしても、賃貸物件オーナーから支払遅延について何らの連絡もないような場合には、入居者に少しくらい遅れても問題がないとの誤った認識が生まれてしまうリスクがあります。
入居者のモラルを低下させてしまわないためにも、短期間でも家賃の支払遅延が発生したら、すぐに入居者へ連絡するなど早期の対応をするようにしましょう。
家賃滞納を長期間放置すれば、滞納額がかさんでしまい取立てがより困難となるリスクも生じます。
まとめ
入居者による家賃の滞納は、賃貸物件オーナーにとって非常に頭の痛い問題です。
家賃滞納トラブルを避けるため、できる限りの予防策を講じるようにしましょう。
そして、万が一家賃の滞納が生じてしまった際には、早期に当事務所までご相談ください。
オーセンスには不動産法務に詳しい弁護士が多数在籍しており、家賃滞納トラブルを解決へと導きます。
Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること
・ 裁判を見据えた、賃貸物件オーナーに有利になる内容証明郵便を作成することができる。
・ 内容証明郵便の発送から強制執行まで、一連の流れを任せることができる。
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