賃貸経営における入居者トラブルへの対処法や入居者トラブルの予防方法などについてわかりやすく解説します。
賃貸経営には、入居者トラブルがつきものです。
家賃滞納やマナー違反などトラブルの内容はさまざまですが、いずれも早期の対応が求められます。
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賃貸経営では入居者トラブルは避けられない
賃貸経営をしていく上では、さまざまな入居者と関わりを持つ必要があります。
物件を多く保有すればするほど関わる入居者の数も増え、中にはトラブルとなってしまうケースもあることでしょう。
賃貸経営をおこなう上では、入居者トラブルをゼロとすることは困難です。
しかし、起きうるトラブルや対処法を知っておけば、いざというときに適切な対応がしやすくなります。
また、事前に予防策を講じることで、トラブルが発生する可能性を抑えることもできるでしょう。
賃貸経営で起きうる入居者トラブル
賃貸経営で起きうる入居者トラブルはさまざまですが、中でも遭遇する可能性が高いトラブルには次のようなものがあります。
入居者による家賃の滞納
賃貸経営において最も多い入居者トラブルの1つは、入居者による家賃の滞納です。
入居者が家賃を滞納する理由はさまざまですが、たとえば次のようなパターンが考えられます。
入金手続きの失念
入金手続きをすることをうっかり忘れてしまうケースです。
この場合には、口頭や手紙などで家賃が支払われていないことを告げれば、すぐに支払ってもらえることが多いでしょう。
家賃をその都度の手続きで支払ってもらうのではなく、口座振替などとすることで防ぐことが可能です。
お金がなくて支払えない
入居後の事情の変化などにより、家賃を支払うお金がなくて支払えないというケースです。
すぐに状況が改善される見込みが薄いのであれば、今後も滞納が続いたり繰り返されたりする可能性があるため、賃料の低い別の物件へ引っ越しを促したり、市町村の窓口などへの相談を促したりするなど状況に応じて対応を検討すべきでしょう。
家賃の滞納を軽く考えている
支払うお金がないわけではないにもかかわらず、家賃の滞納を軽く考えていたりすることなどから滞納してしまうケースです。
このタイプの入居者に改善を促すことは難しく、滞納を繰り返す可能性があるため、早期に厳格な対応をする必要があるでしょう。
入居者が無断でペットを飼育するなどの規約違反
入居者による契約違反は、たびたび起きるトラブルの1つです。
違反の内容には、たとえば次のようなものが考えられます。
- ペット禁止の物件で、無断でペットを飼育している
- 無断で友人などと同居をして契約で定めた入居人数をオーバーしている
- 無断で転貸(又貸し)をしている
- 居住用として契約した物件を無断で事務所や店舗として使用している
騒音などによる他の入居者からの苦情
入居者のマナー違反などによる他の入居者からの苦情も、比較的多い入居者トラブルの1つです。
物件オーナーが対応すべき他の入居者とのトラブルとしては、次のようなものが考えられます。
- 深夜に騒ぐ声や楽器などの騒音
- におい
- ベランダやエントランスなどでの喫煙
- ゴミ出しのマナー
賃貸経営で入居者トラブルを放置することのリスク
家賃の滞納以外の入居者トラブルは、物件オーナーへただちに影響が及ばないものも少なくありません。
そのため、物件オーナーとしては対応を面倒に感じることも少なくないかと思います。
しかし、トラブルを放置すると次のようなリスクが生じます。
そのため、トラブルを知った際にはできるだけ早期に対応すべきでしょう。
問題が長期化すれば解決が難しくなる
トラブルを知りながら放置して長期化すれば、解決がより難しくなる可能性が高くなります。
たとえば、家賃の滞納であれば、放置することにより滞納額が膨らんでしまい、全額を支払ってもらうことが困難となるでしょう。
また、ペットの飼育など契約違反を知りながら長期にわたって何ら対応をしなければ、物件オーナーが実質的にペットの飼育を認めていたと捉えられてしまう可能性が高いといえます。
物件全体のモラルが低下する
入居者トラブルを放置すれば、物件全体のモラルが低下するおそれがあります。
たとえば、エントランスなど共用部分での喫煙を放置すれば、他の入居者も共用部分での喫煙を始めてしまうかもしれません。
また、ゴミ出しマナーを守らない入居者を放置すれば、他の入居者も乱雑にゴミを出す可能性が高くなってしまいます。
壁への落書きを放置すればさらに落書きが増えるなどといわれるように、トラブルを放置すればさらにトラブルが増える可能性があるのです。
空室が増え収益性が低下する
入居者トラブルを放置して改善がされなければ、トラブルを起こさない入居者が退去し、新たな入居者が入りづらくなるリスクがあります。
たとえば、深夜の騒音についてのトラブルを放置して改善がなされなければ、騒音に耐えられない他の入居者が退去する可能性が高いでしょう。
共用部分での喫煙や、ゴミ出しマナーなどであっても同様です。
トラブルを放置すれば、いわゆるまともな入居者は徐々に退去していき、トラブルの原因となる入居者のみが残ります。
そうなれば、先ほどお伝えしたように、物件全体のモラルが低下し、物件の雰囲気が悪化することでしょう。
そのような物件に積極的に入居したいと考える人は多くないため、家賃を下げなければ空室が埋まらなくなる可能性があり、収益性が低下するおそれがあります。
賃貸経営で入居者トラブルが起きた場合の対応法
賃貸経営をしていくなかで入居者トラブルに遭遇したら、早期の対応が不可欠といえます。
一般的なトラブルへの対応方法は、次のとおりです。
現状を把握する
トラブルの可能性を知ったら、まずは現状を把握することからはじめましょう。
特に、騒音などは人によって感じ方が大きく異なることもあるため、注意が必要です。
一部の入居者からの苦情だけで判断して対応を早まるのではなく、たとえば問題の時刻に何度か建物へ出向くなどして状況を確認するとよいでしょう。
口頭や文書などで注意する
トラブルの原因となっている事実を確認したら、まずは口頭や文書などで改善を促します。
家賃の滞納や入居人数オーバーなど特定の入居者のみに該当することであれば、はじめからその入居者のみに通知します。
一方で、騒音やにおい、ゴミ出しマナーなど物件全体に関係する内容であれば、まずは全戸に文書を配布したりエントランスに貼り紙をしたりするなど、対象者を特定せずに注意を促すとよいでしょう。
それでも改善がなされず、なお契約違反や悪質なマナー違反を続ける場合には、個別で連絡をするなどの対応が必要となります。
内容証明郵便を送る
口頭や文書などで注意をしてもなお状況が改善されない場合には、内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便とは、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、日本郵便株式会社が証明する制度です。
内容証明郵便を送付する主なメリットには、次のものがあります。
- 心理的な圧力を加えられる:これ以上トラブルを続ければ訴訟も辞さないとの物件オーナーの意思が伝わることから、滞納分の支払いや契約違反の是正などにつながる効果が期待できます
- 訴訟の証拠となる:滞納や契約違反が是正されず相手方に物件からの退去を求める際に、事前に違反の是正を求めたことの証拠となります
- 文書の内容の記録が残る:内容証明郵便で送った内容は公的に記録がされるため、相手方から「聞いていない」などと主張されずに済みます
内容証明郵便には、違反の内容の他、違反を是正すべき期限と期限までに是正されない場合には契約を解除する旨を明記するとよいでしょう。
なお、内容証明郵便は、その後訴訟などとなった際に重要な証拠となるものです。
不用意なことを記載してしまえば、物件オーナーにとって不利な証拠を提供することにもなりかねません。
そのため、遅くとも内容証明郵便を作成する段階では弁護士に相談をされることをおすすめします。
賃貸借契約を解除する
内容証明郵便を送付してもなお、滞納分の家賃が支払われないなど違反状態が是正されない場合には、契約に従って賃貸借契約を解除します。
入居者に解除の通知を行い、退去を申入れましょう。
物件の明け渡し訴訟を提起する
賃貸借契約を解除しても入居者が退去をせず物件に居座る場合には、物件の明け渡し訴訟を提起します。
裁判所が明渡しを認めれば、物件からの退去を命じる判決が下されます。
この判決が出ても入居者がなお物件に居座り続ける場合には、強制執行により強制的に物件から退去させることが可能です。
賃貸経営で入居者トラブルを避けるために検討すべき対策
賃貸経営において、入居者トラブルはできるだけ避けたいものかと思います。
入居者トラブルを減らすため、次のような対策を検討するとよいでしょう。
入居時に入居者をよく審査する
入居募集をした人を誰でも入居させるのではなく、事前に審査をすることが、トラブル予防策の1つです。
収入状況や職業などからすべてがわかるわけではありませんが、トラブルを起こしにくいと判断した人のみを入居させるよう、ある程度入居時に選定をするとよいでしょう。
親族などの連絡先を確認しておく
特に、学生などの場合には、両親など親族の連絡先を確認しておくとよいでしょう。
いざトラブルを起こした際には、親族へ連絡を取ると伝えておくことで、トラブルの抑止効果が期待できるためです。
家賃は銀行振替などとして引き落とし日を事前に通知する
家賃滞納のトラブルに限定されますが、その都度の振り込みではなく口座振替などとしておくことで、家賃の滞納を防ぐことにつながります。
そのうえで、引き落とし日に残高不足により引き落としができない事態を防ぐため、引き落とし日をエントランスに貼り出すなどして通知するとよいでしょう。
サブリース契約を検討する
サブリース契約とは、いわゆる一括借り上げのことです。
サブリース会社が物件をまとめて借り上げたうえで、サブリース会社が入居者の募集や物件の管理などを引き受けてくれます。
物件オーナーが入居者募集をする必要がなく、入居者トラブルに直接対応しなくて済む点が大きなメリットです。
しかし、サブリース会社との契約書に記載された家賃保証期間の前に家賃が減額されるケースや、サブリース会社が破たんをしてしまうケースなど、サブリースに関するトラブルは少なくありません。
サブリース契約を締結する際には、事前に外部の弁護士に契約内容を確認してもらいアドバイスを受けるなど、契約のリスクについてよく理解しておく必要があります。
契約時にトラブル発生時の対応を説明する
契約時に禁止事項などの詳細やトラブル時の対応などをよく説明しておくことで、安易な家賃滞納や契約違反への抑止効果が期待できます。
たとえば、ペット禁止の物件であっても、単に契約書にペット禁止と書かれているのみであれば、「小動物なら良いだろう」「外に連れ出さなければ良いだろう」など安易な判断でペットを飼育してしまう人もいるかもしれません。
すべてのペットの飼育を禁じたい場合には、たとえば「ハムスターや熱帯魚も禁止」などと、詳細を説明しておくと齟齬が生じにくいでしょう。
そのうえで、仮に違反してペットを飼育した場合には退去してもらうことになるなど、違反時には厳格に対応する旨を伝えておくことで、抑止効果が期待できます。
こまめに共用部分の清掃などをして物件を管理する
エントランスにゴミが散乱していたり共用部分の電球が切れたままになっていたりすれば、物件の雰囲気は悪化してしまいます。
雰囲気が悪化した物件ではモラルの低下も起きやすく、マナー違反や契約違反などのトラブルにつながってしまうことでしょう。
定期的に物件を見回り、清掃などの手入れをすることで、トラブルの抑止につながります。
日頃から弁護士に相談できる体制を整えておく
入居者トラブルへは、できるだけ早期に対応すべきといえます。
トラブルを放置すれば問題が大きくなることもある他、他の入居者にまでモラルの低下が広がってしまう懸念があるためです。
しかし、だからといって誤った対応をしてしまえば、さらなるトラブルの火種となってしまうかもしれません。
入居者トラブルへ早期に適切な対応をするために、弁護士と顧問契約を締結するなど、小さなトラブルであってもすぐに弁護士へ相談できる体制を整えておくとよいでしょう。
まとめ
賃貸経営をしていくうえでは、入居者トラブルを避けて通ることは困難です。
しかし、必要な策を講じることでトラブルをある程度予防することができます。
また、いざトラブルが起きた際にも早期に適切な対応を取ることで、問題を最小限に抑えることができるでしょう。
入居者トラブルに適切に対応しつつ安心して賃貸経営を続けていくため、弁護士の活用をおすすめします。
オーセンスには賃貸経営にくわしい弁護士が多数在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること
・賃料を滞納する賃借人に対して、内容証明郵便を弁護士名義で送ることで、賃料を支払うように促すことができます。
・契約を正当に解除したにもかかわらず、物件から退去しない賃借人に対して建物明渡等請求の訴訟提起を行うことができます。
・賃借人との間でトラブルが起きた際に、物件オーナーの代わりに窓口として対応を行うことができます。
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