コラム
2021.04.27

子どもが交通事故の被害者になったら?事故に遭った後の注意点

子どもは交通ルールの理解や危険を予測する能力が未熟なため、思いがけず交通事故に巻き込まれてしまうことがあります。
そして、起こってしまった事故の後で気をつけたいのが、加害者との示談交渉です。
損害賠償の請求について、注意すべきポイントを解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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一般的な損害賠償

子どもが道路に飛び出したり、信号無視をしたりというケースだけでなく、小さな子どもは運転手から視認しにくいなどの原因もあり、子どもが被害者になってしまう交通事故は後を絶ちません。
では、実際に子どもが交通事故の被害に遭ってしまった場合、事故の相手方である加害者にはどのようなお金を支払ってもらうことができるのでしょうか?
まず、一般的な交通事故の損害賠償について確認していきましょう。

交通事故によって発生した損害を、加害者に金銭で賠償してもらうのが「損害賠償」です。
一般に「示談金」と呼ばれることもあります。
この損害賠償(示談金)の対象となる損害には、以下のようなさまざまなものがあります。

まず、お金や物品などといった、被害者の財産に関する損害を「財産的損害」といいます。
入院・通院にかかった治療費や、本来なら将来得られるはずだった収入が後遺症や死亡によって失われてしまう「逸失利益」などが財産的損害に当てはまります。

また、財産に関する損害でなくとも、人身事故でケガをしたり、被害者が死亡したりした場合の精神的な苦痛や悲しみも損害に該当します。
これを「精神的損害」といいます。
精神的損害を金銭に換算して賠償するお金のことを「慰謝料」といい、被害者に入院や通院が必要となった場合の「入通院慰謝料」、後遺障害が残った場合の「後遺障害慰謝料」、死亡した場合の「死亡慰謝料」という3種類があります。

子どもの事故の損害賠償金額は?

子どもの事故の損害賠償金額は?

治療費や逸失利益、慰謝料といった損害賠償のお金は、被害者が子どもだからという理由で安く抑えられてしてしまうのでしょうか?
この点を考えるには、損害賠償の金額がどのようにして決まるのかを押さえておく必要があります。

例えば、病院への入院・通院による治療費や、通院のための交通費であれば、必要かつ相当な範囲において、実際にかかった費用を相手方に負担してもらうことができます。
(※自治体による子どもの医療費助成は、一般に交通事故では適用されず、事故によるケガの治療費は無料にはならないため、加害者に請求します。)
また、入通院慰謝料は入院・通院の期間によって決まりますし、後遺障害慰謝料は認定された後遺障害等級が何級かによって決まりますので、被害者の年齢による金額の変動はありません。

しかし、損害賠償の中には、被害者が子どもである場合に金額が変わってくるものもあります。

逸失利益

交通事故に遭わなければ、将来得られるはずであった収入や利益が「逸失利益」です。
交通事故の被害による逸失利益については、こちらの記事をご参照ください。

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被害者が事故の時点では収入を得ていなかったとしても、将来的に仕事に就き、働くことで得られるはずだった収入が得られなくなったり、就ける仕事が制限されて収入が少なくなったりするのであれば、逸失利益は発生します。
そのため、被害者がまだ働いていない子どもであっても、加害者に逸失利益を請求することができる場合があります。

この逸失利益の金額を計算するうえでポイントになるのが、労働能力喪失期間です。
逸失利益を算定するうえでは、「事故に遭わなければ67歳まで働けたはずだ」という前提に基づき、「事故によって働けなくなった期間が何年間か」を検討することになります。
事故の被害者が未就労の子どもであった場合は、満18歳から満67歳までという長期間にわたり、労働能力が喪失または低下するため、逸失利益を請求できるケースでは、大人と比較して逸失利益は高額になります。

付添看護費

幼い子どもが被害に遭った事故の損害賠償として挙げられる中で特徴的なのが「付添看護費」です。
事故の被害に遭った子どもが入院することになった場合、保護者が入院に付き添う必要があります。
また、退院した後も、通院への付き添いが発生します。
このように、子どもの入院・通院に保護者が付き添う必要が生じた場合、「付添看護費」を相手方に請求することが可能です。

損害賠償として付添看護費が認められるかどうかは、ケガの程度や被害者の年齢、医師が付き添いの必要性があると判断したかどうかなどによって判断されます。
通常、被害に遭った子どもが12歳以下である場合には付き添いの必要性があるとして付添看護費が認められますが、ケースによっては相手方との交渉の中で付き添いの必要性を主張していかなければならないこともあります。
このような場合には、弁護士に示談交渉を依頼することにより、スムーズに交渉を進められる可能性があります。

死亡慰謝料

死亡慰謝料

事故で被害者が亡くなってしまった場合に支払われる慰謝料が「死亡慰謝料」です。

慰謝料の金額を算出するうえでは、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」という3種類の基準があります。
その中でも、金額が最も高額となる弁護士基準で慰謝料を請求するためには、示談交渉を弁護士に依頼する必要があります。
自賠責基準や弁護士基準などについては、こちらの記事をご参照ください。

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自賠責基準では、被害者本人についての死亡慰謝料が400万円となっています。
それに加え、請求権者となる遺族(被害者の父母、配偶者および子ども)の人数によって、支払われる金額が変わります。

請求権者の人数 死亡慰謝料の金額
1人 550万円
2人 650万円
3人以上 750万円

※被害者に被扶養者がいる場合、さらに200万円が加算

一方、死亡慰謝料を弁護士基準で算出する場合は、亡くなった被害者が世帯の生計を支える「一家の支柱」であったかどうかなどの条件によって金額が変わり、以下の金額が目安となります。

被害者が一家の支柱である場合 2,800万円
被害者が母親・配偶者である場合 2,500万円
その他の場合 2,000万円~2,500万円

弁護士基準では、被害者が世帯の中でどのような役割だったかによって慰謝料の金額が変わってくるため、大人と比較すると子どもが被害者のケースの方が慰謝料の金額が低くなります。
ただし、金額を比較すると、自賠責基準よりも弁護士基準の方が慰謝料の金額は高額となり、大きな金額差があることが分かります。

また、子どもが被害者の事故の場合には、子ども自身が亡くなったことに対する慰謝料だけでなく、その親も精神的苦痛を負ったとして、親に対して別途に慰謝料が支払われるケースがあります。
事故の相手方から提示された慰謝料などの損害賠償が、適切な金額であるとは限りません。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、法的な根拠に基づいて損害賠償の金額を交渉することができるため、加害者に請求できる金額は大きく変わってくるのです。

まとめ

交通事故の被害に遭った場合、弁護士に依頼することで、逸失利益や付添看護費、慰謝料といった損害賠償について、裁判例などの根拠に基づいて相手方と交渉を進めることができます。
また、弁護士に交渉を一任することにより、相手方との煩雑なやり取りに悩まされることなく、大事なお子様の看護に時間を割いて治療に専念できることは大きなメリットといえます。
子どもの交通事故で相手方との示談交渉に不安がある方は、ぜひお気軽にオーセンスの弁護士にご相談ください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

お子様がもしも重傷を負ってしまった場合には、お子様の入通院の付き添いや看病で、ご家族には肉体的にも精神的にも負担がかかります。その上に保険会社との示談交渉をするとなれば、満足に交渉を続けることは難しいと思われます。この点、示談交渉を弁護士に依頼することにより、保険会社との手間がかかる専門的な交渉を全て一任できますので、ご家族はお子様の心と体のケアに専念できます。

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