交通事故のよくある質問

死亡事故の場合

交通事故で家族が亡くなりましたが、相手の保険会社から連絡が来ません。どうすれば良いでしょうか?

事故後、相手の保険会社から連絡が来るのが通常です。そのため、連絡がこないのであれば、ご自身で保険会社に連絡するほうがよいです。また、相手の保険会社が不明の場合には、加害者に直接連絡することもよいでしょう。保険会社も加害者も不明である場合には、交通事故証明書に記載された加害者の自賠責保険会社に連絡してみてください。場合によっては、加害者の情報が判明することもあります。また、一般社団法人日本損害保険協会の相談窓口である、そんぽADRセンターに相談するのもよいでしょう。

交通事故で家族が亡くなりました。被害者が亡くなった場合でも過失割合はつくものでしょうか?

​過失割合の内容は、死亡事故か否かで区別されるわけではないため、被害者が亡くなられた場合でも過失割合がつく場合があります。死亡事故の場合、被害者自身に事故状況の確認を行うことができません。そうなると、加害者の一方的な言い分によって事故状況が認定され、不当に過失割合が決められてしまうことがあります。ですので、適切に認定してもらうために、ドライブレコーダーをつけておいたり、事後においては、弁護士に相談することをお勧めします。​

交通事故で家族が亡くなりましたが、どのような事故だったか知りたい場合はどうすれば良いですか?

事故現場において、目撃者がいる場合には説明を受けるのがよいでしょう。また、目撃者や保険会社の説明が正確でない場合もあるので、どのような事故だったかを正確に知りたい場合には、警察等が作成する実況見分調書などの刑事記録を見せてもらいましょう。

交通事故で大切な家族を失いました。加害者に対して損害賠償だけではなく、刑事責任も追及することはできますか?

可能です。しかし、民事裁判と刑事裁判とでは、刑事裁判のほうが事実認定の方法も厳格なため、民事上の損害賠償請求が認められたとしても、刑事上は満足のいく結果が得られないこともあります。警察に告訴状や被害届等を提出したからいって、必ずしも加害者が起訴されるとは限りませんし、起訴された場合であっても、加害者に前科前歴がない場合で、自らの過失を認め素直に反省している場合には、執行猶予がついてしまうこともあるでしょう。

交通事故で夫が亡くなり、相続人である妻が損害賠償金を受け取った場合、相続税を納めなければならないのでしょうか?

被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはならず、遺族の所得となります。しかし、法律上思いがけない損害の補填である損害賠償金については、所得税法上非課税規定があるので、所得税もかからないことになります。なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利、すなわち、債権が相続財産となり、相続税の対象となります。

加害者に通夜や葬儀に参列してほしくない場合は、拒否することはできますか?

拒否できます。

通夜や葬儀で加害者からの香典を受け取った場合、なにか不利になることはありますか?

香典は、一般的に社会的儀礼として交付されるものですし、喪主に対する贈与と考えられています。他方、加害者が交付した香典は、後になって、贈与ではなく損害の内払いであるとして損益相殺を主張してくる場合があります。裁判例は様々ですが、損益相殺の対象としたものについては、香典について、葬儀費用あるいは精神的損害に対する慰謝料の性質を有するものであることを理由としたものがあります。また、一部のみ控除の対象としたものについては、香典としての相当性を問題とし、香典としての相当性を超えるものについては、損害の内払いであると判断しているものがあります。30万円程度であれば、香典としての相当性を有していると判断しているのが裁判所の傾向といえます。

交通事故死で示談交渉がうまく進まず、裁判となった場合、裁判費用は加害者に請求することはできますか?

裁判にかかる費用は、原則として敗訴した側が払うこととされていますが(民事訴訟法61条)。ただし、ここでいう裁判費用には弁護士費用は含まれていないため、弁護士費用は裁判の中で別途請求する必要があります。なお、実際に当事者が負担する弁護士費用の全額が認められることは少なく、損害額全体の何割(1~2割であることが多いといえます)が弁護士費用として認められることが多いのが実際です。

交通事故で家族が亡くなりましたが、どのような場合に死亡による慰謝料の増額が認められますか?

被害者の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合、被害者側に特別な事情がある場合、その他の損害賠償の項目を補完するような場合のような事情があれば、死亡した際の慰謝料が増額することがあります。例えば、加害者の無免許・飲酒運転・赤信号無視などの悪質な行為を原因としたもの、事故時に救急車を呼ばずに逃走したもの、事故後に遺族に暴言を吐いたり、反省の態度が全く見えないものについては、上記の事情が認められ、慰謝料の増額が認められることになります。

加害者が事故の後に亡くなった場合、損害賠償請求はできませんか?

加害者に対する損害賠償請求権は、加害者が死亡した場合でも、当然には消滅しません。加害者の相続人が相続放棄しない限りは、原則として加害者の相続人に請求することができます。また、加害者が死亡した場合であっても、事故当時に加害者が加入していた任意保険会社については、保険金の支払い義務があります。加害者自身が任意保険に加入していなかった場合には、誰が相続人となるのか、相続放棄がされているか等の調査が必要となりますので、弁護士に相談することをお勧めします。

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