2024.08.19Legal Trend

「企業のブランド力」を守り育てる ブランド戦略と商標マネジメント

セミナーレポート

この記事のまとめ

こちらの記事は、2023年12月6日に開催したセミナー「『企業のブランド力』を守り育てる ブランド戦略と商標マネジメント」の内容を書き起こしたものです。全文を読みたい方は、無料会員登録いただくと続きをお読みいただけます。

今回は、企業におけるブランディング戦略における商標管理の重要性と、ブランドを企業価値へ繋ぐガバナンスの実践について、事例を交えて分かりやすくご紹介します。

目次
隠す表示する

登壇者紹介

弁理士 西野 吉徳(日本弁理士会)
専門分野:商標、商標管理、ブランドマネジメント、意匠

学生時代に弁理士試験に合格。大手電機メーカーに勤務し、知財部門において商標・意匠・契約などを担当したのち、コミュニケーション部門のブランドマネジメントに異動。
2017年、特許事務所に転職し、外国商標業務を担当。2022年、はつな弁理士法人へ入所。
特許事務所での商標権利取得経験、企業の知財部門及びコミュニケーション部門での経験から、商標権利取得、企業内商標管理及びブランディングという3つの分野に精通。クライアントのブランド構築を強力にサポートする総合力に定評がある。

弁護士 中村 穂積(東京弁護士会所属)

東京弁護士会所属。東北大学法学部卒業。
一般民事事件から訴訟対応まで幅広い案件を取り扱うとともに、上場企業(IT・AI)の法務知的財産部門におけるインハウスの経験も有する。
コンテンツやサービスの企画立案段階からローンチまでの事業戦略に即した実践的なリーガルアドバイスを提供できることが強み。事業拡大や上場のために必要なコンプライアンス体制の構築支援を行う。
また、知財など情報・データの活用や権利化、個人情報の管理の適正化、労務管理の適正化、契約交渉等に加え、インハウス以外の弁護士事務所での幅広い分野に携わった豊富な経験を活かし、各種訴訟や調停対応、法律意見書作成、企業・団体の不祥事対応・調査、債権回収、刑事告訴などにも対応している。

このセミナーでお伝えすること

  1. 登壇弁護士のご紹介
  2. ブランド価値を守る商標管理とは
  3. 法的観点から考えるブランド戦略の必要性
  4. ブランドとCGC

本サービス提供開始の背景

法務部の効率化とアウトソース戦略
商標管理とブランドマネジメントの関係についてお話をさせていただくことができ、大変光栄に思っております。私の方から、まず冒頭40分ほどお時間をいただいて、ブランドと商標マネジメントの概論のところをご説明させていただきます。その後は中村先生にバトンタッチしまして、商標やその他の知的財産についてのお話があり、最後にまた、コーポレートガバナンス・コードのお話でまとめていく予定になっております。では、画面共有をさせていただきながら説明させていただきます。
本日のお話、私からの話なのですが、「ブランド価値を強くする商標マネジメント」について進めさせていただきます。まず、ブランドについての話をして、その後、知的財産部門、法務部門で行うブランドマネジメントと商標管理とはどんなものかというような話に進んでいきます。
まずは、ブランドなのですが、「ブランド」という言葉はよく聞きますけれども、どんな意味なのか、商標と何が違うのかというあたりからです。

書き物にすると、ブランドの定義と商標の定義というのはほとんど同じです。上に書いてあるのがアメリカのマーケティング協会のブランドの定義で、個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたものというような定義になっております。日本の商標法の商標の定義は、皆さんよくご存じのところだろうとは思いますけれども、簡単に言うと、自他商品役務の識別標識ということになります。ほとんど内容的には差がありません。
多少、差があると言えば、ブランドの定義の中には「差別化」というような言葉が出てくるようなところで、マーケティング的にはディファレンシエイトというような意味合いで、他者と区別をする、さらに特徴を出すという意味で差別化という言葉が使われたりします。アメリカのマーケティング協会の定義に書いてある差別化というのは「ユニークアイデンティティ」ということで、同一性を非常にユニークなものにするという意味でその言葉が書かれています。
一方、識別というのは、ディスティンクティブ、ディスティンクティブネスというような言葉で、日本の識別力という言葉もディスティングティブネスですけれども、そのような言葉が使われています。
マーケティング業界の識別もディスティンクティブで、日本の商標法の識別もディスティンクティブで同じなのです。多少、差別化というような要素があるかどうか程度の差でしかありません。
この「ブランド」という言葉が昔から使われているかと、そうでもなくて、30年前、40年前はブランドという言葉が使われていたのは、ラグジュアリーブランド、グッチとかシャネルとかそういうようなものにはブランドと使われていたのですが、例えば電気製品などはブランドとは言いませんでした。当時、30年前、40年前は「基本商標」というような言葉を使っていたのが、だんだんブランドという言葉が広がってきて、どのような商品でもブランドが成立するというような形で今は考えられています。

法務部の効率化とアウトソース戦略
では、このブランドをつくっていくブランディングですね、ブランドづくり、ブランディングというのはどういうものかというところなのですが。ブランドの定義も、実はいろいろな定義があって、「ブランドとはお客様との約束である」というような定義が、ブランドの定義として一般的によく語られる定義なのですが、お客様との約束というものに非常に近い「ブランドのありたい姿」というものをきちんと設定をして、そのブランドのありたい姿と現在の自分の位置を確かめて、その差分、齟齬(そご)を埋めていく、その活動がブランディングだと言われたりします。
 この考え方は目標管理の考え方に近いもので、経営学のドラッカーとかの目標管理をブランドに応用したというか、マーケティングに応用したら、ブランディングになりましたというようなものになります。
 ブランディングは、一言でいうと経営戦略そのものということも言えるので、社長が新しく代わりました、何をやっていきましょうか、ではブランドをどういうふうに考えるのか、我々の会社はどう動いていくべきなのか、何を目指していくべきなのかというのは大体ディスカッションすると思うのですが、そのような会社のあるべき姿を決めていくというのがブランド、それとの差分を埋めていくのがブランディングというような感じになります。

続きは会員の方限定となります。
無料会員登録いただくと続きをお読みいただけます。

記事監修者

Authense法律事務所
弁護士

中村 穂積

(東京弁護士会)

東北大学法学部卒業。旧司法試験第59期。上場会社のインハウス経験を活かし、企業法務に関するアドバイス、法務部立ち上げや運営のコンサルティング、上場に向けたコンプライアンス体制構築や運営の支援等を行う。IT・情報関連法務、著作権など知的財産権法務、知的財産権を活用した企業運営・管理等のコンサルティングを行う。

この記事に関するお問い合わせ Contact

掲載内容や業務に関するお問い合わせは
こちらまで

Contact

資料請求はこちらから Request Documents

弁護士法人Authense法律事務所の
サービス資料をダウンロードいただけます。

資料請求

会員登録はこちらから Sign Up

会員にご登録いただくと、ここでしか読めない
全ての会員記事をお読みいただけます。

新規会員登録