交通事故の被害者になった場合、相手方と示談交渉をして、損害賠償金などを取り決めなければなりません。なんとなく示談が成立してしまい、想定していた示談金が受け取れないということがないよう、自分が納得できる示談を成立させるために知っておくとよい情報を解説します。
目次
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交通事故の示談とは
示談について
交通事故の示談とは、「当事者同士が話し合いによりお互いに納得して妥当な賠償額を決め、解決を図ること」を言います。
示談金と慰謝料の違い
交通事故の示談金とは、損害賠償についての話し合いに基づいて決定された損害賠償金のことです。示談金をもらうと賠償責任を終えたことになるため、原則的に被害者はそれ以上の金銭を加害者に請求することはできません。
一方、交通事故の慰謝料とは、事故によって受けた精神的および肉体的苦痛に対する補償であり、示談金(損害賠償金)の一部です。
交通事故の被害者は、示談が成立した際に、慰謝料を含めた示談金を受け取ることがほとんどです。
示談金には、どんなものが含まれる?
慰謝料が「示談金の一部」であるとお伝えしましたが、示談金にはその他にも以下のようなものが含まれます。
治療費
交通事故で負ったケガの治療費です。治療費は保険会社が立て替えて支払うケースが多く、既払金として示談金から控除されることが多いです。
通院交通費
交通事故で負ったケガの治療のため、通院する際にかかる交通費です。自家用車を使用したときのガソリン代、電車やバス、タクシーなどを使用した際の運賃を含みます。
休業損害
交通事故で負ったケガによって、会社を休まなければならない場合や、仕事ができなくなってしまった場合に、減ってしまった収入への補償金です。
逸失利益(いっしつりえき)
交通事故で負った後遺障害によって、今までどおりの働き方ができなくなってしまい減収が生じた場合に、将来得られたはずの利益を補償するものです。
入通院慰謝料
交通事故で負ったケガの治療のために、入院や通院をしなければならなくなった精神的および肉体的苦痛に対する慰謝料です。傷害慰謝料とも言われます。
後遺障害(こういしょうがい)慰謝料
交通事故で負ったケガの治療を続けても後遺障害が残ってしまう場合の精神的および肉体的苦痛に対する慰謝料です。
後遺障害として認定される等級は、14級から1級まで等級に応じて慰謝料の金額が異なります。
死亡慰謝料
交通事故によって、被害者が死亡した場合に、亡くなった本人とその遺族に対して支払われる慰謝料です。
交通事故の示談の流れ
交通事故の被害に遭った場合、相手方(の保険会社)と示談交渉をしなければなりません。事故発生から示談までの一般的な流れについてご紹介します。
事故発生
交通事故が発生した場合、自身の身の安全を確保した後、必ず警察に通報しましょう。
加害者には警察への通報義務がありますが、加害者が通報しなかったり、ケガを負って通報できない場合は被害者が通報するようにします。
ここで大切なのは、自分がケガを負った場合、警察側の処理が物損事故ではなく、人身事故になっているかを必ず確認することです。「人身事故」扱いになっていないと、保険会社から治療費などが支払われないことも有り得ます。
治療
交通事故でケガを負った場合は、可能な限り早めに病院で診察を受けましょう。
事故後、数日のうちに保険会社から連絡が入り、治療費などについて話がありますが、治療に専念しましょう。
事故から初診までに一定の間隔が空いてしまうと、事故とケガとの関係性に疑問を持たれてしまい、治療費などの支払いを拒否されることも有り得ます。
また、接骨院や整骨院で治療を受ける場合でも、定期的に整形外科などで医師の診察を受ける必要があります。
万が一、後遺障害等級の申請をする際は医師が作成した書類が必要になるためです。
症状固定
治療によりケガが完治すれば問題ありません。しかし、これ以上治療を続けても症状は治りきらず、将来にわたって事故による症状が残ることがあります。この状態を「症状固定」と呼びます。
症状固定になってからは、原則として、それ以降の治療費や通院交通費などは請求できなくなります。
今回の交通事故によるケガの治療は終了と見なされるためです。
症状固定となった後に残った症状については、後遺障害として等級認定の申請に移ることになります。
後遺障害の等級認定
後遺障害と認定される等級は14級から1級まであり、その等級に応じて慰謝料の金額が異なります。1級に近づくほど上級になり、慰謝料の金額も上がります。
等級ごとに一定の基準はありますが、同じ等級でも保険会社が提示する慰謝料額と裁判を基準にした慰謝料額には差があります。
後遺障害の等級認定は、医師が作る「後遺障害診断書」を主な判断材料とします。そのため、この診断書にすべての症状が具体的に記載されている必要があります。
適切な等級認定を得るためには、医師と相談し、各等級の具体的な基準を踏まえた書類を用意し、申請をしなければなりません。
示談交渉
相手方との示談交渉が始まります。交渉が開始されると(相手方の)保険会社から今回の事故に関する賠償額が提示されます。
この示談交渉が始まったタイミングで弁護士に依頼するのも一つです。
弁護士に依頼すれば、自分で直接交渉するよりも効率的に示談を進めることや、賠償額の増額が期待できます。
示談成立
お互いが納得し、合意できれば示談が成立します。
原則として、示談が成立した後に、交渉をやり直すことは、特別な事情がない限りできませんので、示談書を取り交わす際は、内容を入念にチェックすることが大切です。
示談書のチェックポイント!
示談交渉がまとまれば、示談書を作成します。示談書は、公的な文書ではないため、決まった書式や用紙はありません。
しかし、後々のトラブルを招かないために、示談書を作成する際のポイントをご紹介します。
示談書の内容で注意すべき点
- ・被害者・加害者の双方が1通ずつ保存するために2通同じものを作成する
- ・被害者も加害者も本人で署名・押印する
- ・示談金をもらうのと同時に作成する
- ・後遺障害について明記する (例)万が一後遺傷害が発生した場合は別途協議する
- ・加害者が支払う総額を明記する
示談金を確実に支払ってもらうための注意点
示談金を確実に支払ってもらえるように、以下のような内容を追加で明記しておきます。
- ・期限までに示談金を支払わない場合は、違約金を上乗せすること
- ・分割払いを怠った場合は、残額を一括払いし、違約金を支払うこと
これは、加害者の中には示談金を一括で払えない人や約束を破る人もいるためです。約束不履行時の違約金は2~3割程度が一般的です。
示談書を公正証書とすること
万が一、加害者の約束不履行が発生した場合、示談書が私文書(一個人が作成した文書)のままだと、加害者を提訴して民事裁判を起こす必要が出てきます。こういった事態を避けるためにも、示談書を公正証書にしておきましょう。
事故の当事者全員で公証役場に行き、公証人の面前で示談書に署名および押印をします。
公正証書の中に、「債務者は、金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」という条項を入れておくことで、裁判を経ることなく強制執行ができるようになります。
ただし、一般の人がこういった書類の手続きをすることは難しいため、やはり交通事故に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。
示談交渉の方法
示談交渉の方法にはいくつかあります。ここでは、それぞれの交渉方法をご紹介します。
保険会社に引き受けてもらう
交渉を保険会社に引き受けてもらうためには、いくつかの条件があります。
まずは、被害者が任意保険に加入しているかどうかが1つの条件です。ただし、被害者側に過失がなければ、保険会社は相手方に保険を支払う必要がないため、交渉を引き受けてくれることはありません。
なお、詳述は割愛しますが、保険会社が引き受けて行う交渉は、代理人としての交渉ではありません。
弁護士が行う
弁護士に代理人として交渉を依頼する。
示談交渉は、被害者にとって想像以上にストレスに感じるものです。弁護士に依頼することで、(相手方の)保険会社とのやりとりから解放され、賠償額の増額も期待できます。
自分ひとりで行う
被害者の過失がゼロで、弁護士に依頼しないとなれば、自分ひとりで交渉をすることになります。
示談交渉を自分ひとりで行う際の注意点
示談交渉の方法の1つに、自分ひとりで示談交渉を行う方法もあります。この方法は、お金がかからない、こちらの裁量で話を進められるなどのメリットがありますが、デメリットも多いでしょう。
交渉が不利になりやすい
(相手方の)保険会社は、保険のプロです。事故にも交渉にも精通しているわけではない被害者は、どうしても不利になりやすく、また、内容に納得できない場合に、それを法的に根拠付けて説明するのはむずかしいでしょう。
相手方の言い分が適正なのか判断がむずかしい
示談交渉を自分で行うとなっても、相手方の提示してきた内容が本当に正しいものなのかどうかを判断するのはむずかしいでしょう。知識や経験が少ないため、なんとなく疑問点があっても、それなりの説明を聞いて、「そういうものなのかな」と思ってしまうことが多いようです。
保険会社から示談金を提示された時の注意点
示談交渉が進むと、(相手方の)保険会社から示談金の提示がなされます。その際の注意点をご説明します。
示談金は増額できる可能性がある
交通事故で負ったケガが完治した場合、あるいは後遺障害の認定結果が出ると、(相手方の)保険会社から、書面で示談金の提示があります。
ほとんどの場合、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料および総額が記載されています。しかし、これらのほとんどは、保険会社独自のルールもしくは最低ラインである自賠責保険の基準で算出された賠償額です。
弁護士に依頼すれば、裁判をした場合の基準(弁護士基準)で、適正な賠償額を算出し、交渉してくれます。結果として、自身で直接(相手方の)保険会社と交渉するよりも、多くの賠償額が期待できます。
交通事故被害のご相談はAuthense法律事務所
交通事故被害による後遺障害等級認定、示談交渉・裁判、損害賠償請求(慰謝料請求)などのご相談をお受けしています。
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