「交通事故が原因で足を切断」と聞くと衝撃を受けますが、バイク事故においては足の切断を余儀なくされるケースも少なくありません。 足を失ってしまえば、義足や車椅子が必要になり、仕事が続けられなくなる可能性も高いため、日常生活に大きな影響が出てきます。 そこで今回は、足を切断した場合の後遺障害等級や、加害者に請求できる慰謝料の相場、そして後遺障害等級の認定を受ける際の注意点などを分かりやすく解説します。
目次
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足の切断に至る交通事故の受傷例
足を切断しなければならなくなるのは、事故によって回復不可能なほどの損傷が生じたときです。
では、どのような場合に足の切断が選択される可能性があるのでしょうか。
開放骨折
「開放骨折」とは、骨折した際に皮膚を突き破って折れた骨が露出している症状をいいます。
以前は「複雑骨折」という呼び名が一般的でしたので、その呼び方で知っている方もいるかもしれません。
比較的長い骨がある部分で起こりやすいため、特に大腿骨(太もも)や、筋肉に覆われていない脛骨(すね)で多く見られます。
通常、骨は外気に触れることはありません。
しかし、開放骨折によって骨が無防備な状態で外気にさらされると、骨に細菌が付着し、骨髄炎などの重病を引き起こすことがあります。
また、骨が皮膚を突き破る際の大量出血や、傷口からの感染症などにより、死に至る可能性もある危険な状態です。
そのため、事故による足の開放骨折では、命を守るために足を切断するという判断がなされる場合があります。
粉砕骨折
「粉砕骨折」とは、骨が2つに折れるのではなく、粉々に砕けた骨折のことです。
骨密度が低くなっているお年寄りに見られる骨折ですが、交通事故などの大きな衝撃でも発症します。
手術によってバラバラになった骨を固定し、治療できる場合もありますが、骨折した箇所や重症度によっては切断しなければならないケースがあります。
膝窩動脈損傷
膝窩(しっか)とは、ひざの後ろ側のくぼんだ部分のことです。
この部分を走る血管である膝窩動脈の損傷により、血の流れが止まってしまうと、ひざから下が壊死してしまうこともあります。
先に紹介した重症の骨折と合併することも多く、足の切断に至る場合があります。
足の切断で考えられる後遺障害等級
足を切断すると、当然ながら事故前と比較して日常生活に大きな支障をきたします。
では、事故で足を失った場合には後遺障害の何級に該当するのでしょうか。
後遺障害等級を申請し、認定された場合、足の切断で該当する可能性のある等級は以下の表のとおりです。
等級 | 後遺障害 |
---|---|
第1級5号 | 両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
第2級4号 | 両下肢を足関節以上で失ったもの |
第4級5号 | 一下肢をひざ関節以上で失ったもの |
第4級7号 | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
第5級5号 | 一下肢を足関節以上で失ったもの |
第7級8号 | 一足をリスフラン関節以上で失ったもの |
「足関節」はいわゆる足首の部分です。
「リスフラン関節」とは、足指と足首の間にあるほとんど曲がらない関節のことで、足の甲のおおよそ真ん中にあたります。
足の切断による後遺障害の慰謝料
交通事故の被害に遭った場合、加害者に損害賠償を請求できますが、その中には後遺障害が認定された場合だけに請求できる慰謝料もあります。
これを後遺障害慰謝料といいます。
後遺障害慰謝料の金額は、認定された等級と、3種類の算出基準によって決まります。
自賠責基準
車を運転する人なら必ず加入しなければならない強制加入保険、自賠責保険で定められているのが自賠責基準です。
被害者に対する最低限の補償であり、3つの基準の中では最も賠償金額が低い基準です。
任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社がそれぞれ独自に定めている基準です。
おおむね自賠責基準よりは高額であるものの、弁護士基準と比較すると低額となります。
弁護士基準
弁護士に依頼した場合の示談交渉や裁判において用いられる基準が弁護士基準です。
裁判基準とも呼ばれます。
自賠責基準や任意保険基準と比較して、最も高額となる基準です。
*後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料額
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準(赤い本基準) |
---|---|---|
第1級 | 1,150万円 | 2,800万円 |
第2級 | 998万円 | 2,370万円 |
第4級 | 737万円 | 1,670万円 |
第5級 | 618万円 | 1,400万円 |
第7級 | 419万円 | 1,000万円 |
義足や車椅子にかかる費用は請求できるのか
足の切断に至った場合、日常生活のために義足や車椅子の購入が必要になります。
この支出についても、損害賠償として請求できるのでしょうか。
必要かつ相当な範囲で請求可能
原則的には、義足や車椅子の購入に必要な費用を、損害賠償金の一部として請求することが可能です。
ただし、あくまでも認められるのは必要かつ相当な範囲ですので、必要以上に高価なものを購入した場合には、費用の一部が自己負担となるケースもあります。
なお、義足や車椅子以外にも、自宅のバリアフリー化費用や、自動車を車いすで乗れるように改造する費用も認められることがあります。
将来に必要な義足や車椅子の費用も請求できる
義足や車椅子は永久に使用できるわけではなく、定期的な買い替える、あるいはメンテナンスを受ける必要があります。
そのため、将来的に必要になると想定される買い替え分にかかる費用も請求することができます。
ただし、示談成立後に改めて将来分を求めることはできないため、忘れずに示談交渉の段階から将来分を含めて交渉することが重要です。
後遺障害等級認定の手続き
実際に後遺障害等級の認定申請を行う際の手続きには、2種類の方法があります。
事前認定
事前認定とは、被害者の後遺障害認定の申請手続きを加害者側の任意保険会社にやってもらうことです。
保険会社が一連の必要書類を用意するため、被害者からすると手間が省けて楽です。
しかし、加害者側の保険会社がメインで動くことにより、被害者にとって透明性があるとは言い難いのも事実です。
また、一度認定された等級に異議を申し立てるには、専門的な知識や多大な労力が必要となります。
被害者請求
被害者請求とはその名の通り、被害者自ら後遺障害等級の認定申請をすることを指します。
多くの書類を自分自身で集めなければならず、非常に手間がかかりますが、申請内容を自分で把握できることは大きなメリットです。
適切な等級の認定を受けるためには、被害者請求を選択したほうが良いと言えるでしょう。
適正な損害賠償の支払いを受けるためには
交通事故によって足を切断することになれば、義足や車椅子を利用しての不自由な生活を強いられることになります。
また、そこに至るまでのリハビリは長期間に及びますし、もちろん経済的な不安も大きいですよね。
では、後遺障害慰謝料や義足・車椅子等の費用などを含む損害賠償について、事故によって受けた損害に見合う適正な金額を獲得するためにはどうすればよいのでしょうか。
足の切断は第三者の目から見ても喪失した部分が明らかであり、目に見えない後遺症と比較すると、後遺障害等級の認定で低い等級に認定されるような問題は起こりにくいといえます。
しかし、足の切断に至るほどの事故であれば損害賠償が高額になることも多く、加害者側の保険会社との示談交渉は非常に難易度が高いです。
加害者側の保険会社が提示した損害賠償の金額に不満がある場合や、交通事故の加害者との交渉に不安がある場合は、交通事故の分野に精通した弁護士に依頼するのがよいでしょう。
先に紹介した被害者請求において、法的観点に基づく有用なアドバイスをうけることができますし、後遺障害慰謝料を弁護士基準に基づく金額で交渉してもらえるのは大きなメリットです。
加害者から適切な補償を受けるためにも、交通事故に強い弁護士に一度相談してみることをおすすめします。
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