会社の顧問弁護士に、経営者個人の法的トラブルを相談することはできるのでしょうか?
この記事では、会社の顧問弁護士に経営者の個人的な悩みを相談することの問題点などについて、弁護士が詳しく解説します。
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経営者に多い個人的な法的トラブルとは?
経営者は会社の代表である前に、一人の人間です。
そのため、経営者が個人的に、会社とは直接関係のない法的トラブルに巻き込まれてしまうこともあり得ます。
経営者に多い、個人的な法的トラブルには、次のようなものが挙げられます。
家庭に関する法的トラブル
まず挙げられるのが、離婚問題や異性関係、認知症となった老親の世話や財産管理など、家庭にまつわる法的トラブルです。
家庭に関する法的トラブルは、非常にプライベートであるため、誰にも相談できずに抱え込んでしまっている経営者は少なくないことでしょう。
一見会社とは何ら関係がないように見えますが、経営者のモチベーションに直結する可能性があるという点では、できるだけ早期に解決すべき法的トラブルの一つであるといえます。
相続に関する法的トラブル
相続に関するトラブルを抱えている経営者は、少なくありません。
まず、ご自身の相続についての問題が、相続に関する悩みの一つとなるでしょう。
経営者は多くの資産を保有している場合も多く、また会社の株式など、換金できない財産の比重が高いことも多いため、相続についてはより慎重な検討が必要となります。
また、親からの相続など、自分が相続を受ける立場でトラブルが生じるケースもあるでしょう。
投資に関する法的トラブル
成功している企業経営者のもとには、さまざまな投資話が舞い込んできます。
中には、脱法まがいの投資話や詐欺のような投資話も存在し、これらの被害に遭ってしまう場合もあることでしょう。
こうしたトラブルは信じてしまった自分に非があると考えてしまう人も多く、なかなか人に相談しづらい法的トラブルの一つです。
事業承継に関する法的トラブル
会社の事業承継に関する問題は、会社経営者としての問題と、家庭など個人的な問題とのちょうど中間に位置する問題であるといえます。
事業承継は、誰を後継者にするのかという問題、後継者候補者であった長男と仲違いをしてしまったという問題、会社の株式という大きな資産の承継で長男と二男がもめそうだという問題など、さまざまな家庭の問題を内在していることが少なくないためです。
刑事事件に関する法的トラブル
経営者自身や、経営者の家族が刑事事件に巻き込まれてしまう可能性もゼロではありません。
たとえば、経営者が飲み屋でケンカをしてしまったといったことや、経営者の子がトラブルを起こし逮捕されてしまった場合などが考えられます。
経営者の個人的な法的トラブルを会社の顧問弁護士に相談してもよい?
会社に顧問弁護士をつけている場合、先ほど挙げたような経営者個人にまつわる法的トラブルを会社の顧問弁護士へ相談してもよいのでしょうか?
顧問弁護士との契約内容によって異なる
経営者個人の法的トラブルを会社の顧問弁護士へ相談してもよいかどうかは、まずその顧問弁護士との契約内容によって異なります。
通常、契約では相談できる内容が会社に関することに限定されていることが多いでしょう。
ただし、顧問弁護士が個人的に相談をしたい内容について、その弁護士に知見がある場合、顧問料とは別途料金を支払うなどすることで、相談に乗ってもらえる場合も少なくないと考えられます。
会社との利益相反に注意が必要
会社の顧問弁護士へ経営者個人の法的トラブルを相談する際には、弁護士の立場に注意しなければなりません。
会社の顧問弁護士は、原則として会社の味方です。
経営者が抱える法的トラブルの内容によっては、会社と経営者との利害が対立する場合があります。
その場合、会社の顧問弁護士は、原則として経営者個人ではなく、会社の味方となります。
会社の顧問弁護士に個人的な法的トラブルを相談する際には、この点をよく理解しておくようにしましょう。
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会社の悩みと経営者個人の悩みの相談先を分けるメリット
会社の顧問弁護士が相談に応じてくれる場合であっても、経営者個人の法的な悩みは別の弁護士に相談した方がよい場合もあります。
その主な理由は、次の3点です。
個人の悩みに強い弁護士へ相談することができる
弁護士は一定程度法律には詳しいですが、弁護士によって得意分野は異なります。
そのため、企業法務に強い会社の顧問弁護士が、経営者が個人的に悩んでいる分野にまで詳しいとは限りません。
個人の法的トラブルについては、その分野に特化した弁護士に相談した方が、解決への近道となるでしょう。
会社の顧問弁護士には相談しづらい内容も気兼ねなく相談できる
会社の顧問弁護士とは、オンオフでいうところの「オン」の場で関わる存在です。
一方、個人的な法的トラブルを相談するには、どうしても「オフ」の面を多く晒さざるを得ません。
そのため、会社の顧問弁護士には遠慮の思いや経営者らしく振舞わねばとの思いなどから、プライベートの深い部分までは相談がしづらい場合もあるかと思います。
また、仮にプライベートな問題の解決への取り組みに満足ができなかったとしても、会社で今後もお世話になるからという思いから、希望を伝えにくいと感じてしまう人もいることでしょう。
会社の顧問弁護士とプライベートな悩みを相談する弁護士とを分けることで、気兼ねなく相談することが可能です。
会社との利益相反となり得る内容の相談ができる
会社と経営者とは、厳密にいえば別人格です。
そのため、先ほど解説したように、悩みの内容によっては経営者と会社との利益が相反してしまう場合が存在します。
会社の顧問弁護士へ相談する際には、この点を常に念頭に置いて相談内容を選ばなければなりません。
一方、会社の顧問弁護士とは別の弁護士に相談する場合、会社との利益相反を気にせず相談をすることが可能です。
まとめ
会社の顧問弁護士が応じてくれれば、経営者の個人的な悩みを顧問弁護士へ相談することも可能です。
しかし、利益相反を気にしながら相談する必要があるなど、制約も少なくありません。
そのため、個人的な悩みであれば、会社の顧問弁護士とは別の弁護士に相談した方がよいでしょう。
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